商業登記の登録免許税|株式会社・合同会社の主な税額一覧と計算例

商業登記の登録免許税 株式会社・合同会社の主な税額一覧と計算例
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結論

登録免許税は、会社の設立や役員変更などの登記を法務局に申請するときに、国に納める税金です。書面で申請する場合は、税額分の収入印紙を申請書に貼り付けて納めることが多く、オンライン申請では電子納付もできます。

金額や計算方法は、登記の種類ごとに法律で決まっています。主な決まり方は次のとおりです。

資本金の額を基準に計算
株式会社・合同会社の設立は資本金の額、増資は増加する資本金の額に0.7%を掛けて計算します。最低額は、株式会社の設立15万円、合同会社の設立6万円、増資3万円です。

申請1件ごとの定額
役員変更1万円(資本金1億円超の会社は3万円)、商号や目的の変更3万円、解散3万円(清算人の登記とあわせて3万9,000円)など。

1か所ごとの定額
本店移転3万円(別の法務局の管轄へ移るときは合計6万円)、支店設置6万円。

複数の登記を同時に申請するときは、法律が定める区分ごとに計算した金額を合計します。例えば、資本金1億円以下の会社が商号と目的をまとめて変更すると3万円、同時に役員も変更すると1万円を足して4万円です。

このコラムの対象
このコラムでは、登録免許税法別表第一第24号が定める、株式会社(特例有限会社を含みます)・合同会社・合名会社・合資会社と、一般社団法人・一般財団法人(公益社団法人・公益財団法人を除きます)などの登記を対象にしています。解説の中心は、株式会社と合同会社です。

1.商業登記の登録免許税とは?|金額が決まる仕組み

登録免許税は、登記や登録などを受けるときに納める国税で、会社の設立や役員変更などの登記を申請するときにも必要になります。司法書士に依頼する場合の報酬とは別にかかります。

登録免許税は、どの登記でも同じ金額になるわけではありません。どのような登記をするのか、何を基準に税額を計算するのかによって変わります。その基本を定めているのが登録免許税法第9条です。

法律上の根拠|登録免許税法第9条(課税標準及び税率)

登録免許税の課税標準及び税率は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、登記等の区分に応じ、別表第一の課税標準欄に掲げる金額又は数量及び同表の税率欄に掲げる割合又は金額による。

つまり、登記の内容ごとに「計算のもとになる金額や数量」と「税率・税額」が法律で定められている、ということです。

出典:登録免許税法第9条|e-Gov法令検索

この「計算のもとになる金額や数量」を、法律では「課税標準」と呼びます。登記の種類によって、資本金の額を使うもの、申請の件数を使うもの、本店や支店の数を使うものがあります。

では、具体的にどの登記がいくらになるのでしょうか。次の章では、まず別表第一第24号の税区分の全体を確認し、そのあと株式会社・合同会社で申請の多い登記の一部を早見表にまとめます。

2.会社の商業登記の登録免許税一覧|別表第一第24号の29区分と主な登記の早見表

会社の登記にかかる登録免許税は、登録免許税法別表第一第24号に定められています。第24号は(一)〜(三)に分かれ、全部で29の税区分があります。(一)は会社や一般社団法人・一般財団法人などの登記、(二)は外国会社などの登記、(三)は清算に係る登記の区分です。よく使う登記の税額だけを知りたい場合は、この章の後半にある早見表をご覧ください。

登録免許税法 別表第一第24号の29区分

下の3つの項目を開くと、29区分を①登記の内容、②税区分、③課税標準、④税額・税率の形で確認できます。表の「イ・ロ・ハ」などは法律上の区分記号で、このあとの早見表や計算事例でも使います。

※表では条文の長い表現を一部省略しています。

第24号(一)・イ〜ナ国内会社などの21区分を開く設立・増資・役員変更・本店移転など

設立・変更・解散などに使うイ〜ナの区分です。「一般社団法人等」とは、一般社団法人・一般財団法人(公益社団法人・公益財団法人を除きます)をいいます。表中の「会社等」は条文の対象を簡略化しています。

