商号変更登記とは?会社名を変える手続・必要書類・費用

結論
会社名は、株主総会の特別決議(通常の決議より出席や賛成の要件が重い決議)で、定款(会社の基本ルール)に書かれた会社名を変更すると変わります。変わった日から2週間以内に、本店のある地域を担当する法務局へ、変更の登記(商号変更登記)を申請しなければなりません。
会社の名称(会社名)を、会社法では「商号」といいます(会社法6条1項)。商号変更登記の登録免許税は3万円です(会社法466条・309条2項11号・915条1項、登録免許税法別表第一第24号(一)ツ)。
1.商号変更登記とは?会社名を変えたら必要な登記
商号変更登記とは、会社名を変えたあとに、登記されている会社名を新しい会社名に改める登記です。会社名は、登記によってではなく、株主総会で定款を変更することによって変わります。登記は、変わった会社名を公示するために、そのあとで申請するものです。
この記事では、株式会社の場合を説明します。合同会社などの持分会社では、定款に別段の定めがない限り、定款の変更に総社員の同意が必要です(会社法637条)。また、特例有限会社が商号に「株式会社」の文字を用いて通常の株式会社に移行する場合は、定款の変更が登記によって効力を生じ、解散と設立の登記をするなど手続が異なるため、この記事では扱いません(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律45条2項・46条)。
会社名は、株主総会で定款を変更すると変わる
会社法は「会社は、その名称を商号とする。」と定めています(会社法6条1項)。つまり、会社の名称(会社名)を法律上「商号」といい、通称やサービス名とは区別されます。商号は定款に必ず書く事項なので(会社法27条2号)、会社名を変えるには、次の条文に基づき、株主総会の決議で定款を変更します。
変わった会社名は、2週間以内に登記する
商号は登記する事項でもあるため(会社法911条3項2号)、会社名が変わったら、次の条文により、2週間以内に変更の登記を申請しなければなりません。これが商号変更登記です。
会社法915条1項(変更の登記)
会社において第九百十一条第三項各号又は前三条各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない。
「第九百十一条第三項各号」は株式会社の登記事項で、その2号に「商号」が挙がっています。出典:会社法915条|e-Gov法令検索
登記は会社名を変えるための要件ではありません。ただし、登記をするまでは、会社名が変わったことを知らない相手に、変更を主張できないことがあります(会社法908条1項)。
時系列で表すと、次のとおりです。
2.商号変更の流れ|3つのステップ
商号変更は、次の3つのステップで進みます。
-
新しい会社名を決め、同じ住所に同じ会社名がないか調べる
同じ本店の所在場所に同じ商号の会社がすでに登記されていると、その商号では登記できません(商業登記法27条)。新しい会社名には「株式会社」の文字が必要です(会社法6条2項。使える文字は会社名の決め方)。
- 調べ方国税庁法人番号公表サイトなら、ログインも手数料も不要で、商号と所在地から検索できます。所在地は都道府県・市区町村まで選ぶと探しやすくなります(ご利用方法)。法務省のオンライン登記情報検索サービスでも調べられますが、利用者登録とログインが必要です。
- 注意見つからなくても安心とは限りません。サイトに載るのは登記が完了した会社だけです(国税庁FAQ)。同じ住所・同じ商号の申請が先に受け付けられ、その登記がされると、こちらは登記できません。登記は受付の順に行われるためです(商業登記法23条・24条12号)。レンタルオフィスなどでは起こりえます。

国税庁法人番号公表サイトの検索画面です。①商号の一部を入力し、②都道府県・市区町村を選んで、③検索します。
出典:国税庁法人番号公表サイト(国税庁)(https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/)を加工して作成 -
株主総会の特別決議で、定款の会社名を変更する
- 決議の要件株主総会に、議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上が賛成すること(会社法309条2項11号。定款で、出席の要件を3分の1まで下げたり、賛成の割合を引き上げたりしている会社もあります)
