株主総会について|非公開会社を中心に基本を解説

株主総会について 非公開会社を中心に基本を解説
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結論

株主総会は、株式会社に出資する株主が集まり、役員の選任や定款の変更など、会社の基本にかかわることがらを決める会議です。会社法では、このように会社の意思を決める組織を「機関」と呼び、株主総会はすべての株式会社に必ず置かれる機関です。ただし、株主総会で何をどこまで決められるかは、取締役会を置いているかどうかで大きく変わります。

毎事業年度終了後の一定の時期に招集する定時株主総会のほか、必要がある場合には随時、株主総会を招集できます。株主が1人だけの会社でも株主総会で決めるべきことがらがなくなるわけではありませんが、その議案について議決権を行使できる株主全員が書面または電子データで同意すれば、実際に会議を開かずに決議があったものとみなす方法もあります。

1.この記事でいう「非公開会社」とは?

「非公開会社」と「非上場会社」は、同じ意味ではありません。

会社法は、「公開会社」を、その発行する全部または一部の株式について、譲渡による取得に株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社と定義しています(会社法2条5号)。

これに対し、発行するすべての株式について譲渡制限を設けている株式会社(会社法上は「公開会社でない株式会社」)を、一般に「非公開会社」と呼びます。簡単にいえば、「株式を譲渡するには会社の承認が必要」というルールを、すべての株式について定款に置いているかどうかの区別です(譲渡には売買だけでなく贈与なども含まれます)。

用語 判断するポイント
上場会社・非上場会社 株式が金融商品取引所に上場されているか
公開会社・非公開会社 株式の譲渡について会社の承認を必要とする定款の定めが、すべての株式にあるか

スタートアップやオーナー企業、中小企業では、株式が自由に第三者へ譲渡されないよう、すべての株式について譲渡制限を設けている会社が多くあります。本記事では、このような会社法上の「公開会社でない株式会社」を中心に説明します。

非公開会社でも取締役会を置いている会社があります

もう一つ最初に押さえておきたいのが、「非公開会社=取締役会を置いていない会社」ではないという点です。

非公開会社には、取締役会を設置していない会社と、取締役会を設置している会社の両方があります。そして、この違いによって、株主総会で決定できる事項や、招集の決定方法などが変わります。

本記事では、非公開会社の基本的な株主総会実務に範囲を絞ります。上場会社で特に重要となる電子提供措置や機関投資家対応などは扱いません。なお、株主総会参考書類は、書面・電磁的方法による議決権行使を採用する場合には非公開会社でも問題となるため、後続の「株主への情報提供」の記事で整理します。上場会社の1年の流れは、上場会社の年間スケジュールで別途解説しています。

2.株主総会とは?会社法295条から整理する

株主総会がどこまで会社のことを決められるかは、取締役会を設置しているかどうかによって大きく異なります。

会社法295条は、株主総会の権限を取締役会の有無で次のように分けています。

会社の機関設計 株主総会が決議できる範囲
取締役会を設置していない会社 会社法に規定する事項のほか、会社の組織・運営・管理その他会社に関する一切の事項(295条1項)
取締役会設置会社 会社法に規定する事項と、定款で定めた事項に限られる(295条2項)

条文そのものは次のとおりです。

会社法295条(株主総会の権限)

第二百九十五条 株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。
2 前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。
3 この法律の規定により株主総会の決議を必要とする事項について、取締役、執行役、取締役会その他の株主総会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めは、その効力を有しない。

※ e-Gov法令検索の条文を引用。「この法律に規定する事項」とは、取締役の選任、定款の変更、合併の承認など、会社法が「株主総会で決める」と定めていることがらを指します。

取締役会を置いていない会社では、株主総会の権限が広い

会社法295条1項では、株主総会は、会社法に規定する事項のほか、株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議できるとされています。そのため、取締役会を設置していない会社では、株主総会には幅広い意思決定権限があります。