登記の内容(要約) 税区分 課税標準 税額・税率
株式会社の設立(合併・分割などによるものを除く) イ 資本金の額 0.7%/最低15万円
合名会社・合資会社、一般社団・財団法人の設立 ロ 申請件数 1件6万円
合同会社の設立(合併・分割などによるものを除く) ハ 資本金の額 0.7%/最低6万円
株式会社・合同会社の資本金の増加(合併・分割によるものを除く) ニ 増加した資本金の額 0.7%/最低3万円
新設合併・組織変更・種類変更による株式会社・合同会社の設立 ホ 資本金の額 原則0.15%/超過部分0.7%・最低3万円
吸収合併による株式会社・合同会社の資本金増加 ヘ 増加した資本金の額 原則0.15%/超過部分0.7%・最低3万円
新設分割による株式会社・合同会社の設立 ト 資本金の額 0.7%/最低3万円
吸収分割による株式会社・合同会社の資本金増加 チ 増加した資本金の額 0.7%/最低3万円
相互会社の設立(合併・組織変更を含む) リ 申請件数 1件30万円
新株予約権の発行による変更 ヌ 申請件数 1件9万円
支店・従たる事務所の設置 ル 設置する支店等の数 1か所6万円
本店・主たる事務所・支店等の移転 ヲ 移転する本店等の数 1か所3万円
取締役会・監査役会・監査等委員会等/理事会に関する事項の変更 ワ 申請件数 1件3万円
取締役・代表取締役・監査役・会計監査人・社員等の変更 カ 申請件数 1件3万円/資本金の額が1億円以下の会社又は一般社団法人等は1万円
支配人の選任・代理権消滅 ヨ 申請件数 1件3万円
役員等の職務執行停止・職務代行者選任等 タ 申請件数 1件3万円
会社等の解散 レ 申請件数 1件3万円
会社継続、一定の無効判決による回復・設立無効等 ソ 申請件数 1件3万円
その他の登記事項の変更・消滅・廃止 ツ 申請件数 1件3万円
登記の更正 ネ 申請件数 1件2万円
登記の抹消 ナ 申請件数 1件2万円

合併・組織変更などに係るホ・ヘの税率について:0.15%が一律に適用されるとは限らず、法令が定める従前の資本金の額を超える部分には0.7%が適用されます。組織再編は計算が複雑なため、表は概略です。また、登録免許税法第17条の2・第17条の3や租税特別措置法などによる特例が適用されることがあります。

補足:税区分「ツ」の詳しい説明

「登記事項の変更、消滅又は廃止の登記(これらの登記のうちイからソまでに掲げるものを除く。)」

「ツ」は、他の個別の区分で扱われていない変更などに適用される区分です。例えば役員変更は「カ」、取締役会に関する変更は「ワ」という別の区分があるため、すべての変更登記が「ツ」になるわけではありません。

第24号(二)・イ〜ニ外国会社などの4区分を開く営業所設置・変更など
登記の内容(要約) 税区分 課税標準 税額・税率
外国会社等の営業所設置(ロに該当するものを除く) イ 営業所の数 1か所9万円
営業所を設置していない外国会社の登記/その外国会社が初めて設置する1営業所の設置 ロ 申請件数 1件6万円
上記・更正抹消以外の登記 ハ 申請件数 1件9,000円
外国会社等の更正・抹消 ニ 申請件数 1件6,000円
第24号(三)・イ〜ニ会社の清算に係る4区分を開く清算人・清算結了など
登記の内容(要約) 税区分 課税標準 税額・税率
清算人・代表清算人の登記 イ 申請件数 1件9,000円
清算人等の職務執行停止・代行者選任等 ロ 申請件数 1件6,000円
清算結了 ハ 申請件数 1件2,000円
清算に係る登記事項の変更・消滅・廃止、更正・抹消 ニ 申請件数 1件6,000円

区分を読む際の注意:例えば、株式会社の設立は「第24号(一)イ」、清算人・代表清算人の登記は「第24号(三)イ」です。同じ「イ」でも、(一)と(三)では別の区分になります。

※この一覧は登録免許税法別表第一第24号を対象としています。個人の商業登記(同表第29号)、特定目的会社(第25号)、投資法人(第26号)、有限責任事業組合(第27号)・投資事業有限責任組合(第28号)・限定責任信託(第28号の2)の登記など、第24号の対象外の登記を含めた「商業・法人登記の全税区分」ではありません。

