複数の種類株主総会はまとめて開催できる?同日開催・招集通知・議事録の実務

結論
複数の種類株主総会は、各会議体の招集手続と決議要件を個別に満たす限り、同じ日・同じ場所で開催することは差し支えないと考えられます。
最も明確なのは開始時刻を分ける方法ですが、複数の会議体を同じ時刻に共催し、一つの議事録にまとめる実務もあります。
ただし、共催しても各総会は別個の会議体です。構成員、議決権、成立状況および決議結果を会議体ごとに確認できるようにすることが重要です。
そもそも、どの場面でどの種類株主総会が必要になるのか、定款の「種類株主総会を要しない」旨の定めがどこまで及ぶのかについては、「種類株主総会とは?必要となる場面・決議要件・手続を司法書士が解説」をご覧ください。本記事は、必要な種類株主総会が複数あることを確認できた後の、開催方法と書類の整理を扱います。
「まとめて開催する」には、連続開催と同時開催があります
本記事でいう「まとめて開催する」とは、法的には別個の株主総会・各種類株主総会を、同じ日・同じ場所で行うことをいいます。開始時刻を分けて順番に行う方法(連続開催)と、同じ時刻に一回の進行の中で行う方法(同時開催・共催)があります。
種類株式による資金調達を重ねると、普通株式、A種優先株式、B種優先株式というように、会社が発行する株式の種類が増えていきます。その結果、一つの定款変更や資金調達について、通常の株主総会だけでなく、複数の種類株主総会が必要になることがあります。
複数の総会をまとめて行う方法は、大きく二つに分けて考えると分かりやすくなります。
① 同日・連続開催
10:00臨時株主総会
↓
10:30普通株式に係る種類株主総会
↓
10:45A種優先株式に係る種類株主総会
↓
11:00B種優先株式に係る種類株主総会
会議体ごとに順番に開会・採決・閉会するため、最も整理しやすい方法です。
② 同時開催・共催
10:00 同時スタート
- 臨時株主総会
- 普通株式に係る種類株主総会
- A種優先株式に係る種類株主総会
- B種優先株式に係る種類株主総会
一回の進行で行う場合も、成立状況と決議結果は会議体ごとに判定します。
どちらの方法を採っても、各種類株主総会が法的に一つの会議体へ合体するわけではありません。
各総会の開催日と場所が同じであっても、すべてが一つの総会になるわけではありません。同じ株主が複数の種類の株式を保有している場合には、実際に出席する人がほとんど変わらないこともあります。
それでも、その株主が、
- 会社全体の株主として議決権を行使する場面
- 普通株主として議決権を行使する場面
- A種優先株主として議決権を行使する場面
- B種優先株主として議決権を行使する場面
では、法的な立場が異なります。
構成員や議決権構成が異なる場合には、開始時刻を分けて、開会、成立確認、議案の説明、採決および閉会を会議体ごとに順番に行う方法が、最も明確です。
一方で、各会議体の成立状況と決議結果を明確に区別できるようにすれば、複数の総会を同じ時刻に共催する方法も実務上考えられます。当事務所の実例は、後記「議事録」でご説明します。
複数の種類株主総会は同じ日に開催できますか
会社法には、複数の種類株主総会をそれぞれ別の日に開催しなければならないという規定はありません。
したがって、各種類株主総会について必要な招集手続を行い、それぞれの会議体を区別して運営する限り、同じ日・同じ場所で連続して開催することは差し支えないと考えられます。
ただし、同日開催によって簡略化できるのは、主に日程の設定と書類の送付方法です。各種類株主総会について必要となる次の確認を、一括して省略することはできません。
- 構成員となる種類株主
- 議決権を行使できる株主
- 総議決権数
- 出席議決権数
- 適用される決議要件
- 賛成議決権数
- 決議の成否
招集通知の期間も、会議体ごとに確認します
種類株主総会の招集手続には、会社法第325条により、株主総会に関する規定が準用されます。招集通知を一つの送付物にまとめる場合でも、各総会について、会社法第299条第1項所定の期間を満たしているかを個別に確認します。
各総会の開催日が同じであり、同じ発送日がそれぞれの招集通知期間を満たす場合には、総会ごとに発送日を分ける必要はありません。
なお、会社法第298条第1項第3号または第4号に掲げる事項、すなわち書面または電磁的方法による議決権行使を定めた場合を除き、その種類株主総会において議決権を行使できる株主全員の同意があるときは、会社法第300条により招集手続を省略できます。この同意も、会議体ごとに確認します。
会社法は種類ごとの「各種類株主総会」を予定しています
