株主・債権者に開示すべき会社書類一覧|議事録・決算書の閲覧請求

株主・債権者に開示すべき会社書類一覧 議事録・決算書の閲覧請求
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結論

株主や会社の債権者から「この書類を見せてほしい」と求められたときに、会社が応じなければならないかどうかは、書類ごとに会社法で決まっています。

定款・株主総会議事録・計算書類(決算書)などは、株主も債権者も理由を示さずに閲覧などを請求できます。株主名簿・会計帳簿などは理由を示して請求する書類で、会計帳簿を請求できるのは一定の株主だけです。取締役会議事録などは必要なときに限られ、会社の機関設計や請求する人によっては裁判所の許可も必要です。

本記事では、これらの書類を一覧表にまとめ、請求できる人と条件を、根拠となる条文とあわせて解説します。

1.会社が開示すべき書類とは?閲覧請求の基本

株式会社は、株主や債権者から、会社法に定められた書類の閲覧・謄写などを請求されたときは、書類ごとの要件に従って応じる義務があります。

ここでいう「開示」とは、会社があらかじめすべての書類を株主や債権者へ配ることではありません。法律で認められた請求に対して、閲覧・謄写・謄本などの交付といった、書類ごとに定められた方法で応じることを指します。

なお、「謄写」は書類を書き写したりコピーしたりすることで、謄写の請求によって当然に会社に写しを作って送ってもらえるわけではありません。会社に写し(謄本・抄本)の交付を求められるのは、定款や計算書類など、会社法がその請求を定めている書類です(例:会社法31条2項・442条3項)。

請求できる人は書類ごとに違い、請求の理由を示す必要の有無、持株の要件、裁判所の許可、会社が断れる事由も、書類によって異なります。請求の条件で分けると、主な書類は次の3つに分類できます。

分類 主な書類
理由を示さずに請求できる書類 定款・株主総会議事録・計算書類(決算書)など
理由を示して請求する書類 株主名簿・会計帳簿・株主総会の委任状など
権利行使や責任追及に必要なときに限り請求できる書類 取締役会・監査役会などの議事録

このうち会計帳簿と株主総会の委任状などは、株主だけが請求できる書類で、債権者という立場だけでは請求できません。

次の第2章で、書類ごとの条件を詳しく見ていきます。株主の側から権利を整理したい方は、株主の権利の種類と一覧をご覧ください。

2.開示すべき書類の一覧表|請求できる人と条件

第1章の3つの分類ごとに、請求できる人を一覧表にまとめました。表の「条文」欄にある「条文の文言を読む」を開くと、根拠となる条文の該当部分を確認できます。

書類 請求できる人 条文
理由を示さずに請求できる書類株主・債権者とも、会社の営業時間内はいつでも請求できます。
定款 株主債権者 会社法31条2項

条文の文言を読む

会社法31条2項「発起人(株式会社の成立後にあっては、その株主及び債権者)は、発起人が定めた時間(株式会社の成立後にあっては、その営業時間)内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。」

株主総会議事録 株主債権者 会社法318条4項

条文の文言を読む

会社法318条4項「株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。」

株主総会のみなし決議の同意書面・電磁的記録※1 株主債権者 会社法319条3項

条文の文言を読む

会社法319条3項「株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。」

種類株主総会の議事録・同意書面※2 株主債権者 会社法325条

条文の文言を読む

会社法325条「前款(…)の規定は、種類株主総会について準用する。」

計算書類・事業報告・附属明細書など※3 株主債権者 会社法442条3項

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会社法442条3項「株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。」

会計参与報告など※4 株主債権者 会社法378条2項

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会社法378条2項「会計参与設置会社の株主及び債権者は、会計参与設置会社の営業時間内(…)は、いつでも、会計参与に対し、次に掲げる請求をすることができる。」

理由を示して請求する書類請求の理由を明らかにして請求する必要があり、会社が請求を断れる事由も定められています※5。
株主名簿 株主債権者 会社法125条2項

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会社法125条2項「株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。」