主な登記の登録免許税(早見表・一部抜粋)

上の別表第一第24号の税区分のうち、会社でよく申請される登記の一部だけを抜き出してまとめた早見表です。すべての登記を網羅したものではないため、ここにない登記は、上の29区分の一覧で税区分を確認してください。金額は一般的な場合の目安で、税額が「資本金の額」などで変わるものは最低税額を記載しています。

登記の内容 税区分 一般的な登録免許税
株式会社の設立 (一)イ 資本金の0.7%(最低15万円)
合同会社の設立 (一)ハ 資本金の0.7%(最低6万円)
役員変更 (一)カ 1件1万円(資本金1億円超の会社は3万円)
代表取締役の住所変更 (一)カ 1件1万円(資本金1億円超の会社は3万円)
商号・目的の変更 (一)ツ 1件3万円(両方を同時に変えても1件3万円)
取締役会の設置・廃止 (一)ワ 1件3万円
本店移転 (一)ヲ 1か所3万円(管轄外への移転は合計6万円)
支店の設置 (一)ル 1か所6万円
通常の増資 (一)ニ 増加資本金の0.7%(最低3万円)
減資 (一)ツ 1件3万円
新株予約権の発行 (一)ヌ 1件9万円
解散 (一)レ 1件3万円
清算人・代表清算人の登記 (三)イ 1件9,000円
清算結了 (三)ハ 1件2,000円

※個別の要件、申請内容や特例によって異なる場合があります。

根拠条文・公式資料を確認する

3.主な登記の登録免許税と計算例|設立・変更・増資・解散

主な登記ごとに、税区分・税額と計算例をまとめました。複数の登記を同時に申請する場合の計算は、第4章で説明します。

3-1.会社設立の登録免許税

通常の設立登記は、株式会社も合同会社も資本金の額の0.7%で計算し、最低税額だけが異なります。

株式会社の設立

(一)イ

資本金 × 0.7%最低15万円

  • 資本金がおよそ2,142万円以下なら、計算した税額が最低税額に届かないため15万円

合同会社の設立

(一)ハ

資本金 × 0.7%最低6万円

  • 資本金がおよそ857万円以下なら、計算した税額が最低税額に届かないため6万円

同じ資本金300万円でも、納める額は次のように変わります。

例1|資本金300万円の株式会社を設立

300万円 × 0.7% = 2万1,000円

計算額が15万円未満なので、最低税額を適用します。

登録免許税:15万円(第24号(一)イ)

例2|資本金300万円の合同会社を設立

300万円 × 0.7% = 2万1,000円

計算額が6万円未満なので、最低税額を適用します。

登録免許税:6万円(第24号(一)ハ)

通常の設立以外の登録免許税

登記の内容税区分登録免許税
合名会社・合資会社の設立ロ1件6万円
新設合併・組織変更・種類の変更による設立ホ資本金の0.15%合併等の直前の資本金を超える部分は0.7%・最低3万円
新設分割による設立ト資本金の0.7%最低3万円
特例有限会社から通常の株式会社への移行ホ・レホの税額+3万円設立の登記は、登録免許税の計算上は(一)ホの組織変更による設立の登記とみなされます(登録免許税法第17条の3)。特例有限会社の解散の登記(税区分「レ」・3万円)もあわせて申請します。

設立登記の軽減措置:個人が、市区町村が作成して国の認定を受けた創業支援等事業計画にもとづく「特定創業支援等事業」の支援を受け、その市区町村内で株式会社・合同会社を設立した場合、2027年(令和9年)3月31日までに受ける設立登記の登録免許税は、株式会社が資本金の額の0.35%(最低7万5,000円)、合同会社が0.35%(最低3万円)に軽減されます(租税特別措置法第80条第3項)。自治体が発行する証明書が必要になるなど条件があるため、該当するかどうかは設立の手続に入る前に確認してください。中小企業庁の案内も参考になります。