複数の種類株主総会を同じ日に開催しても、各種類の議決権を合計し、一回の多数決で決議することはできません。
会社法第322条第1項は、ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合について、次のように規定しています。
「当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会……)の決議がなければ、その効力を生じない。」(会社法第322条第1項・一部抜粋)
「種類別に区分された」「各種類株主総会」とされている点が重要です。普通株主、A種株主およびB種株主について同項に基づく決議が必要となる場合には、それぞれの種類株主総会について、決議が成立しているかを確認します。
決議要件も種類ごとに確認します
会社法第322条第1項の種類株主総会は、同法第324条第2項第4号により、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合はその割合以上)を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって決議します。
例えば、次のような議決権数であるとします。
表は横にスクロールしてご覧いただけます。
| 種類 | 総議決権数 | 出席議決権数 | 賛成議決権数 | 出席議決権に対する賛成の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 普通株式 | 600個 | 500個 | 400個 | 5分の4 |
| A種優先株式 | 100個 | 100個 | 100個 | 全部 |
| B種優先株式 | 300個 | 200個 | 100個 | 2分の1 |
この場合、三つの種類の議決権を合計して、全体で賛成が多いかどうかを判定するわけではありません。定款に別段の定めがないものとすると、普通株式およびA種優先株式に係る各種類株主総会は3分の2以上の賛成を得ていますが、B種優先株式に係る種類株主総会は3分の2に達していないことになります。
必要な種類株主総会のうち一つでも決議が成立しなければ、ほかの種類株主総会で承認されていても、予定していた行為を進められない場合があります。各種類株主総会について、次の事項をそれぞれ確認します。
- 会社法第324条第2項所定の定足数を満たしているか
- 定足数について、定款で3分の1以上の別の割合が定められていないか
- 原則として、出席した種類株主の議決権の3分の2以上の賛成を得ているか
- 出席議決権の3分の2を上回る賛成割合が、定款で定められていないか
- 一定数以上の種類株主の賛成など、追加の決議要件が定款で定められていないか
資金調達・資本政策の手続では、この判定を種類ごとに整理したうえで書類を作成しています。
「共同種類株主総会」とは異なります
「共同種類株主総会」は、会社法上の一般的な定義語ではありません。本記事では、実務書で用いられている呼称にならい、定款により、A種株主とB種株主など複数の種類株主を構成員とする一つの種類株主総会を設ける場合を指します。
これに対し、本記事で扱う同日開催では、普通株式、A種優先株式、B種優先株式に係る各種類株主総会は、法的には別個の会議体として存在します。書類を減らす目的だけで、法令または定款上別々に必要となる種類株主総会を、共同種類株主総会として処理することはできません。
招集通知はまとめられますか
普通株主、A種優先株主、B種優先株主で招集の対象となる株主が異なる場合には、各種類株主総会の招集通知を別々に作成する方法が最も明確です。
もっとも、書類の送付方法まで別々にする必要はありません。同じ株主に対して複数の招集通知を送る場合には、各招集通知を一つの封筒にまとめて送付することができます。
取締役会設置会社である場合、または書面もしくは電磁的方法による議決権行使を定めた場合には、会社法第299条第2項により、書面による招集通知が必要です。これに代えてメール等の電磁的方法で通知するには、同条第3項に基づく株主の承諾等の要件を満たす必要があります。
これらに該当しない会社では通知方法の取扱いが異なるため、会社の機関設計、定款および議決権行使の方法を確認します。
また、同一の株主が複数の総会で議決権を行使できる場合には、その株主に対する一つの書面の中で、各総会の招集事項を明確に区分して記載する方法も考えられます。
いずれの方法を採る場合も、少なくとも次の事項が各種類株主総会について分かるようにします。
- 会議体の名称
- 開催日時
- 開催場所
- 議案
- 通知の対象となる種類株主
- 議決権を行使できる事項
- その他、法令または定款上必要となる事項