新株予約権原簿 株主債権者 会社法252条2項

条文の文言を読む

会社法252条2項「株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。」

会計帳簿とこれに関する資料 3%以上の株主※6 会社法433条1項

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会社法433条1項「総株主(…)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主又は発行済株式(自己株式を除く。)の百分の三(…)以上の数の株式を有する株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。」

委任状など(代理権を証明する書面)・議決権行使書面・電子投票の記録 株主※7 会社法310条7項・311条4項・312条5項

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会社法310条7項「株主(前項の株主総会において決議をした事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。…)は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。」311条4項・312条5項議決権行使書面と電子投票の記録についても、同じく「当該請求の理由を明らかにしてしなければならない」と定めています。

権利行使や責任追及に必要なときに限り請求できる書類株主権利を行使するため必要なときに請求できます。監査役会・監査等委員会・指名委員会等の議事録は、裁判所の許可が必要です。取締役会議事録は、監査役設置会社などの場合だけ許可が必要です※8。債権者役員などの責任を追及するため必要なとき※9に、裁判所の許可を得て請求できます。
取締役会議事録・みなし決議の同意書面など※10 株主債権者 会社法371条2項・同条3項・同条4項

条文の文言を読む

会社法371条2項「株主は、その権利を行使するため必要があるときは、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。」同条3項「監査役設置会社、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社の営業時間内は、いつでも」とあるのは、「裁判所の許可を得て」とする。」同条4項「取締役会設置会社の債権者は、役員又は執行役の責任を追及するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、…請求をすることができる。」

監査役会議事録 株主債権者 会社法394条2項・同条3項

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会社法394条2項「監査役会設置会社の株主は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、次に掲げる請求をすることができる。」同条3項「前項の規定は、監査役会設置会社の債権者が役員の責任を追及するため必要があるとき…について準用する。」

監査等委員会議事録 株主債権者 会社法399条の11第2項・同条3項

条文の文言を読む

会社法399条の11第2項「監査等委員会設置会社の株主は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、次に掲げる請求をすることができる。」同条3項「前項の規定は、監査等委員会設置会社の債権者が取締役又は会計参与の責任を追及するため必要があるとき…について準用する。」

指名委員会等の議事録 株主債権者 会社法413条3項・同条4項

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会社法413条3項「指名委員会等設置会社の株主は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、…閲覧又は謄写の請求をすることができる。」同条4項「前項の規定は、指名委員会等設置会社の債権者が委員の責任を追及するため必要があるとき…について準用する。」

表中の※について

理由を示さずに請求できる書類

※1

株主総会のみなし決議

提案された事項について議決権を行使できる株主の全員が、書面または電磁的記録で同意したときに成立します(319条1項)。

※2

種類株主総会

種類株主総会の議事録・同意書面は、その種類の株式を持つ株主に限らず、すべての株主が請求できます。株主総会の規定を種類株主総会に準用する325条は、「株主」を「ある種類の株式の株主」に限る読替えの対象から、318条4項と319条3項を除いています。

※3

計算書類・事業報告・附属明細書など

対象は、計算書類・事業報告・附属明細書、適用がある場合の監査報告・会計監査報告、臨時計算書類などです(442条1項)。取引1件ごとの記録である会計帳簿は含まれず(違いは、表の後の「会計帳簿と計算書類(決算書)の違い」を参照)、勘定科目内訳明細書・予算資料・稟議書・投資契約書なども、会社に存在するというだけで対象になるわけではありません。

※4

会計参与報告など

会計参与設置会社に限ります。請求の相手は会社ではなく会計参与で、書類は会計参与が定めた場所に備え置かれます(378条1項)。また、会計参与が請求に応じることが困難な場合として法務省令で定める場合は、「いつでも」の例外とされています(378条2項)。