- 総会なしの場合取締役などの提案に、議決権を持つ株主全員が書面などで同意すれば、決議があったものとみなされます(会社法319条1項。みなし決議)

臨時株主総会議事録の記載例(イメージ)。①定款第1条を変える議案、②会社名が変わる日(決議の日より後にする場合)、③特別決議で可決したこと、を記載します。総会を開かずに決議した場合は記載が異なります。タップで拡大できます。 -
会社名が変わった日から2週間以内に、登記を申請する
会社が、本店を管轄する法務局へ申請します。司法書士に任せることもできます(会社法915条1項)。
- 期限の数え方会社名が変わった日から2週間。決議で後の日を定めなければ、決議の日が起点です
- 期限を過ぎると代表者が100万円以下の過料の対象になることがあります(会社法976条1号。変更登記の期限と過料)

登記申請のイメージです。オンライン・窓口・郵送のいずれかで申請できます。
3.商号変更登記の必要書類
株主総会を開いた場合、基本は、申請書・株主総会議事録・株主リストの3つです(法務局の記載例)。
次の表は、よく使う書類の例です。会社の状況によっては、表にない書類が必要になることもあります。
次の表で、書類ごとに何を書くのか、いつ必要になるのかを確認できます。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 申請書必ず | 変更前と変更後の商号、新しい商号のフリガナ、登録免許税などを書きます。 |
| 株主総会議事録必ず | 会社名を変えた決議の内容を書きます(商業登記法46条2項)。株主総会を開かずに決議した場合は、議事録に代えて、そのことを証する書面を付けます(同条3項)。記載のイメージは2章のSTEP2をご覧ください。 |
| 株主リスト必ず | 議決権の多い株主の氏名・住所・議決権数などを書き、代表者が証明します(商業登記規則61条3項)。 |
| 委任状場合により | 司法書士などに申請を任せる場合に付けます(商業登記法18条)。 |
| 定款場合により | 定款で株主総会の定足数(出席の要件)を引き下げていて(例:3分の1)、その定めによって決議が成立した場合などに付けます(商業登記規則61条1項)。 |
フリガナの書き方は株式会社のフリガナ(読み方)の書き方、どの書類に誰が押印するかは商業登記で押印が不要な書類・必要な書類で解説しています。
4.商号変更登記の費用
登録免許税は、申請1件につき3万円です(登録免許税法別表第一第24号(一)ツ)。
会社の目的の変更を同じ申請で行っても、同じ区分のため3万円のままです。ほかの登記と組み合わせる場合は商業登記の登録免許税一覧をご覧ください。
当事務所にご依頼いただく場合の費用
費用の目安は、次の表のとおりです。
| 費用 | 金額 |
|---|---|
| 当事務所の報酬 | 55,000円〜(税込) |
| 登録免許税 | 30,000円 |
| 登記事項証明書・通信費などの実費 | 約5,000円 |
| 総額の目安 | 90,000円〜 |
記載の金額は2026年(令和8年)11月時点のものです。最新の金額は料金表(商号・目的などの変更登記)でご確認ください。
報酬には、次の作業が一式で含まれます。商号の文言、株主総会の決議、定款、登記の内容がそろっている必要があるため、文言の検討から登記申請までを一括でお引き受けしています。弁護士などの専門家が関与し、決議書類や定款の変更案がすでに整っている場合は、業務の範囲に応じて個別にお見積りします。
- 定款と登記事項の確認
- 新しい商号の文言の検討
- 株主総会議事録・株主リスト・変更後の定款の作成
- 登記申請
当事務所の料金が「〜円から」となっている理由(料金表の考え方より)
5.商号変更登記と別に必要な手続|税務署・社会保険・銀行・不動産
商号変更登記をしても、税務署への届出や銀行口座の名義の変更が済むわけではありません。登記とは別に、会社が相手先ごとに手続をします。多くは登記の完了後に行いますが、社会保険・労働保険のように、会社名が変わった日から期限を数えるものもあります。
次の表は、主な手続の例です。会社の事業や契約によって、ほかにも手続が必要になることがあります。