株式会社の定款認証費用など、会社形態ごとの設立費用の比較は、会社設立の業務案内で紹介しています。

3-2.変更登記の登録免許税

役員の交代、商号や事業目的の変更、本店の移転など、変更登記の登録免許税は何を変更するかによって税区分と税額が変わります。よく申請される4つの変更登記をまとめました。

役員変更

(一)カ

1件1万円資本金1億円超の会社は3万円

  • 取締役・代表取締役・監査役などの変更
  • 合同会社の業務執行社員・代表社員の変更も「カ」
  • 役員3人が同時に重任しても、1件の申請としてまとめれば1件分

任期・登記の判断は取締役の任期と重任登記

商号・目的などの変更

(一)ツ

1件3万円

  • 会社の名前(商号)、事業目的、公告方法、発行可能株式総数などの変更
  • 定款変更のすべてが登記につながるわけではありません

登記が必要かどうかは定款変更と登記の要否

取締役会の設置・廃止など

(一)ワ

1件3万円

  • 取締役会・監査役会・監査等委員会・指名委員会等に関する事項の変更(例:取締役会設置会社の定めの設定・廃止)
  • 機関設計の変更でも、これら以外(監査役設置会社の定めなど)は「ワ」に当たりません

本店移転

(一)ヲ

1か所3万円

  • 同じ法務局の管轄内なら3万円
  • 別の法務局の管轄に移る場合は、旧所在地と新所在地の分で合計6万円
  • 管轄は法務局の管轄のご案内で確認できます

決議や申請方法は、定款変更の要否や移転先で変わります(本店移転登記の解説・業務案内)

組み合わせの例:取締役会の廃止にあわせて、監査役設置会社の定めを廃止し、監査役が退任する場合もあります。この場合、資本金1億円以下の会社では合計7万円です(内訳は第4章のCASE 04)。ほかの登記事項もあわせて変更する場合や、資本金が1億円を超える場合(9万円)は金額が変わります。

3-3.増資・減資・新株予約権の登録免許税

どれも会社の資本や株式に関わる登記ですが、増資は払込総額ではなく増加した資本金の額で、減資と新株予約権の発行は申請1件ごとの定額で計算します。

増資

(一)ニ

増加額 × 0.7%最低3万円

  • 通常の募集株式の発行による増資など
  • 払込総額ではなく、増加した資本金の額で計算

減資

(一)ツ

1件3万円

  • 減少額に0.7%を掛けて計算するのではありません

手続の流れは債権者保護手続のコラムで解説

新株予約権の発行

(一)ヌ

1件9万円

  • ストックオプションやJ-KISS型の新株予約権の発行
  • 行使・消滅・取得・消却などに伴う登記は9万円になりません(行使で資本金が増える場合は「ニ」、消滅は「ツ」の1件3万円)

増資の計算例

株式会社では、払い込まれた額の2分の1までは資本金に計上しないことができ、その額は資本準備金として計上します(会社法第445条第2項・第3項)。例えば、投資家から1,000万円の払込みを受け、そのうち500万円を資本金、残り500万円を資本準備金に計上する場合は、次のようになります。

計算例|1,000万円の払込みで資本金を500万円増やす場合

課税標準:増加する資本金500万円(資本準備金500万円は含めない)

500万円 × 0.7% = 3万5,000円

登録免許税:3万5,000円(第24号(一)ニ)

  • 1,000万円の全額を資本金にした場合は、1,000万円 × 0.7%=7万円です。
  • 資本金の増加額が100万円なら、計算上は7,000円ですが、法定最低税額の3万円が適用されます。
  • 増資と同時に種類株式の内容・発行可能種類株式総数などを変更して登記する場合には、税区分「ツ」の税額も必要となることがあります。

具体的な支援範囲は、資金調達・種類株式の業務案内とストックオプション発行手続をご覧ください。

3-4.解散・清算人・清算結了の登録免許税

会社は、解散しただけでは消滅しません。通常は清算人が残った財産や債務を整理する「清算」の手続に入り、それが終わってから清算結了の登記をします(合併による解散など、清算をしない場合を除きます)。株式会社が解散し、清算人・代表清算人を登記する一般的なケースでは、次の登録免許税がかかります。

