非公開会社の株主総会の招集手続|招集通知は何日前?招集期間の数え方を解説

結論
非公開会社の株主総会では、招集通知は原則として株主総会の日の1週間前までに発しなければなりません。
ただし、書面・電磁的方法による議決権行使を認める場合や、会社法上の電子提供措置をとる場合には、株主総会の日の2週間前までとなります。また、取締役会を設置していない非公開会社では、2週間前ルールに該当しない株主総会について、定款で1週間を下回る期間を定めることができ、その定めがあるときは、定款所定の期間によります。
会社法299条の「株主総会の日の1週間前までに発する」とは、単に開催日の7日前に通知を発すれば足りるという意味ではありません。例えば9月18日に株主総会を開催する場合、1週間前ルールであれば9月10日までに招集通知を発する必要があります。
1.まず会社法299条を確認|非公開会社は原則「株主総会の日の1週間前まで」
非公開会社の招集期間を確認する出発点は、会社法299条1項です。
会社法299条1項は、株主総会の招集通知について原則として株主総会の日の2週間前までとしたうえで、公開会社でない株式会社(本記事では「非公開会社」といいます。)では、会社法298条1項3号・4号に掲げる事項を定めた場合を除き、株主総会の日の1週間前までとしています。
会社法299条1項(株主総会の招集の通知)
株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の二週間(前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めたときを除き、公開会社でない株式会社にあっては、一週間(当該株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前までに、株主に対してその通知を発しなければならない。
括弧書きが多い条文ですが、非公開会社の招集期間を判断するうえでは、まず次の3つを押さえると整理しやすくなります。
| 確認するケース | 招集通知の期限 |
|---|---|
| 非公開会社の原則 | 株主総会の日の1週間前まで |
| 書面・電磁的方法による議決権行使を認める場合、または会社法上の電子提供措置をとる場合 | 株主総会の日の2週間前まで |
| 取締役会を設置していない非公開会社 | 2週間前ルールに該当しない場合には、定款で1週間を下回る期間を定めることができます。 |
会社法299条の「発する」とは何を意味するのか、発送日と到着日のどちらを見るのか、期限や期間計算に土日・祝日が関係する場合をどう考えるのかは、シリーズ第2回で詳しく解説します。
法律上の基本を確認したら、次に自社の定款を確認します。
2.自社の現行定款を確認|「招集通知」の条項を探してみる
会社法299条の基本を確認したら、次に、自社の定款の「招集通知」の条項を確認してみましょう。
定款には、「株主総会」「招集」「招集通知」などの見出しの下に、招集通知を何日前までに発するかが定められていることがあります。例えば、次のような記載です。
定款の確認イメージ
(招集通知)
第○条 株主総会の招集通知は、会日の1週間前までに発する。
2 書面による議決権行使又は電磁的方法による議決権行使を認める場合には、招集通知は会日の2週間前までに発する。
※上記は、定款のどこを確認するかを分かりやすくするための記載イメージです。実際の手続では、自社の定款原文を確認してください。なお、会社法299条の通知の相手方となる「株主」の範囲は、会社法298条2項括弧書き(取締役会設置会社では同条3項による読替え)により判断します。
過去に定款変更をしていても、手元のWordやPDFが更新されていないことがあります。招集期限を決める前に、必要に応じて過去の株主総会議事録なども確認し、現在効力を有する定款の内容を確認します。
例えば、会社法上は株主総会の日の1週間前までで足りるケースでも、現行定款が「2週間前まで」と定めているのであれば、その定款の定めに反しないよう日程を組む必要があります。
現行定款を確認できたら、次に今回の株主総会にどの招集期間が適用されるかを判定します。
3.適用される招集期間は「1週間・2週間・定款所定の期間」のどれ?