期限のある手続は、いずれも会社名が変わった日から数えます。期限の早いものから順に並べると、次のとおりです。各手続の「根拠」には、届出や期限を定めた法令(銀行口座は銀行との契約)を示しています。
- 5日以内
社会保険の届出健康保険・厚生年金保険の適用事業所。「適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」を提出します
- 10日以内
労働保険の届出労災保険・雇用保険(従業員を雇っている会社)。「労働保険名称・所在地等変更届」と「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出します
- 許認可ごと
許認可の変更の届出許認可を受けている会社。届出が必要か、いつまでに出すかは、許認可ごとに異なります
- 速やかに
異動届出書(税務)登記の完了後に出すことが多い手続です。都道府県・市区町村への届出は、各自治体の案内に従います
- 2年以内
不動産の名称の変更の登記会社名義の不動産がある会社。法務局が職権で変える場合もあります
- 銀行の規定
銀行口座の名義の変更多くの預金規定は、名称などに変更があれば直ちに届け出ることとし、届出の前に生じた損害は銀行に過失がある場合を除き責任を負わないとしています。新しい登記事項証明書が必要になるため、実際は登記の完了後になります
社会保険・労働保険の届出には登記事項証明書(登記簿謄本)のコピーなどの添付を求められるため、登記の完了を待つと期限を過ぎることがあります(日本年金機構、大阪ハローワーク)。完了前に届け出る方法や、期限を過ぎた場合の扱いは、提出先か顧問の社会保険労務士にご確認ください。
異動届出書のくわしい内容は、異動届出書とは?で解説しています。異動届出書やインボイスの届出の内容は当事務所では判断していないため、顧問税理士へご相談ください。
会社名義の不動産がある場合
2026年(令和8年)4月1日から、不動産の所有者である会社は、名称の変更があった日から2年以内に、不動産の登記に記録された名称を変える登記(名称の変更の登記)を申請しなければなりません(不動産登記法76条の5)。正当な理由なく申請を怠ると、5万円以下の過料の対象になることがあります(同法164条2項)。
何をすればよいかは、不動産の登記に会社法人等番号が記録されているかどうかで分かれます。不動産の登記事項証明書で確認し、次の図に当てはめます。
法務局が商業登記の情報をもとに、職権で名称を変更します。
会社法人等番号が所有権の登記に記録されるようになったのは、2024年(令和6年)4月1日からです(同法73条の2第1項1号)。それより前から会社名義になっている不動産には、記録されていないことがあります。
6.司法書士として実際に確認しているポイント
商号変更のご依頼では、登記の書類だけでなく、次のような点も確認し、必要に応じてご案内しています。
会社の印鑑を作り直すか
旧商号が入った会社実印・銀行印・角印は、作り直すかを伺います。
会社実印(登記所に届け出た印鑑)を作り直すときは改印届が必要なため、商号変更登記の申請とあわせて届け出るようご案内することが多いです(法務局「印鑑(改印)届書」記載例)。
挨拶状・看板・名刺などを切り替える日
株主総会をまだ開いておらず、会社名を変える日を決めかねている方からご相談を受けたときは、挨拶状・看板・名刺・ウェブサイトを切り替えたい日を先に決め、その日を会社名が変わる日として決議する方法をお伝えすることもあります。会社名が変わる日は、決議の日より後の日にもできます(2章のSTEP3)。
会社名義の不動産があるか
会社名義の不動産がある場合は、不動産の登記事項証明書で、会社法人等番号が記録されているかを確認します。記録がなければ、名称の変更の登記を申請するか、会社法人等番号の申出をするか(5章「会社名義の不動産がある場合」)を、商号変更登記とあわせてご案内することが多いです。
7.よくあるご質問
- 変更前の会社名は、登記簿に残りますか?
-
残ります。履歴事項全部証明書には変更前と変更後の会社名が載り、現在事項全部証明書にも直前の会社名は載ります(商業登記規則30条1項1号・2号)。取引先や銀行などから、変更前と同じ会社であることを確かめたいと言われたときは、この証明書をお使いいただくことが多いです(証明書の種類は会社の登記簿謄本とは?で解説しています)。
- 登記が完了するまで、どのくらいかかりますか?