取締役会設置会社では、株主総会の権限が限定される

これに対し、取締役会設置会社では、株主総会が決議できる事項は、原則として会社法に規定する事項と定款で定めた事項に限られます(295条2項)。取締役会設置会社では、業務執行の決定は原則として取締役会が担うためです(362条2項)。

なお、会社法の規定により株主総会の決議を必要とする事項について、取締役や取締役会など株主総会以外の機関が決定できることを内容とする定款の定めは、効力を有しません(295条3項)。「株主総会で決めるべき事項」は、定款で他の機関に移すことができないということです。

「重要なことだから株主総会」とは限らない

株主総会は「会社の最高意思決定機関」と説明されることがあります。会社の仕組みを大まかに理解するには分かりやすい表現ですが、実際の手続では、「重要なことだから株主総会で決める」と判断するのではなく、「この事項について、会社法と定款ではどの機関が決定することになっているか」を確認することが重要です。

特に取締役会設置会社では、この確認が欠かせません。

3.定時株主総会と臨時株主総会は何が違う?

定時株主総会と臨時株主総会は、別々の機関ではありません。どちらも株主総会であり、違うのは主に開催する時期です。

定時株主総会 臨時株主総会
開催時期 毎事業年度終了後の一定の時期 必要に応じて随時
会社法上の基本 毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない(296条1項) 必要がある場合には、いつでも招集できる(296条2項)
議題の例 計算書類の承認、役員改選など 定款変更、役員変更、増資、ストックオプション発行など

定時株主総会とは?

会社法296条1項は、定時株主総会を毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならないと定めています。

例えば3月決算の会社であれば6月頃に開催するケースがよくみられますが、会社法が一律に「決算日から3か月以内」と定めているわけではありません。実際の開催時期は、定款の定めに加え、定時株主総会の議決権について基準日を定めている場合には、その基準日との関係も確認する必要があります。会社法124条2項では、基準日を定める場合、基準日株主が行使できるものとして定める権利は、基準日から3か月以内に行使するものに限られています。

臨時株主総会とは?

会社法296条2項は、必要がある場合には、株主総会をいつでも招集できるとしています。このように、定時株主総会とは別に必要に応じて開催する株主総会を、実務上「臨時株主総会」と呼んでいます。

例えば、取締役を新たに選任したい、定款を変更したい、第三者割当増資を行いたい、ストックオプションを発行したい、といった場合に、必要な会社の意思決定を行うため臨時株主総会を開催することがあります。

定時株主総会では決算事項しか決められない?

そのような制限はありません。定時株主総会では計算書類に関する事項や役員改選を扱うことが多いものの、必要であれば定款変更など別の議案を同じ株主総会で決議することもできます。

反対に、「定時株主総会だからこの議案」「臨時株主総会だからこの議案」と、決議できる事項そのものが分けられているわけではありません。

役員の任期が「定時株主総会の終結の時まで」とされている場合の意味については、取締役の任期はいつまで?「定時株主総会の終結の時まで」の意味と重任登記で解説しています。

4.株主総会は誰が招集する?

株主総会は、原則として取締役が招集します。

会社法296条3項では、株主が会社法297条4項により招集する場合を除き、株主総会は取締役が招集するとされています。

ただし、ここでは「誰が招集事項を決定するのか」「誰が実際に株主総会を招集するのか」を分けて考えると分かりやすくなります。

会社の状況 基本的な考え方
取締役が1名の取締役会非設置会社 その取締役が招集事項を決定し、株主総会を招集する
取締役が複数いる取締役会非設置会社 定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数で招集事項を決定する(348条2項・3項3号)
取締役会設置会社 株主総会の日時・場所・目的事項(議題)などの招集事項を取締役会の決議で決定し(298条4項)、定款等に従って取締役が招集する
一定の要件を満たす株主 取締役に対して株主総会の招集を請求でき、一定の場合には裁判所の許可を得て自ら招集することも可能(297条)