解散のとき

解散の登記

3万円

第24号(一)レ

解散のとき

清算人・代表清算人の登記

9,000円

第24号(三)イ

清算が終わったとき

清算結了の登記

2,000円

第24号(三)ハ

解散のときの合計3万9,000円
清算結了までの合計4万1,000円

解散と清算人の登記の合計3万9,000円という金額は、法務局が公開している商業・法人登記のよくあるご質問(Q17)でも示されています。清算中に登記事項を変更した場合などは、別に登録免許税がかかります(第24号(三)ニの1件6,000円など)。

4.複数の登記を同時に申請するとき|8つの計算事例

ここまでは、登記ごとの税額を紹介しました。では、商号変更と役員変更のように複数の登記を同時に申請すると、どう計算するのでしょうか。複数の変更事項をまとめて申請する場合、必ずしも「変更した項目の数 × 3万円」になるわけではありません。どの税区分に属するか、何を課税標準とするかによって計算します。

1「1件○円」の変更は、まとめて1件分商号と目的の変更(ツ・1件3万円)など、同じ税区分の変更は、1件の申請としてまとめれば1件分
2税区分が違えば足し算役員変更と商号変更のように税区分が違えば、それぞれの税額を合計
3場所の数・資本金の額で計算本店・支店は同じ税区分でも1か所ごと、設立・増資は資本金の額で計算

※1通の申請書にまとめられるのは、申請人(会社)と管轄の法務局が同じ場合に限られます(法務局「よくあるご質問」Q9)。効力発生日の違いや登記期間の関係で別々に申請すると、それぞれに税額がかかります。

以下の事例は、いずれも資本金1億円以下の株式会社を前提にしています。

表の税区分の記号
ツ=その他の登記事項の変更・廃止など(1件3万円)/カ=役員に関する変更(1件1万円)/ワ=取締役会などに関する変更(1件3万円)/ヲ=本店の移転(1か所3万円)/ル=支店の設置(1か所6万円)/ニ=資本金の増加(増加額の0.7%、最低3万円)

CASE 01商号と目的を同時に変更する

登記する内容税区分登録免許税
商号の変更・目的の変更ツ3万円同じ税区分なので、まとめて1件
合計 3万円

CASE 02取締役3人が任期満了で重任する

登記する内容税区分登録免許税
取締役3人の重任カ1万円人数に関係なく1件
合計 1万円

資本金1億円を超える会社では3万円です。

CASE 03商号・目的の変更と役員変更を同時に行う

登記する内容税区分登録免許税
商号の変更・目的の変更ツ3万円同じ税区分なので、まとめて1件
役員の変更カ1万円
合計 4万円

CASE 04取締役会と監査役(監査役設置会社の定め)を廃止する

登記する内容税区分登録免許税
取締役会設置会社の定めの廃止ワ3万円
監査役設置会社の定めの廃止・株式譲渡制限の定めの変更ツ3万円取締役会を廃止すると、株式の譲渡を承認する機関も変えることが多く、どちらも「ツ」の1件にまとまります
監査役の退任カ1万円監査役の監査の範囲を会計に限定する旨の定めが登記されている場合は、その廃止も同じ1件に含まれます
合計 7万円

法務局の申請書記載例1-19と同じ内訳です。必要な登記は会社の定款や機関設計によって異なります。

CASE 05同じ法務局の管轄内で本店を移転し、商号も変更する

登記する内容税区分登録免許税
本店の移転(1か所)ヲ3万円
商号の変更ツ3万円
合計 6万円

CASE 06A種優先株式を発行して増資し、投資家側の取締役も就任する

登記する内容税区分登録免許税
資本金の増加ニ3万5,000円1,000万円の払込みのうち500万円を資本金にする場合(3-3の計算例と同じ)。500万円 × 0.7%
A種優先株式に関する定款変更ツ3万円発行可能種類株式総数や種類株式の内容の登記。まとめて「ツ」の1件
取締役の就任カ1万円
合計 7万5,000円