-
登記所や時期によって違います。法務局のホームページで、登記所ごとの登記完了予定日が案内されています(例:大阪法務局「登記完了予定日」)。銀行口座の名義の変更などは、完了後に取得する登記事項証明書を使って進めることが多いため、完了予定日を目安に、銀行などでの手続の日程を決めておくと進めやすくなります。
8.まとめ|商号変更登記の手続と費用
- 会社名は定款の変更で変わり、登記はそのあとの義務株主総会の特別決議で定款の会社名を変えると、会社名が変わります。登記は変更の要件ではありませんが、変わったあとに法務局へ申請する義務があります。
- 期限は会社名が変わった日から2週間以内、登録免許税は3万円基本の書類は、申請書・株主総会議事録・株主リストです。
- 登記とは別に、税務署・社会保険・銀行などの手続多くは登記の完了後に行いますが、社会保険(5日以内)と労働保険(10日以内)は、会社名が変わった日から期限を数えます。会社名義の不動産は、2年以内に名称の変更の登記が必要です(会社法人等番号が記録されていれば、法務局が職権で変更します)。
根拠条文(25件)・公的資料(12件)を見る
根拠条文
- 会社法6条(商号)
- 会社法27条2号(定款の記載又は記録事項)
- 会社法309条2項11号(株主総会の決議)
- 会社法319条1項(株主総会の決議の省略)
- 会社法466条(第2編第6章「定款の変更」)
- 会社法637条(定款の変更)
- 会社法908条1項(登記の効力)
- 会社法911条3項2号(株式会社の設立の登記・商号)
- 会社法915条1項(変更の登記)
- 会社法976条1号(過料に処すべき行為)
- 会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律45条2項(株式会社への商号変更)
- 商業登記法18条(申請書の添付書面)
- 商業登記法23条(登記の順序)
- 商業登記法24条12号(申請の却下)
- 商業登記法27条(同一の所在場所における同一の商号の登記の禁止)
- 商業登記法46条2項・3項(添付書面の通則)
- 商業登記規則30条1項1号・2号(登記事項証明書の記載事項)
- 商業登記規則61条1項(添付書面)
- 商業登記規則61条3項(添付書面)
- 登録免許税法別表第一第1号(十四)・第24号(一)ツ
- 不動産登記法73条の2第1項1号(所有権の登記の登記事項)
- 不動産登記法76条の5(所有権の登記名義人の氏名等の変更の登記の申請)
- 不動産登記法76条の6(職権による氏名等の変更の登記)
- 不動産登記法164条2項(過料)
- 建設業法11条1項(変更等の届出)
- 健康保険法施行規則30条(事業主の氏名等の変更の届出)
- 厚生年金保険法施行規則23条(事業主の氏名等の変更の届出)
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律4条の2第2項(保険関係の成立の届出等)
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則5条2項(保険関係の成立の届出等)
- 雇用保険法施行規則142条1項(事業主の氏名等の変更の届出)
- 消費税法57条の2第8項(適格請求書発行事業者の登録等)
公的資料
- 法務局「商業・法人登記の申請書様式」
- 法務局「株式会社変更登記申請書(商号の変更)」記載例(PDF)
- 法務局「印鑑(改印)届書」記載例(株式会社)(PDF)
- 国税庁法人番号公表サイト「ご利用方法(検索・閲覧、ダウンロード機能)について」
- 国税庁法人番号公表サイト「新たに設立登記した法人ですが、法人番号はいつから公表されますか。」
- 法務省「オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について」
- 法務省「スマート変更登記について」
- 法務省「所有権の登記名義人による法人識別事項(会社法人等番号等)の申出について」
- 法務省「令和6年4月1日以降にする所有権に関する登記の申請について」
- 国税庁「C1-8 異動事項に関する届出」
- 国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」問22(PDF)
- 日本年金機構「適用事業所の名称・所在地を変更するとき(管轄内の場合)の手続き」
- 大阪ハローワーク(ハローワーク門真)「事業所の方の雇用保険の手続き」
- 大阪法務局「登記完了予定日」
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本記事について
本記事は、2026年(令和8年)11月時点の会社法・会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律・商業登記法・商業登記規則・登録免許税法・不動産登記法・建設業法・健康保険法施行規則・厚生年金保険法施行規則・労働保険の保険料の徴収等に関する法律(同法施行規則を含む)・雇用保険法施行規則・消費税法と、法務省・法務局・国税庁・日本年金機構・厚生労働省の公表資料をもとに、司法書士法人LSOが、株式会社の商号変更登記の手続・必要書類・費用と、登記と別に必要な主な手続を整理したものです。主に株式会社を対象としています。個別の事案については、登記の前に専門家へご確認ください。
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