書面や送付方法をまとめても、各種類株主総会の招集手続や決議が一つになるわけではありません。
以下の書類サンプルは、複数の総会を同日に行う場合の書類構成を説明するために、当事務所が作成した簡略例です。書籍や書式集の転載ではありません。実際に必要となる記載事項、通知の対象者、添付書類および決議要件は、会社の機関設計、定款、議案、株主構成、議決権行使の方法等によって異なります。そのまま転用せず、個別の内容に合わせて調整する必要があります。
基本形|招集通知を別紙に分け、一つの送付物にまとめる例
次は、A種優先株式を保有し、かつ、臨時株主総会でも議決権を行使できる株主に対して、その株主が議決権を行使できる各総会の招集通知をまとめて送付する場合の例です。
書類イメージ
令和○年○月○日
A種優先株主 ○○ ○○ 様
株式会社○○
代表取締役 ○○ ○○
総会関係書類送付のご案内
当会社が同日に開催する総会のうち、貴殿が議決権を行使することができる総会に関する書類を、次のとおり送付いたします。
同封書類
- 臨時株主総会招集ご通知 1通
- A種優先株式に係る種類株主総会招集ご通知 1通
- 各議案の参考資料 1式
各総会は別個の会議体です。開催日時、議案および議決権行使の方法については、それぞれの招集通知をご確認ください。
別紙1|臨時株主総会招集ご通知の表示例
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会議体 | 臨時株主総会 |
| 開催日時 | 令和○年○月○日 午前10時00分 |
| 開催場所 | 当会社本店会議室 |
| 招集の対象 | 当該臨時株主総会において議決権を行使できる株主 |
| 決議事項 | 第1号議案 定款一部変更の件 |
別紙2|A種優先株式に係る種類株主総会招集ご通知の表示例
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会議体 | A種優先株式に係る種類株主総会 |
| 開催日時 | 令和○年○月○日 午前10時45分 |
| 開催場所 | 当会社本店会議室 |
| 招集の対象 | 当該種類株主総会において議決権を行使できるA種優先株主 |
| 決議事項 | 第1号議案 定款一部変更の件 |
表示上の補足
上記の「招集の対象」欄は、読者が各総会の対象者を理解しやすいように設けた説明用の項目です。法令上、招集通知にこの名称の欄を設けることが求められているわけではありません。招集通知に記載する事項は、会社法第299条第4項および同法第298条第1項各号によります。
この例のポイント
招集通知そのものは会議体ごとに分けたうえで、一つの送付状、一つの封筒、または電磁的方法による通知の要件を満たす場合には一通のメール等にまとめています。株主ごとに、実際に議決権を行使できる総会の書類だけを送る形にすると、その株主がどの総会へ招集されているのかが明確になります。
補足|一つの書面が複数の招集通知を兼ねる場合
同一の株主が複数の総会で議決権を行使できる場合には、一つの書面の中を次のように区分する方法も考えられます。
- 第1 臨時株主総会の招集事項
- 第2 普通株式に係る種類株主総会の招集事項
- 第3 A種優先株式に係る種類株主総会の招集事項
この場合も、各総会について、日時、場所、議案その他の必要事項を個別に記載します。
招集の対象となる株主が総会ごとに異なるにもかかわらず、すべての株主へ同一内容の書面を一律に送付する方法は、当事務所では基本形としていません。自分がどの総会へ招集されているのかが読み取りにくくなるためです。
別パターン|臨時株主総会と普通株式に係る種類株主総会を同じ時刻に開催する例
通常の株主総会と普通株式に係る種類株主総会について、議決権を行使できる株主および議決権構成が一致する場合には、両総会を同じ日時・場所で、一回の進行の中で行う方法も考えられます。
実務書では、このような開催方法を「共催」と表現する例があります。
ただし、両総会は法的には別個の会議体です。同じ時刻に開催する場合も、各総会について、招集手続、成立状況、決議要件および決議結果を区別して確認します。
この例の前提
- 普通株式とA種優先株式を発行している会社
- A種優先株式は、通常の株主総会において議決権を有しない
- 通常の株主総会で議決権を行使できる株主と、普通株式に係る種類株主総会で議決権を行使できる株主が一致している
- 両総会における議決権構成も一致している
- 第1号議案は両総会で決議する
- 第2号議案は臨時株主総会だけで決議する
- 第1号議案については、法令および定款上、臨時株主総会と普通株式に係る種類株主総会の決議が必要となる一方、A種優先株式に係る種類株主総会の決議を要しない事案を想定している
