会社名(商号)のフリガナはどう記載する?登記申請時のルールを司法書士が解説

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監修:司法書士法人LSO 代表社員 金光康太

結論

会社の正式な名称は「商号」といい、その読み方であるフリガナは登記事項ではありません。登記申請上、漢字の一般的な音読み・訓読みと一致させなければならないという明示的な取扱いは確認できず、当て字のような読み方を届け出ることも考えられます。

平成30年3月12日以降、商業・法人登記を申請する際は、申請書に会社・法人名のフリガナを記載します。フリガナは、「株式会社」などの法人の種類を表す部分を除き、片仮名で、スペースを空けずに記載します。

届け出たフリガナは登記事項証明書には表示されませんが、国税庁法人番号公表サイトで公表されます。また、金融機関の口座名義カナへ自動的に反映されるものではありません。会社設立時には、登記、銀行口座、請求書その他の社内外の書類で使用する読み方を統一しておくことが大切です。

こんにちは。司法書士の金光です。

会社設立や役員変更の登記をご依頼いただく際、「会社名のフリガナはどのように書けばよいですか」「アルファベットを含む社名にもフリガナが必要ですか」「漢字の一般的な読み方と異なるフリガナを届け出てもよいですか」といったご質問をいただくことがあります。

本記事では、商号とフリガナの法的な位置づけを確認したうえで、登記申請書への記載方法、設立済みの会社が後から申し出る方法、国税庁法人番号公表サイトへの掲載および金融機関の口座名義カナとの関係を解説します。

会社の正式な名称である「商号」とフリガナの関係

会社法第6条第1項は、会社の名称を「商号」とすると定めています。同条第2項は、株式会社・合名会社・合資会社・合同会社が、その種類に応じた文字を商号中に用いなければならないことを、同条第3項は、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならないことを定めています。

一方で、会社法第6条は、商号の読み方については何も定めていません。登記されるのは、定款および登記申請書に記載した文字としての商号であり、フリガナは登記事項ではなく、申請書の記載事項として商号とは区別して取り扱われます。

そのため、フリガナを届け出ても、登記された商号の文字そのものが変わるわけではありません。反対に、商号の文字を変更する場合には、定款変更と商号変更登記が必要です。

例えば、当法人の場合は次のとおりです。

項目 記載
名称 司法書士法人LSO
フリガナ エルエスオー

「司法書士法人」は法人の種類を表す部分であるため、フリガナには含めません。商号そのものの決め方は会社名の決め方|スタートアップの商号はピボットも見据えて考えるで解説しています。

一般的な読み方と異なるフリガナを届け出られるか

登記申請上、フリガナを漢字の一般的な音読み・訓読みと一致させなければならないという明示的な取扱いは確認できません。そのため、たとえば「地球」と書いて「ホシ」と読ませるような、一般的な読み方とは異なるフリガナを届け出ることも考えられます。

もっとも、届け出た読み方をその会社名やサービス名として事業上使用できるかどうかは、別の問題です。既存の商標や著名な名称との関係、許認可上の名称規制などについては、必要に応じて個別に確認する必要があります。

商標法や不正競争防止法に関する判断は司法書士の業務範囲ではありません。既存の商標との関係や、その名称を使用できるかどうかについては、弁理士または弁護士へご相談ください。

登記申請書にフリガナを記載するときのルール

法務省は、フリガナについて、法人の種類を表す部分を除いて、片仮名で、スペースを空けずに詰めて記載すると案内しています。

「株式会社」などの法人種別は含めない

「株式会社」「合同会社」「一般社団法人」「医療法人社団」「司法書士法人」など、法人の種類を表す部分はフリガナに含めません。当法人のフリガナは「エルエスオー」であり、「シホウショシホウジンエルエスオー」とは記載しません。会社の種類をまだ決めていない場合は、株式会社と合同会社の違いと選び方3つのポイントをご覧ください。

片仮名で記載する

会社・法人名に漢字、ひらがな、ローマ字、数字などが含まれていても、フリガナは片仮名で記載します。「司法書士法人LSO」の「LSO」の部分も、「エルエスオー」と片仮名で記載します。