資金調達の場面でよくある組み合わせです。税区分が3つに分かれるため、それぞれの税額を足します。

CASE 07別の法務局の管轄へ本店を移転する

登記する内容税区分登録免許税
旧所在地での本店移転の登記ヲ3万円
新所在地での本店移転の登記ヲ3万円
合計 6万円

旧所在地あてと新所在地あての2つの申請を、旧所在地の法務局に同時に出します(商業登記法第51条)。

CASE 08支店を2か所設置する

登記する内容税区分登録免許税
支店の設置(1か所目)ル6万円
支店の設置(2か所目)ル6万円
合計 12万円

支店の設置は、申請件数ではなく支店の数で計算します。

※いずれも登録免許税の一般的な計算例です。税額は会社形態、資本金、対象となる登記事項、効力発生日、管轄、適用される特例などで変わります。

法律の根拠を見る|登録免許税法第18条

条文上の根拠|登録免許税法第18条(二以上の登記等を受ける場合の税額)

同一の登記等の申請書(当該登記等が官庁又は公署の嘱託による場合には、当該登記等の嘱託書)により、別表第一に掲げる登記等の区分に応じ二以上の登記等を受ける場合における登録免許税の額は、各登記等につき同表に掲げる税率を適用して計算した金額の合計金額とする。

つまり、1通の申請書で税区分の異なる複数の登記を申請するときは、税区分ごとに計算した税額を合計します(役員変更+商号変更なら「カ」+「ツ」)。なお、商号変更と目的変更のように同じ税区分の変更を1件の申請としてまとめるときは、別表第一の課税標準が「申請件数」であるため、1件分で足ります。

5.登録免許税の計算と納付の注意点|端数処理・軽減措置・納め方

早見表や29区分の表の税率を掛けるだけでは、最終的な登録免許税を求められない場合があります。計算の段階では端数処理と軽減措置・非課税の有無を、税額が決まった後は納め方を確認します。

計算の途中で端数を処理する

資本金の額などを基準にする場合は、原則として課税標準の1,000円未満を切り捨て、税率を掛けて計算した税額の100円未満を切り捨てます。

端数処理の流れが分かるよう、増加する資本金の額が5,012,345円の場合を例に見てみましょう。

数字で確認|端数処理の計算例を開く

5,012,345円 → 5,012,000円(課税標準)

5,012,000円 × 0.7% = 35,084円

登録免許税:35,000円

根拠は、国税通則法第118条(課税標準の端数)・第119条(税額の端数)および登録免許税法第15条です。第15条は、課税標準の全額が1,000円未満の場合に1,000円とする特則です。

軽減措置・非課税の適用有無を確かめる

特定創業支援等事業に係る証明書を利用する設立登記など、租税特別措置法などによる軽減措置が設けられている場合があります。また、住居表示の実施・変更や、行政区画の変更に伴う地番の変更などによって登記事項を変更する場合は、所定の証明書を添付すれば登録免許税がかかりません(登録免許税法第5条第4号・第5号)。なお、行政区画や町・字、またはそれらの名称が変わっただけの場合(地番の変更を伴わない場合)は、変更の登記があったものとみなされるため(商業登記法第26条)、会社が変更登記を申請する必要はありません。一般税率の一覧表だけで、個別案件の最終税額を確定しないようにします。

納め方を確認する

法務局に書面で申請する場合は、収入印紙を「収入印紙貼付台紙」に貼って納めることが多く、法務局の申請書様式の案内でもその方法が示されています(法務局「商業・法人登記の申請書様式」)。オンラインで申請する場合は、電子納付もできます(登録免許税法第24条の2)。なお、法律上は、現金で納付してその領収証書を貼り付けるのが原則で(同法第21条)、収入印紙で納められる場合は同法第22条・同法施行令第29条に定められています。

根拠条文・公式資料を確認する

6.司法書士として実際に確認しているポイント

登記費用の見積もりでは、税率を調べる前に「何を、いつ、どこに登記するのか」を整理することが欠かせません。当事務所では、登記手続を検討する際に、主に次の点を確認するようにしています。

1

今回変更する登記事項を、できるだけ漏れのないよう洗い出す。機関設計や種類株式の内容を変更するときは、連動して変更が必要となる事項がないか確認します。

2

「同日決議」と「同日効力発生」を区別する。同じ日の株主総会で決めた変更でも、効力発生日の違いや登記期間の関係で別々に申請すると、税額がそれぞれにかかることがあります。