非公開会社だからといって、すべての株主総会が「1週間前まで」になるわけではありません。今回の株主総会について、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
①会社法298条1項3号・4号に掲げる事項を定め、書面・電磁的方法による議決権行使を認める場合
②会社法325条の3第1項による電子提供措置をとる場合(単なるメール等での資料共有とは異なります)
2週間前まで①と②は別の制度です
取締役会設置会社で、STEP 1の2週間前ルールに該当しない場合、会社法上は原則として株主総会の日の1週間前までです。現行定款にこれより長い期間の定めがないかも確認します。
1週間前まで現行定款も確認
取締役会を設置していない非公開会社では、STEP 1の2週間前ルールに該当しない場合、定款で1週間より短い期間を定めることができます。実際の定款の文言を確認します。
NO:株主総会の日の1週間前まで長い期間の定めにも注意
このフローで「1週間前まで」と分かったとしても、まだ日付を単純に7日引いてはいけません。次に、会社法299条の「1週間前」を実際の日付でどう数えるかを確認します。
4.「株主総会の日の1週間前」はどう数える?9月18日開催なら9月10日まで
招集通知を株主総会の日の1週間前までに発する必要がある場合、通知を発した日と株主総会の日の間に丸7日間を確保する必要があります。
内閣府の公益法人メールマガジン(公益法人Information)は、一般社団法人の社員総会について会社法299条の解釈を参照し、招集通知の発信日と会日を算入せず、その間に丸1週間以上が必要と説明しています。日本公証人連合会も、2週間前の場合について、通知を発した日と株主総会の日との間に14日間を確保する必要があると説明しています。(内閣府 公益法人Information/日本公証人連合会 Q22)
時系列図|9月18日に株主総会を開催する場合
原則1週間
9月12日〜17日の6日間しかありません。
9月11日〜17日の7日間を確保できます。
会社法300条による招集手続の省略等がないにもかかわらず、法定または定款所定の招集期間を満たさない場合には、招集手続の法令・定款違反として、株主総会決議の取消事由となります(会社法831条1項1号)。取消しの訴えは、決議の日から3か月以内に提起する必要があります。
もっとも、違反する事実が重大でなく、かつ決議に影響を及ぼさないと認められる場合には、裁判所が請求を棄却できることがあります(同条2項。いわゆる裁量棄却)。ただし、決議に影響がないだけでは足りず、違反自体が重大でないことも必要です(江頭憲治郎『株式会社法〔第8版〕』385〜386頁)。取締役会の有効な決議を欠き、招集通知も法定の期間より2日不足していた事案では、招集手続の瑕疵が重大であるとして裁量棄却を認めなかった最高裁判例があります(最判昭和46年3月18日民集25巻2号183頁)。(会社法831条|e-Gov法令検索)
取消しを認める判決が確定するまでは、原則として決議は有効なものとして扱われますが、取消判決が確定すると、その決議は遡及的に効力を失うと解されています(会社法838条・839条参照)。
本章では「何日前までか」を確認するため、基本の日数だけを示しました。会社法299条の「発する」の意味、発送日と到着日のどちらを基準にするか、招集期限や期間計算に土日・祝日が関係する場合の考え方は、第2回「株主総会の招集通知|発信主義と土日・祝日の期間計算を解説」で整理します。
5.非公開会社でも法律上「2週間前」になるのは?2つのケース
非公開会社でも、次のいずれかに該当する場合には、招集通知は株主総会の日の2週間前までとなります。まずは2つのケースを分けて確認しましょう。
株主総会に出席しない株主が、議決権行使書面や電磁的方法によって賛否を示せるようにする場合です。
会社法325条の2以下に定める制度として、株主総会資料をウェブサイト等で電子提供する場合です。
書面・電磁的方法による議決権行使を認める場合
会社法298条1項3号・4号は、株主総会に出席しない株主が書面または電磁的方法によって議決権を行使できることとする場合について定めています。これらの事項を定めた場合、非公開会社について認められている「1週間前」への短縮は適用されず、株主総会の日の2週間前までに招集通知を発する必要があります。
「招集通知を紙で郵送すること」と「書面による議決権行使」は別です。招集通知を紙で送るだけで2週間前ルールになるわけではありません。ここでいう書面による議決権行使とは、欠席する株主が議決権行使書面によって賛否を示す制度を指します。
また、会社法298条2項にいう株主の数が1,000人以上となる場合には、原則として同条1項3号の事項を定める必要があります(取締役会設置会社では同条3項による読替えがあります。法定の例外もあります)。そのため、株主数が多い会社では、この2週間前ルールに該当しないかを確認します。
会社法上の電子提供措置をとる場合
ここでいう電子提供措置は、会社法325条の2以下に定められた制度としての「電子提供措置」を指します。