書類イメージ
株式会社○○
代表取締役 ○○ ○○
臨時株主総会及び普通株式に係る種類株主総会招集ご通知
当会社は、次のとおり、臨時株主総会及び普通株式に係る種類株主総会を開催いたします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開催日時 | 令和○年○月○日 午前10時00分 |
| 開催場所 | 当会社本店会議室 |
臨時株主総会の会議の目的事項
- 第1号議案 定款一部変更の件
- 第2号議案 取締役1名選任の件
普通株式に係る種類株主総会の会議の目的事項
- 第1号議案 定款一部変更の件
第1号議案については、臨時株主総会と普通株式に係る種類株主総会を同じ進行の中で審議し、それぞれの会議体において決議します。
第2号議案については、臨時株主総会においてのみ審議し、決議します。
以上
この例のポイント
- 二つの総会は、開催日時と場所が同じです
- 第1号議案は、二つの会議体でそれぞれ決議します
- 第2号議案は、臨時株主総会だけの議案です
- 一回の進行で審議する場合も、決議の成立は会議体ごとに確認します
- 議事録では、両総会の成立状況、決議要件および決議結果を区別して記録します
ご注意
この例は、通常の株主総会と普通株式に係る種類株主総会において、議決権を行使できる株主および議決権構成が一致する場合を想定しています。普通株式、A種優先株式、B種優先株式などで構成員または議決権構成が異なる各種類株主総会へ、そのまま当てはめるものではありません。
構成員が異なる場合には、開始時刻をずらして連続開催する方法が最も明確です。もっとも、招集通知および議事録において各会議体を区別できるようにすれば、構成員が異なる複数の会議体を同じ時刻に共催する方法も実務上考えられます。この点は、次章および当事務所の実例で説明します。
書面決議も会議体ごとに整理します
種類株主総会についても、会社法第325条により同法第319条が準用され、いわゆる書面決議(決議の省略)を利用できます。
各種類株主総会で議決権を行使できる株主の全員が、提案事項について書面または電磁的記録により同意した場合には、その種類株主総会の決議があったものとみなされます。
複数の種類株主総会を書面決議とする場合には、提案書や同意書を一つの送付物にまとめることも考えられます。ただし、同意書では、例えば次のように、どの会議体の構成員として同意するのかを明確にします。
「普通株式に係る種類株主総会に対する提案に同意します。」
「A種優先株式に係る種類株主総会に対する提案に同意します。」
単に「上記議案に同意します」とだけ記載すると、通常の株主としての同意なのか、種類株主としての同意なのかが不明確になる場合があります。
また、書面決議では、多数決ではなく、その種類株主総会において議決権を行使できる株主全員の同意が必要です。
1名でも同意が得られていない段階では、会社法第319条による決議の省略は成立しません。提案内容を変更せずに未同意者から同意を得る、提案内容を見直して改めて全員の同意を得る、または実際に種類株主総会を開催して決議するなどの対応が考えられます。
同意書のイメージ
書面決議を利用する場合には、各会議体に対する提案内容を特定したうえで、その総会で議決権を行使できる株主の全員から同意を取得します。同意書は、株主ごとに、その株主が議決権を行使できる会議体だけを記載する方法が明確です。
書類イメージ
同意書
私は、別紙提案書記載の次の提案について、各会議体において議決権を行使することができる株主として同意します。
- 臨時株主総会に対する提案
第1号議案 定款一部変更の件 - A種優先株式に係る種類株主総会に対する提案
第1号議案 定款一部変更の件
令和○年○月○日
住所 ○○○○
氏名または名称 ○○○○
このサンプルの注意点
- 「定款一部変更の件」という表題だけでなく、変更内容を記載した提案書を添付するか、同意書と一体のものとします
- その株主が議決権を行使できない会議体は、同意書に記載しない方が明確です
- 一つの署名で複数の提案に同意する場合も、どの会議体のどの提案に同意するのかを個別に特定します
- 各種類株主総会について、その総会で議決権を行使できる株主全員の同意が必要です
チェックボックスだけを並べた共通様式は、対象外の会議体への同意なのか、単に未選択なのかが後から読み取りにくくなります。当事務所では基本形としていません。
議事録は分ける方法が明確ですが、一つにまとめる実務もあります
構成員が異なる複数の種類株主総会について、会議体ごとに別々の議事録を作成する方法は、どの会議体で何を決議したのかが最も明確です。一方で、一つの議事録の中に複数の会議体を区別して記録する方法も、実務上採ることがあります。