理由を示して請求する書類

※5

会社が請求を断れる事由

株主名簿・新株予約権原簿・委任状などは、請求者が権利の確保や行使に関する調査以外の目的で請求したときなどに、会社が請求を断れます(会社法125条3項・252条3項・310条8項・311条5項・312条6項)。会計帳簿は、これに加えて、請求者が会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、またはこれに従事している場合などにも断れます(433条2項)。

※6

会計帳簿を請求できる株主

議決権または発行済株式(自己株式を除く)の3%以上を持つ株主が請求できます。定款で、この割合を引き下げることができます(433条1項)。

※7

委任状などを請求できる株主

その株主総会で決議したすべての事項について議決権を行使できない株主は、請求できません(310条7項・311条4項・312条5項)。

権利行使や責任追及に必要なときに限り請求できる書類

※8

取締役会議事録を株主が請求する場合の裁判所の許可

株主の請求に裁判所の許可が必要なのは、監査役設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社です(371条2項・3項)。それ以外の会社では、株主は権利行使に必要なときに、裁判所の許可なく請求できます。なお、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社は、「監査役設置会社」に含まれません(会社法2条9号)。請求を受けた会社は、機関設計だけでなく定款の定めも確認します。

※9

債権者が責任を追及する相手

債権者が請求できるのは、取締役会議事録では役員・執行役、監査役会議事録では役員、監査等委員会議事録では取締役・会計参与、指名委員会等の議事録では委員の責任を追及するため必要なときです(371条4項・394条3項・399条の11第3項・413条4項)。取引先が経営状況を知りたいという理由は、こうした責任追及のための必要とは区別して考える必要があります。

※10

取締役会のみなし決議

取締役会のみなし決議(370条)をしたときの同意の記録も、議事録と同じく請求の対象です(371条1項)。

この章の表に挙げたのは、主な書類の例です。会社法上、閲覧などを請求できる書類をすべて挙げたものではありません。株式の併合や株式売渡請求の際に備え置く書類、清算中の会社の貸借対照表など、表にない書類にも閲覧などの規定があります。表に載っていないことを理由に、請求に応じなくてよいとは判断できません。

会計帳簿と計算書類(決算書)の違い

会計帳簿は、取引を1件ずつ記録した帳簿で、計算書類のもとになるデータです。計算書類は、その会計帳簿を事業年度ごとに集計して作る「まとめ」です(計算書類は会計帳簿に基づいて作ります。会社計算規則59条3項)。具体的には、次のように違います。

比べる点 計算書類(決算書) 会計帳簿
具体的な書類 貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表の4つ(会社法435条2項・会社計算規則59条1項) 仕訳帳・総勘定元帳と、現金出納帳・売上帳・仕入帳などの補助簿会計ソフトで作る電子データも対象(会社法433条1項2号)
外注費の見え方(例) 損益計算書に「外注費 2,400万円」と、1年分の合計が1行で載る いつ、どの取引先に、いくら支払ったかが1件ずつ分かる

会社法には、会計帳簿に当たる帳簿の種類を挙げた規定はありません。一般には、取引を日付順に記録する仕訳帳と、取引を勘定科目ごとに整理した総勘定元帳を中心に、現金出納帳などの補助簿を指すと説明されています。税務上も、青色申告法人は「仕訳帳」「総勘定元帳」その他必要な帳簿を備えることとされています(法人税法施行規則54条)。

なお、法人税の確定申告書に添付する貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書は計算書類と重なりますが、一緒に添付する勘定科目内訳明細書は計算書類ではありません(法人税法施行規則35条)。

組織再編のときに備え置く書類

組織再編(合併・会社分割・株式交換・株式移転など)では、会社が合併契約などの内容を記載した書類を本店に備え置き、閲覧などの請求に応じます(例:会社法782条3項・794条3項・803条3項)。請求できる人は再編の種類と会社の立場で変わり、たとえば株式交換・株式移転で完全子会社となる会社では、債権者ではなく株主と新株予約権者が請求できます。効力発生後に備え置く書類もあり、書類の種類や備え置く期間が手続ごとに異なるため、組織再編を行うときは手続ごとに確認が必要です。