取締役会を設置していない会社

取締役が1人であれば、その取締役が株主総会の日時、場所、目的事項などを決定して招集するのが基本です。

取締役会を設置していない会社で取締役が2人以上いる場合は、定款に別段の定めがある場合を除き、原則として取締役の過半数で招集事項を決定します(会社法348条2項)。会社法348条3項3号は、株主総会の日時・場所・目的事項など会社法298条1項各号の事項について、その決定を各取締役へ委任することができないとしています。取締役会を置いていないからといって、代表取締役1人が自由に株主総会の日程や議題を決められるとは限らない点に注意が必要です。

取締役会設置会社

取締役会設置会社では、株主総会の日時、場所、目的事項(議題)、書面や電子的な方法(電磁的方法)による議決権行使を認めるか、その他法務省令で定める事項といった「招集事項」を、取締役会の決議によって決定します(会社法298条1項・4項)。

そのうえで、定款等に従い、代表取締役などの取締役が実際の招集手続を行うのが一般的です。実務上の定款では、「株主総会は、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議により社長がこれを招集する」といった形で、実際に招集を行う取締役を定めている例があります。

「取締役会設置会社では取締役会が招集する」とだけ覚えないでください。会社側から招集する場合、会社法上の招集者は取締役であり(296条3項)、取締役会が決めるのは招集事項です(298条4項)。この2段階を分けて理解しておくと、取締役会議事録と招集通知に何を書くべきかが整理しやすくなります。

株主から株主総会の開催を求めることもできる

会社側だけが株主総会を開催できるわけではありません。一定の要件を満たす株主は、取締役に対して株主総会の招集を請求することができます。

会社法297条1項では、原則として総株主の議決権の3%以上を有する株主に招集請求権を認めています。定款でこれを下回る割合を定めることもできます。

ここで非公開会社に特徴的なのが、公開会社の場合に原則必要となる6か月の継続保有要件が、公開会社でない株式会社には適用されないことです(同条2項)。

また、請求後遅滞なく招集の手続が行われない場合や、請求の日から8週間(定款でこれを下回る期間を定めた場合には、その期間)以内の日を株主総会の日とする招集通知が発せられない場合には、請求をした株主は、裁判所の許可を得て自ら株主総会を招集できます(同条4項)。本記事では基本的な仕組みの紹介にとどめますが、株主間で意見が分かれている会社では重要になる論点です。

5.株主総会と取締役会は何が違う?

株主総会と取締役会は、構成する人も、会社法上の役割も異なります。

株主総会 取締役会
構成員 株主 取締役
すべての株式会社にあるか ある 設置していない会社もある
主な役割 会社法・定款に基づく会社意思の決定 業務執行の決定、取締役の職務執行の監督、代表取締役の選定・解職(362条2項)
役員選任との関係 取締役を選任する 取締役会設置会社では、選任された取締役の中から代表取締役を選定する

例えば、取締役会設置会社で「新しい取締役を選び、その取締役を代表取締役にしたい」という場合を考えてみます。取締役の選任は株主総会で行い、その後、代表取締役の選定を取締役会で行うことになります。

つまり、一つの手続の中でも、株主総会で決める事項取締役会で決める事項が連続して出てくることがあります。会社の機関設計を確認せずに議事録だけを作成すると、必要な会社意思決定を取り違える可能性があります。

6.株主総会では何を決める?

株主総会で決める事項は、会社の機関設計や定款、具体的な手続によって異なります。

非公開会社で実務上よく問題になる事項を例示すると、次のようなものがあります。

分野 株主総会で扱われる主な事項
役員 取締役・監査役の選任、解任、役員報酬に関する事項など
定款 商号、目的、株式、機関設計その他の定款変更
計算 計算書類の承認など(一定の場合には報告)
資金調達・資本政策 募集株式、新株予約権・ストックオプションの発行等
株式 株式譲渡の承認など、株主総会が承認機関となっている事項
組織再編等 一定の合併、会社分割、株式交換等