スペースを空けずに記載する

商号では、ローマ字で複数の単語を表す場合に限り、単語の間を区切るためにスペースを使用できます。しかしフリガナでは、そのスペースを詰めて記載します。

記載例

「ABC Consulting株式会社」の場合、フリガナは「エービーシーコンサルティング」となります。商号中のスペースはフリガナでは詰め、「株式会社」の部分は含めません。

商号に符号を含む場合

商号には、ローマ字やアラビア数字のほか、法務大臣が指定した「&」「’」「,」「-」「.」「・」の6つの符号を使用できます。これらは字句(日本文字を含む)を区切る際の符号として使用する場合に限られ、商号の先頭または末尾には使用できません(「.」は省略を表すものとして末尾に使用できる場合があります)。詳細は法務省「商号にローマ字等を用いることについて」をご確認ください。

フリガナには、符号そのものを登録することはできません。ただし、符号を読み方に含める場合には、「&」を「アンド」、「.」を「ドット」のように片仮名で登録できると法務省が例示しています。

法務省が示しているのは「&」「.」についての例示です。それ以外の符号の読ませ方や、「&」を「アンド」以外の読み方にできるかについては、公表資料に明確な取扱いが示されていません。判断に迷う場合は、申請前に管轄法務局へご確認ください。

届け出たフリガナはどこに表示されるか

登記申請書や申出書に記載したフリガナは、履歴事項全部証明書などの登記事項証明書には表示されません。フリガナは登記申請書の記載事項であって、登記事項ではないためです。

一方、法務局へフリガナを記載した登記申請または申出を行った場合、そのフリガナは国税庁法人番号公表サイトを通じて公表されます。同サイトでは、商号または名称、本店または主たる事務所の所在地、法人番号などとあわせてフリガナを確認できます。

外国会社については、税務署に提出した届出書等に記載したフリガナが公表されます。また、有限責任事業組合契約および投資事業有限責任組合契約の情報は、法人番号公表サイトでは公表されていません。

設立済みの会社が届け出る・訂正する方法

すでに設立されている会社・法人についても、フリガナを登録できます。方法は2つあります。

次回の登記申請書に記載する

役員変更、本店移転、目的変更などの登記を申請する場合には、その登記申請書にフリガナを記載します。平成30年3月12日以降に登記申請等を行っていない法人は、法人番号公表サイトにフリガナが表示されていない場合がありますが、次回の登記申請等の際に記載すれば公表サイトにも表示されます。

役員の任期満了に伴う重任登記は定期的に発生します。任期がいつ満了するかの数え方は取締役の任期はいつまで?「定時株主総会の終結の時まで」の意味と重任登記で解説しています。

フリガナに関する申出書を提出する

当面、変更登記などを申請する予定がない場合には、「フリガナに関する申出書」を管轄法務局へ提出する方法があります。手数料はかかりません。申出書には、法人の代表者が管轄法務局に提出している印鑑を押します。

また法務省は、公表されているフリガナが誤っている場合には、会社または法人の代表者がいつでも同じ申出書を管轄法務局へ提出して再登録できると案内しています。設立登記法人のフリガナは法務省から提供される情報をもとに公表されているため、手続先は国税庁ではなく管轄法務局です。

申出書には登記所へ提出している印鑑を押すことが前提となっています。設立時に印鑑を提出していない会社の取扱いは、あらかじめ管轄法務局へご確認ください。印鑑提出の任意化については会社実印がなくても登記はできる?印鑑提出の任意化と電子署名の法的な位置づけで整理しています。

金融機関の口座名義カナとの関係

金融機関の口座名義カナは、登記申請書に記載したフリガナから自動的に登録されるものではありません。使用できる文字、文字数、法人種別の略称などの取扱いは金融機関によって異なる場合があるため、口座開設先へご確認ください。

法人口座を開設するときに確認すること

  • 金融機関が登録した正式な口座名義カナを控える
  • 請求書や振込先案内には、金融機関が指定した表記を使用する
  • 法務局へ届け出たフリガナと異なる場合、その理由を社内で共有しておく

会社設立時に読み方を統一しておく

フリガナは登記事項ではないものの、法人番号公表サイトでの公表、金融機関の口座名義、税務・社会保険関係の届出、請求書や振込先案内、金融機関・取引先へ提出する各種登録書類など、実務の広い場面で使用されます。