3.どの書類にも共通する注意点

第2章の表のどの書類にも共通して、請求を受けた会社が確認しておきたい点です。

1請求の方法は書類ごとに決まっている

株主名簿・新株予約権原簿・議事録などは「閲覧・謄写」、定款・計算書類・会計参与報告・組織再編の備置書類は「閲覧と謄本・抄本の交付」などと、請求できる方法は各条の号で書類ごとに定められています。請求者が求めた方法が、その書類について定められているかを確認します。

2謄本・抄本の交付には費用がかかる

定款・計算書類・組織再編の備置書類などの謄本・抄本の交付などは、請求者が会社の定めた費用を支払います(例:会社法31条2項・442条3項のただし書)。会計参与報告では、会計参与の定めた費用です(378条2項ただし書)。

3単元未満株主は定款で制限されていることがある

単元未満株式だけを持つ株主の権利は、定款で一部制限できます(会社法189条2項)。ただし、定款の閲覧や株主名簿の閲覧などは制限できません(会社法施行規則35条1項)。単元未満株主から請求を受けたときは、定款の定めを確認します。

4株主・債権者以外にも請求できる人がいる

親会社社員(親会社の株主など)は、子会社の株主総会議事録・取締役会議事録・計算書類などについて、自分の権利を行使するために必要なときに、裁判所の許可を得て閲覧などを請求できます(会社法318条5項・371条5項・442条4項)。このほか、社債原簿や株券喪失登録簿のように、株主・債権者以外の人も請求できる書類があります(684条2項・231条2項)。

4.司法書士として実際に確認しているポイント

閲覧請求を受けたときは、請求者の立場と対象の書類を特定し、その書類の条文の要件に順に当てはめることが大切です。

閲覧・謄写の請求を受けたときの整理の順序

会社から閲覧請求への対応についてご相談を受けたときは、次の順に整理することが多いです。

  1. 請求者の立場を確かめる

    株主名簿の記載・株式の種類・議決権の数や、債権関係を示す資料などで、請求者が株主か債権者かを確かめます。会計帳簿の請求では、433条の議決権・株式数の要件と、定款で割合を引き下げていないかも確認します。

  2. 対象の書類と根拠条文を特定する

    「株主総会議事録」と「取締役会議事録」、「計算書類」と「会計帳簿」は、請求の要件が違います。種類株主総会の記録、みなし決議の同意の記録、監査役会などの議事録も含めて、書類名と対象の期間を特定します。

  3. 請求の理由・拒絶事由・裁判所の許可の定めがある書類かを確かめる

    対象の書類の条文に、請求の理由を示す必要、会社が断れる事由、裁判所の許可の定めがあるかを確かめます(第2章の表)。

  4. 閲覧・謄写の方法を決め、対応の記録を残す

    閲覧、謄写、謄本などの交付、電子データの提供は、書類によって法律上の方法が異なります。請求日、請求者の立場、対象の書類と期間、根拠条文、会社の回答、開示した範囲を記録しておくと、後日も経緯を確認できます。

議事録は将来の閲覧請求を意識して作成する

株主総会議事録や取締役会議事録は、登記の申請に使うだけでなく、第2章の表のとおり、株主や債権者から閲覧などを請求されることがあります。当事務所が議事録の作成をお手伝いするときは、決議の内容と議事の経過、会社法施行規則が定める記載事項(株主総会議事録は72条3項、取締役会議事録は101条3項)を、できるだけ正確に記載するようにしています。

当事務所の考え方

閲覧されることを意識した議事録とは、不都合な質問や反対意見を省いた議事録ではなく、法令上記録すべき事項を正確に残し、事実と推測を区別して、意思決定の経過と結果を客観的に伝えられる議事録だと考えています。

業務範囲について:閲覧請求をめぐる会社と株主・債権者との紛争、拒絶事由に当たるかどうかの法的な評価、裁判手続や交渉については、弁護士へのご相談をご検討ください。当事務所では、会社法関係書類の確認、株主総会・取締役会議事録の作成支援、商業登記などを中心にお受けしています。

5.閲覧請求についてよくあるご質問

取引先はすべて、決算書を閲覧できる「債権者」に当たりますか?