この表に記載した事項が、すべての会社ですべて株主総会決議になるという意味ではありません。あくまで非公開会社でよく登場する事項の例示です。

例えば、募集株式や新株予約権についても、取締役会を設置しているか、株主割当てか第三者割当てか、株主総会から委任を受けているか、定款にどのような定めがあるか、などによって必要な決議が変わります。非公開会社でも、株主総会の決議によって募集事項の決定を取締役・取締役会に委任できる仕組みがあり、詳しくは募集株式の「募集事項」とは?増資条件を取締役・取締役会に委任する方法で解説しています。

株式譲渡の承認機関も、取締役会を設置していない会社では原則として株主総会ですが、定款で別の機関を定めることができます(株式譲渡制限の承認機関は誰にする?)。

また、種類株式を発行している会社では、通常の株主総会とは別に種類株主総会の決議が必要になる場合もあります。

したがって実務では、何をするのか → どの機関で決めるのか → どのような決議要件が必要なのかという順番で確認します。普通決議・特別決議などの具体的な決議要件については、別の記事で詳しく解説します。

7.株主が1人だけでも株主総会は必要?

株主が1人だからといって、株主総会決議が必要な事項そのものがなくなるわけではありません。

例えば、株主総会で取締役を選任する必要がある場合や、定款変更について株主総会決議が必要な場合には、株主が1人の会社でも会社法に従った意思決定を行います。

ただし、株主1人が会議室に座り、自分自身だけで形式的に会議を開催しなければならない、というわけではありません。

実際に会議を開かずに決議できる制度がある

会社法319条には、株主総会の決議の省略という制度があります。取締役または株主が株主総会の目的事項について提案し、その事項について議決権を行使できる株主全員が、書面または電子データ(電磁的記録)によって同意した場合には、その提案を可決する株主総会決議があったものとみなされます(同条1項)。一般に「株主総会のみなし決議」と呼ばれる制度です。

株主が1人の会社では、その株主が必要な形で同意することによって、この制度を利用できるケースが多くあります。さらに、定時株主総会の目的事項のすべてについてこの決議があったものとみなされた場合には、その時に定時株主総会が終結したものとみなされます(同条5項)。

なお、みなし決議を行った場合、会社は同意の書面または電磁的記録を、決議があったものとみなされた日から10年間、本店に備え置く必要があります(同条2項)。あわせて議事録の作成も必要です(会社法318条1項、会社法施行規則72条4項1号)。「会議を開かなかったから記録もいらない」ということにはなりません。

なお、会社法319条は「決議」を省略する制度です。定時株主総会で事業報告の内容など報告すべき事項がある場合には、取締役が株主全員にその事項を通知し、株主全員が報告を要しないことに書面または電子データで同意することで報告があったものとみなす、会社法320条の「株主総会への報告の省略」も別途検討する必要があります。

会社法300条の「招集手続の省略」と、会社法319条の「株主総会の決議の省略」は別の制度です。前者は、株主全員の同意があるときに招集手続を省略して実際に株主総会を開催する方法です(書面・電磁的方法による議決権行使を定めた場合を除きます)。後者は、議決権を行使できる株主全員の同意によって株主総会を開催せずに決議があったものとみなす方法です。この違いは、非公開会社の株主総会実務では重要です。

8.実際に株主総会を開催するときは何を確認する?

株主総会で決議することが決まったら、次は開催手続を確認します。

非公開会社の株主総会では、大きく次の4つに分けると整理しやすくなります。

①いつまでに知らせる?②どうやって知らせる?③欠席する株主はどうする?④株主に何を見せる?
確認すること 主な論点
①いつまでに知らせる? 招集通知を発する期限、期間の数え方(会社法299条1項)
②どうやって知らせる? 書面、メール等による通知、招集手続の省略(299条2項・3項、300条)
③欠席する株主はどうする? 委任状、代理行使、議決権行使書面(310条、311条)
④株主に何を見せる? 書面・電磁的方法による議決権行使を採用した場合の株主総会参考書類等、任意の議案説明資料(301条・302条)