会社法325条の3第1項による電子提供措置をとる場合、会社法325条の4第1項により、会社法299条1項の招集期間は2週間として扱われます。
会社法298条|e-Gov法令検索 / 会社法325条の4|e-Gov法令検索
電子提供措置そのものの開始時期には別のルールがあります。本記事は「招集通知は何日前までか」に絞っているため、ここでは招集通知は2週間前までになることだけ押さえておきます。
6.取締役会を置かない非公開会社|定款で1週間より短くできる場合
取締役会を設置していない非公開会社では、今回の株主総会が2週間前ルールに該当しない場合、定款で1週間を下回る招集期間を定めることができます。
会社法299条1項は、非公開会社について原則1週間前としつつ、取締役会設置会社以外の株式会社では、これを下回る期間を定款で定めた場合には、その期間によることを認めています。
| 会社の機関設計 | 1週間より短い期間を定款で定められるか |
|---|---|
| 取締役会設置会社 | 会社法299条1項に基づき、定款によって1週間未満に短縮することはできません。 |
| 取締役会非設置会社 | 2週間前ルールに該当しない場合、定款で1週間より短い期間を定めることができます。 |
まず、現在効力を有する定款に実際にどのような招集期間が定められているかを確認します。
7.期限に間に合わないとき|株主全員の同意による招集手続の省略
招集期間を確保できない場合でも、一定の要件を満たせば、会社法300条により招集手続を省略して株主総会を開催できることがあります。
会社法300条(招集手続の省略)
前条の規定にかかわらず、株主総会は、株主の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。ただし、第二百九十八条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めた場合は、この限りでない。
したがって、会社法298条1項3号・4号に掲げる事項を定めていない場合には、会社法300条にいう「株主の全員」の同意を得ることで、通常の招集手続を省略することができます。
会社法300条で省略できるのは、株主に対する招集手続です。株主総会の日時・場所・目的事項などについて必要となる招集の決定や、会社法上別途必要となる手続まで当然に省略されるわけではありません。
会社法300条にいう「株主」の範囲は、会社法298条2項括弧書き(取締役会設置会社では同条3項による読替え)を踏まえて確認する必要があります。また、会社法300条の「招集手続の省略」と会社法319条の「決議の省略」は別の制度です。
会社法300条は同意の方式を定めていませんが、後日の紛争予防のため、実務では株主全員から招集手続省略についての同意書を取得しておくことが多く、株主総会議事録にもその旨を記載しておくと、手続の経緯が明確になります。
要件を満たさない場合には、開催日を変更して必要な招集期間を確保することも検討します。
8.司法書士として実際に確認しているポイント
実務では、非公開会社だからといって「1週間前」と決め打ちしません。現行定款 → 2週間前ルール → 取締役会の有無 → 実際の日付の順に確認すると、判断しやすくなります。
-
現在効力を有する定款を確認する
手元の定款が最新の定款変更を反映しているかを確認し、必要に応じて過去の株主総会議事録も確認します。
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今回の株主総会が2週間前ルールに該当しないか確認する
書面・電磁的方法による議決権行使の採否、会社法上の電子提供措置の有無などを確認します。株主数が多い会社では、会社法298条2項の適用も確認します。
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取締役会の有無と定款の招集期間を確認する
取締役会非設置会社で定款による短縮規定があるか、反対に会社法上の期間より長い期間を定款で定めていないかを確認します。
-
会日と通知日との間に必要な日数があるかカレンダーで確認する
「7日前」「14日前」とだけ考えず、通知を発する日と株主総会の日の間に必要な日数が確保されるかを確認します。
当事務所が登記案件や株主総会支援で過去の招集通知・議事録を確認すると、「開催日の7日前」をそのまま通知期限として処理したため、招集期間が1日不足しているケースに出会うことがあります。9月18日開催なら9月10日までというように、実際のカレンダーで確認することが重要です。
また、種類株式を発行している会社では、議案によって種類株主総会が別途必要となる場合があります。通常の株主総会と同日に開催する場合でも別個の総会ですので、それぞれの招集・決議手続を確認します。詳しくは「種類株主総会とは?必要な場面と決議要件」をご覧ください。
9.よくあるご質問
最後に、この記事の結論を間違えやすい2つの質問で確認します。
- Q.非公開会社なら、招集通知は必ず株主総会の日の1週間前まででよいですか?