当然には当たりません。会社に対して代金の支払いなどを請求できる債権を持つ取引先であれば、債権者として、会社法442条3項により計算書類などの閲覧や謄本の交付などを請求できます。会社は、決算書の閲覧を求めてきた取引先が債権者に当たるかを、取引の内容などから確認します。

電子データで作った議事録なども、閲覧請求の対象ですか?

はい。会社法は、議事録などが電磁的記録(電子データ)で作られている場合について、その内容を法務省令で定める方法で表示したものの閲覧・謄写などの請求を定めています(例:会社法318条4項2号)。電子データで保存していることを理由に、請求に応じなくてよいことにはなりません。

閲覧の請求がなくても、会社が株主に提供したり公告したりする書類はありますか?

あります。取締役会設置会社では、定時株主総会の招集通知に際して、承認を受けた計算書類と事業報告などを株主に提供します(会社法437条)。また、株式会社は原則として、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社は貸借対照表と損益計算書)を公告します(440条1項)。これらは請求がなくても会社が行う手続で、本記事で扱う閲覧などの請求とは別の制度です。

正当な理由なく閲覧の請求を断ると、どうなりますか?

会社法の規定に違反して、正当な理由がないのに書類の閲覧・謄写や謄本の交付などを拒んだときは、取締役などが100万円以下の過料に処せられることがあります(会社法976条4号)。会社が断れる事由が定められている書類でも、その事由に当たるかどうかは請求ごとに確認します。

6.まとめ|閲覧請求を受けたときの整理

  1. 請求の条件で3つに分かれる理由を示さずに請求できる書類、理由を示して請求する書類、権利行使や責任追及に必要なときに限り請求できる書類に分かれます。取締役会などの議事録は、裁判所の許可が必要になることがあります。会計帳簿や委任状などは、株主だけが請求できます。
  2. 計算書類と会計帳簿は別の書類決算書である計算書類は、株主・債権者とも理由を示さずに請求できます。取引の記録である会計帳簿は、3%以上などの要件を満たす株主が、理由を示して請求する書類です。
  3. 請求を受けたら順に確認する請求者の立場、対象の書類と根拠条文、請求の理由・拒絶事由・裁判所の許可の要否、閲覧・謄写などの方法を順に確認します。

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司法書士法人LSO 代表社員 司法書士 金光康太

執筆・監修

金光 康太(かなみつ こうた)

司法書士(司法書士法人LSO 代表社員)

大阪・梅田の司法書士。スタートアップ・ベンチャー企業の資金調達、種類株式、ストックオプション、M&A・組織再編、IPO準備に伴う商業登記を中心に取り扱っています。U30堺市起業家輩出プログラムSIPメンター(2024年度・2025年度)。

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本記事について

本記事は、2026年(令和8年)10月時点の会社法・会社法施行規則などをもとに、株式会社の書類の閲覧・謄写などの制度を整理したものです。金融商品取引法による開示、証券取引所の開示制度、投資契約・株主間契約で定めた情報提供の約束は、本記事で扱う閲覧などの請求とは別の制度です。持分会社や特例有限会社については、別に確認が必要です。個別の事案では、会社の機関設計、定款、請求者の立場、対象の書類などを確認する必要があります。閲覧請求の範囲や拒絶事由の該当性、秘密情報の取扱いなどに争いがある場合は、弁護士にご相談ください。税務・会計上の判断は、税理士・公認会計士などにご相談ください。

条文の出典:e-Gov法令検索(会社法・会社法施行規則・会社計算規則・法人税法施行規則)。表の条文は、e-Govの本文から該当部分を引用し、省略した箇所を「…」で示しています。

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