特に英字や造語を含む商号では、同じ文字でも複数の読み方が考えられます。設立時に次の表記をまとめて決めておくと、その後の手続が円滑です。

設立時に決めておきたい5つの表記

  1. 法務局へ届けるフリガナ
  2. 金融機関の口座名義カナ
  3. 顧客や取引先へ案内する読み方
  4. 英語表記
  5. サービス名・ブランド名との使い分け

なお、国税庁法人番号公表サイトでは、所定の手続により商号および本店所在地の英語表記を公表することもできます。これは登記申請書に記載するフリガナとは別の制度で、届出先も国税庁です。

設立日のご希望がある場合には、これらの確認を含めて逆算した日程を組みます。設立日の決まり方は会社の設立日はいつにする?土日・祝日も選べる新制度を司法書士が解説をご覧ください。

契約書には、原則として登記された正式な商号を記載します。フリガナは商号そのものではないため、契約書の当事者表示をフリガナに置き換えることはできません。

司法書士が登記申請時に確認する事項

当事務所では、会社からお伺いしたフリガナを登記申請書に記載し、次の点を確認しています。

  • 「株式会社」などの法人の種類を表す部分が含まれていないか
  • 片仮名で、スペースを空けずに記載されているか
  • 符号がそのまま記載されていないか(「アンド」「ドット」等の読みになっているか)
  • 英字・造語について、依頼者が希望する読み方を確認できているか
  • 商号中に空白や符号がある場合、フリガナ側の詰め方が統一されているか
  • 定款、登記申請書その他の設立書類で、商号の文字表記が一致しているか

会社名の読み方自体は、会社側で決めていただきます。定款に定める事業目的の決め方は会社の目的はどこまで書く?ピボット・許認可・法人口座を見据えた定款設計もあわせてご覧ください。

よくあるご質問

漢字の一般的な読み方と違うフリガナでもよいですか。

登記申請上、一般的な音読み・訓読みとの一致を求める明示的な取扱いは確認できません。ただし、その名称を事業上使用する際には、商標、許認可、金融機関の取扱いなどを別途確認する必要があります。

「株式会社」の部分もフリガナに含めますか。

含めません。法人の種類を表す部分を除いた商号部分のみを記載します。

フリガナは登記事項証明書に載りますか。

載りません。届け出たフリガナは、国税庁法人番号公表サイトで公表されます。

銀行口座名義にも同じフリガナが自動登録されますか。

自動では反映されません。口座名義カナは各金融機関のルールに基づいて登録されます。

フリガナだけを直したい場合、商号変更登記が必要ですか。

不要です。フリガナに関する申出書を管轄法務局へ提出します。商号の文字自体を変える場合は、定款変更と商号変更登記が必要です。

会社名のフリガナのまとめ

  • 会社法第6条が定めるのは「商号」であり、その読み方は登記事項ではありません
  • 登記申請上、一般的な音読み・訓読みとの一致を求める明示的な取扱いは確認できません。ただし、その名称を事業上使用できるかは別の問題です
  • フリガナは、法人の種類を表す部分を除き、片仮名で、スペースを空けずに記載します
  • 登記事項証明書には表示されず、国税庁法人番号公表サイトで公表されます
  • 登記申請の予定がなくても、管轄法務局への申出書で登録・訂正できます
  • 金融機関の口座名義カナは自動連動しないため、口座開設先で別途確認します

根拠となる法令・公的資料

司法書士法人LSOでは、株式会社・合同会社などの会社設立登記のほか、役員変更、本店移転、目的変更などの変更登記を取り扱っています。詳しくは会社設立の料金役員変更・各種変更登記をご覧いただき、司法書士法人LSOへご相談ください。

本記事は、2026年8月4日時点の法令並びに法務省、法務局および国税庁の公表資料をもとに作成しています。法令、様式および実務上の取扱いは変更されることがあります。具体的な手続については、最新の公表資料および管轄法務局の案内をご確認ください。

監修者

司法書士法人LSO 代表社員 司法書士 金光 康太

会社設立、資金調達、種類株式、新株予約権・ストックオプション、株主総会、M&A・組織再編等の商業登記・企業法務を取り扱っています。IPO・内部統制実務士、バトンズ認定M&Aアドバイザー、smartroundアドバイザー。

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※本コラムの内容は掲載時点の法令等に基づいています。法律や制度は改正されることがあり、個別の案件では事情により結論が異なる場合があります。

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