-
いいえ。 書面・電磁的方法による議決権行使を認める場合や、会社法上の電子提供措置をとる場合には、株主総会の日の2週間前までとなります。また、取締役会を設置していない非公開会社では、一定の場合に定款で1週間を下回る期間を定めることができます。反対に、定款が会社法上の期間より長い期間を定めている場合には、その定款の定めも確認します。
- Q.9月18日に株主総会を開く場合、9月11日に招集通知を発せば1週間前になりますか?
-
いいえ。 1週間前ルールでは、通知を発した日と株主総会の日の間に丸7日間を確保する必要があります。9月11日に通知を発すると6日間しかないため、9月18日開催なら9月10日までに招集通知を発します。
10.まとめ|まず招集期間を判定し、会日との間に必要な日数を確保する
非公開会社の招集通知は原則として株主総会の日の1週間前までですが、現行定款・2週間前ルール・取締役会の有無を確認してから具体的な期限を決めます。
手元の定款が最新か、短縮規定だけでなく会社法上の期間より長い定めがないかも確認します。
非公開会社は原則1週間前。書面・電磁的方法による議決権行使や会社法上の電子提供措置では2週間前。取締役会非設置会社では定款所定の期間も確認します。
通知を発する日と株主総会の日の間に必要な日数を確保します。1週間前ルールでは、通知を発した日と株主総会の日の間に7日間を確保します。
例えば、株主総会を9月18日に開催し、1週間前ルールが適用される場合には、9月10日までに招集通知を発します。「開催日の7日前=9月11日」と処理しないよう注意が必要です。
ここまでで、まず確認すべき「招集通知は何日前までか」を整理しました。
「期限までに発する」とは具体的にいつを基準にするのか、発送日と到着日の違い、土日・祝日が関係する場合の考え方を、日程図を使って整理します。
シリーズ|非公開会社の株主総会の招集手続
本シリーズでは、非公開会社の株主総会の招集手続を、論点ごとに5回に分けて解説します。
株主総会そのものの基本、定時株主総会と臨時株主総会の違い、招集権者などは、親記事「株主総会について|非公開会社を中心に基本を解説」をご覧ください。
株主総会の日程・招集手続から確認したい方へ
司法書士法人LSOでは、定款・登記事項・株主構成を確認し、株主総会のスケジューリング、招集通知、議事録、必要な変更登記まで会社法手続の流れに沿ってサポートしています。
関連するご案内
主な根拠法令・参考資料
会社法298条(株主総会の招集の決定) / 会社法299条(株主総会の招集の通知) / 会社法300条(招集手続の省略) / 会社法325条の4(株主総会の招集の通知等の特則) / 会社法831条(株主総会等の決議の取消しの訴え) / 会社法838条(認容判決の効力が及ぶ者の範囲) / 会社法839条(無効又は取消しの判決の効力)
日本公証人連合会|Q22. 株主総会の招集通知について、注意すべき点は何ですか。
内閣府 公益法人Information|公益法人メールマガジン第54号(平成30年9月5日)「社員総会・評議員会・理事会招集通知の発信時期について」(一般社団法人・一般財団法人の招集通知について、会社法299条の解釈及び大審院昭和10年7月15日判決を参照して説明したもの)
江頭憲治郎『株式会社法〔第8版〕』(有斐閣)379頁、385〜386頁(決議取消事由としての招集手続の法令違反、会社法831条2項の裁量棄却)
最判昭和46年3月18日民集25巻2号183頁|有斐閣Online(判示事項:株主総会招集の手続に決議取消請求を裁量棄却することの許されない重大なかしがあるとされた事例)
金子登志雄・富田太郎『募集株式と種類株式の実務〔第2版〕』(中央経済社)200~202頁(株主総会と種類株主総会を同日に開催する場合の実務上の整理)
※本記事は非公開会社を中心とした一般的な制度・実務の解説です。具体的な株主総会手続では、会社の定款、機関設計、株主構成、議案内容等によって確認事項が異なる場合があります。
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