例えば、「招集通知をメールで送ってよいか」という問題と、「その招集通知を何日前までに送る必要があるか」という問題は別です。また、「欠席する株主から委任状をもらう」ことと、会社法311条の「書面による議決権行使」を採用することも、同じではありません。

そこで、本サイトでは具体的な開催手続を次の4記事に分けて解説します。

9.シリーズ|非公開会社の株主総会開催手続

開催手続は、「いつ?→どうやって?→欠席者は?→何を渡す?」の順に、1記事ずつ解説します。

  1. ① 招集期間非公開会社の株主総会の招集手続|招集通知は何日前?期間の数え方を解説「いつまでに株主へ知らせる必要があるのか」を解説します。
  2. ② 招集通知非公開会社の株主総会の招集通知|書面・メール・LINEはどう使い分ける?「どのような方法で株主へ通知できるのか」を解説します。
  3. ③ 議決権行使株主総会の委任状と議決権行使書面は何が違う?非公開会社の実務を解説株主が株主総会へ出席できない場合の議決権行使について解説します。
  4. ④ 株主への情報提供非公開会社に株主総会参考書類は必要?議案説明資料との違いを解説株主総会参考書類と、実務上任意に作成する議案説明資料などの違いを解説します。

※ 各記事は順次公開します。公開後、この一覧からリンクします。

10.司法書士として実際に確認しているポイント

当事務所では、株主総会の準備をするとき、いきなり招集通知や議事録を作成するのではなく、まず「誰が、どの機関で、何を決めるのか」を確認しています。

特に確認するのは次のような事項です。

① 登記事項証明書と定款

まず、取締役会設置会社なのか、取締役会非設置会社なのかを確認します。さらに定款から、株主総会の招集者、議長、招集通知の期間、決議要件、株式譲渡の承認機関などを確認します。設立後に定款変更を重ねている会社では、手元の定款が現在の内容を正しく反映しているかもあわせて確認します。

② 株主名簿・種類株式

誰が株主なのか、何株を保有しているのか、議決権はいくつあるのかを確認します。種類株式を発行している場合には、その内容や定款を確認し、通常の株主総会とは別に種類株主総会が必要にならないかも検討します。

③ 決議する内容

予定している事項について、株主総会なのか、取締役会なのか、種類株主総会なのかを確認します。募集株式や新株予約権などでは、過去の株主総会で取締役会等への委任が行われていないかも重要になります。

④ 投資契約・株主間契約

スタートアップでは、会社法と定款だけで手続が完結しないことがあります。VC等との投資契約や株主間契約に、一定の事項について投資家の事前承諾や通知を求める条項が設けられていることがあるためです。

投資契約・株主間契約の条項の解釈や、契約上の争いに関する判断は、当事務所の業務範囲ではありません。必要に応じて弁護士へご相談ください。当事務所では、契約上の手続と会社法上の手続が整合しているかを確認しています。

⑤ 株主総会後の手続

株主総会の決議後に、株主総会議事録、株主リスト、取締役会議事録、就任承諾書、登記申請、払込みその他資金調達手続などが必要になる場合があります。役員変更や増資など登記が必要となる事項は、変更が生じた日から原則として2週間以内に登記申請を行う必要があります(会社法915条1項)。

そのため、株主総会の日だけを見るのではなく、決議前から決議後までを一つのスケジュールとして確認することが重要です。

当事務所の株主総会・取締役会の運営支援では、定款、登記事項証明書、株主名簿、既存の投資契約等を確認したうえで、必要な決議機関、スケジュール、招集手続、議事録、登記までを一連の流れとして整理しています。料金は料金表(株主総会・議事録の運営支援)をご覧ください。

11.よくあるご質問

非公開会社では、株主総会が会社のことをすべて決めるのですか?