3

課税標準を取り違えない。申請件数・資本金増加額・支店数など、税区分による違いを確認します。

4

役員変更では資本金の額を確認する。税区分「カ」は、1億円以下か超えるかで税額が変わります。

5

本店移転では管轄の内外を確認する。管轄外への移転は旧所在地と新所在地の双方について計算します。

6

軽減措置・非課税の適用を確認する。一般税率が当てはまらない場合や、非課税・軽減のために証明書の添付が必要な場合に注意します。

※案件によっては、ここに挙げていない点の確認が必要になることもあります。

当事務所の考え方

登録免許税の金額そのものは法律で決まっています。ただ、どの区分に当たるか、何件の申請になるかは、議事録に書く決議の内容や効力発生日の決め方で変わることがあります。

そのため当事務所では、税額は、決議の内容が固まり、登記すべき事項を洗い出した段階でお伝えするのが確実だと考えています。お見積りの段階では、前提にした登記事項もあわせてお伝えすることが多いです。

7.よくあるご質問

会社の変更登記は、すべて登録免許税3万円ですか?

いいえ。登記の内容(税区分)によって異なります。主な金額は第2章の早見表をご覧ください。

登記の申請を取り下げた場合、納めた登録免許税は戻ってきますか?

はい。原則として還付されます。登記所から税務署へ通知され、還付の手続に進みます(登録免許税法第31条第1項)。収入印紙や領収証書で納めていた場合は、取下げにあわせて申し出れば、取下げの日から1年以内に同じ登記所へ申請する登記に使い回せる証明(再使用証明)を受けることもできます(同条第3項)。

登録免許税を納めすぎていた場合は、どうなりますか?

登記を受けた日から5年を経過する日までに登記所へ申し出れば、還付を受けられます。税額の計算の誤りなどで納めすぎていた場合に、登記所から税務署への通知を請求する手続です(登録免許税法第31条第2項)。なお、登記所が納めすぎに気付いた場合も、登記所から税務署へ通知されます(同条第1項第3号)。

8.まとめ|まず早見表で税区分を確認する

会社の登記の登録免許税を確認するときは、まず第2章の早見表で該当する登記を探し、載っていない登記は29区分の表で「課税標準」と「税額・税率」を確認してください。

  1. 商号と目的のように、「1件○円」で課税される同じ税区分の変更は、まとめて申請すれば1件分(本店・支店は1か所ごと)。役員変更と商号変更のように税区分が違えば足し算です(第4章)。
  2. 申請件数で課税する登記と、資本金の額・本店や支店の数で計算する登記を区別します。
  3. 役員変更・本店移転・増資・解散など、個別に必要な登記事項を確定したうえで最終的な税額を算定します。

設立・変更登記の費用を具体的に確認したい方へ

定款・登記事項・変更内容を確認したうえで、必要となる登記手続と費用をご案内します。

司法書士法人LSO 代表社員 司法書士 金光康太

執筆・監修

金光 康太(かなみつ こうた)

司法書士(司法書士法人LSO 代表社員)

大阪・梅田の司法書士。スタートアップ・ベンチャー企業の資金調達、種類株式、ストックオプション、M&A・組織再編、IPO準備に伴う商業登記を中心に取り扱っています。U30堺市起業家輩出プログラムSIPメンター(2024年度・2025年度)。

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本記事の法的根拠と対象範囲

本記事は2026年(令和8年)10月時点で確認できる登録免許税法・租税特別措置法・国税通則法などの法令と、国税庁・法務局・中小企業庁の公表資料をもとに、株式会社・合同会社などの会社と、一般社団法人・一般財団法人などの登記に係る登録免許税を整理したものです。税区分表は登録免許税法別表第一第24号に限定しており、法令の内容を読みやすく要約しています。実際の税額は法令・特例・会社の状況・申請内容に応じて確認してください。

一次資料:登録免許税法(e-Gov) / 国税通則法(e-Gov) / 国税庁 No.7191 / 法務局・商業法人登記のよくあるご質問

会社法上の登記手続については司法書士へ、税務上の特例適用・会計処理・株価評価などについては税理士・公認会計士等へご相談ください。

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