取締役会を設置していない会社では、会社法295条1項により、株主総会には会社に関する幅広い決議権限があります。一方、取締役会設置会社では、株主総会が決議できるのは、原則として会社法に規定する事項と定款で定めた事項です(同条2項)。そのため、非公開会社かどうかだけではなく、取締役会を設置しているかも確認する必要があります。

定時株主総会は毎年必要ですか?

会社法296条1項では、定時株主総会を毎事業年度の終了後一定の時期に招集することとされています。ただし、会社法319条の要件を満たして定時株主総会の目的事項のすべてについてみなし決議を行った場合には、その時に定時株主総会が終結したものとみなされます(同条5項)。

株主が1人なら、株主総会議事録も不要ですか?

株主が1人だからといって、株主総会決議やその記録が不要になるわけではありません。実際に株主総会を開催した場合だけでなく、会社法319条によるみなし決議を利用した場合にも、法令に従った議事録等を作成・保存する必要があります(会社法318条、会社法施行規則72条)。同意の書面または電磁的記録も、10年間本店に備え置きます(会社法319条2項)。

臨時株主総会は年に何回でも開催できますか?

回数の制限はありません。会社法296条2項は、必要がある場合にはいつでも株主総会を招集できるとしています。ただし、開催のたびに招集通知などの手続が必要になるため、複数の議案を1回の株主総会にまとめられないかを検討するのが一般的です。

12.まとめ|株主総会は、株主が会社の基本を決める機関

株主総会は、株式会社に出資する株主が集まって、役員の選任や定款の変更など、会社の基本にかかわることがらを決める機関です。すべての株式会社に必ずあり、株主総会を置かない株式会社はありません。

  • 取締役会を置いていない会社では、株主総会は会社に関するあらゆることがらを決められます。取締役会設置会社では、会社法と定款で定めた事項を決めます(会社法295条)
  • 毎事業年度の終了後一定の時期に招集する定時株主総会と、必要に応じて招集する臨時株主総会があります。どちらも同じ株主総会で、「定時だからこの議案」「臨時だからこの議案」と決議できる事項が分けられているわけではありません
  • 株主総会を招集するのは取締役です。取締役会設置会社では、日時・場所・議題を取締役会で決めてから招集します
  • 株主が1人でも、株主総会で決めるべきことがらはなくなりません。ただし、その議案について議決権を行使できる株主全員が書面または電子データで同意すれば、会議を開かずに決議があったものとみなす方法があります(会社法319条)

株主総会は「会社の最高意思決定機関」と呼ばれますが、その言葉だけで理解するのではなく、「この事項は、会社法と定款のうえで、どの機関が決めることになっているか」を確認することが、株主総会を正しく使う出発点です。

実際に株主総会を開催するときの手続(いつまでに・どのような方法で招集するか、欠席する株主の議決権や株主へ渡す資料をどうするか)は、「非公開会社の株主総会開催手続」シリーズでそれぞれ詳しく解説します。

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司法書士法人LSO 代表社員 司法書士 金光康太

執筆・監修

金光 康太(かなみつ こうた)

司法書士(司法書士法人LSO 代表社員)

大阪・梅田の司法書士。スタートアップ・ベンチャー企業の資金調達、種類株式、ストックオプション、M&A・組織再編、IPO準備に伴う商業登記を中心に取り扱っています。U30堺市起業家輩出プログラムSIPメンター(2024年度・2025年度)。

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参考・出典

会社法(2条5号、124条2項、295条〜302条、310条、311条、318条〜320条、348条、362条、915条1項) / 会社法施行規則(72条)

本記事について

本記事は、2026年9月時点の会社法および会社法施行規則をもとに、株主総会の基本的な仕組みを非公開会社を中心に一般向けに整理したものです。法令および実務上の取扱いは変更されることがあります。

具体的な会社に必要となる手続は、機関設計、定款、株主構成、種類株式の有無、投資契約その他の事情によって異なります。司法書士法人LSOでは、会社法上の手続、商業登記、定款、株主総会議事録・取締役会議事録等の会社法関係書類を中心にご相談をお受けしています。

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