例えば、次のように作成します。
- 普通株式に係る種類株主総会議事録
- A種優先株式に係る種類株主総会議事録
- B種優先株式に係る種類株主総会議事録
同じ日に連続して開催した場合でも、各議事録において、少なくとも次の事項を区別して記録します。
- 開催日時および開催場所
- 構成員となる種類株主
- 総議決権数
- 出席議決権数
- 議案
- 議事の経過の要領およびその結果
- 賛成議決権数
- 決議結果
複数の議事録を一つのファイルや書類の束としてまとめることはできますが、各議事録の表題、構成員、議決権数および決議結果は混在させないようにします。
種類株主総会の議事録については、会社法第325条により同法第318条が準用され、記載事項は会社法施行規則第95条第9号により同規則第72条が準用されます。
A種優先株式に係る種類株主総会議事録の構成例
議事録全体の構造を理解するための簡略例です。この表だけで議事録が完成するものではありません。
右端の「区分」欄は、どの項目が法令に基づくものかを読み分けていただくために、この記事の説明用として設けたものです。実際の議事録に、このような欄や「法定」「実務」といった表示を設けるわけではありません。「法定」は会社法施行規則第72条第3項が定める記載事項、「実務」は法令が直接求めているわけではないものの、当事務所が確認のために記載している事項を指します。
| 項目 | 記載例 | 区分 |
|---|---|---|
| 会議体 | A種優先株式に係る種類株主総会 | 表題 |
| 開催日時および開催場所 | 令和○年○月○日 午前10時45分/当会社本店会議室 | 法定 |
| 議決権を行使できるA種優先株主の数・その総議決権数 | ○名・○個 | 実務 |
| 出席したA種優先株主の数・その議決権数 | ○名・○個 | 実務 |
| 出席した取締役等 | 代表取締役○○、取締役○○ | 法定 |
| 議長 | 代表取締役○○(議長が存するとき) | 法定 |
| 議事の経過の要領およびその結果 | 議案の説明、質疑があった場合の要旨、賛成議決権数、承認可決または否決の結果 | 法定 |
| 議事録の作成に係る職務を行った取締役 | 取締役○○ | 法定 |
議決権数は法定の記載事項ではありません
会社法施行規則第72条第3項は、議決権を行使できる株主の数や議決権数を記載事項として直接には定めていません。それでも当事務所が記載しているのは、定足数と決議要件を満たしたことを後から確認できるようにするためと、株主リストおよび登記申請書との整合を確認するためです。
意見または発言があるときは記載事項が加わります
会社法施行規則第72条第3項第3号に掲げる規定により述べられた意見または発言があるときは、その概要も記載事項となります。上の表は、そうした意見または発言がない場合を想定した簡略例です。
書面決議とした場合は記載事項が異なります
会社法施行規則第72条第4項第1号により、決議があったものとみなされた事項の内容、その提案をした者の氏名または名称、決議があったものとみなされた日、議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名を記載します。開催日時、出席者、議事の経過といった項目は、この場合の記載事項ではありません。
実務書では、法務局が議事録を分けるよう求めた例も紹介されています
以下の説明は、金子登志雄・富田太郎『募集株式と種類株式の実務〈第2版〉』(中央経済社、2014年)200〜202頁を参考にしています。
同書200頁では、会社法施行後、一部の法務局で、株主総会と種類株主総会では議事録作成の根拠条文が異なることを理由に、議事録を分けるよう求められた例があった旨が紹介されています。もっとも、同書はこれを「数年前の話」としており、現在も同様の取扱いがされているかは不明としています。
同書は、旧商法時代と比べて運用が厳格になってきたことは事実であるとし、「共催になる旨」「種類株主総会を兼ねる旨」といった一言を挿入するだけでは足りず、株主総会と種類株主総会のそれぞれについて、議事録としての最低限の要件を満たした内容にしておくことが安全であるとしています。
また同書は、共催すること自体と、議事録を一つにまとめるかどうかは別の問題であるとし、議事録を分けるかどうかは会社の裁量に委ねられるとしています。
実務上重要なのは、一つの議事録にまとめるか、会議体ごとに分けるかという書面の個数だけではなく、各会議体について法令上必要となる議事録の内容を満たしているかという点です。
通常の株主総会の議事録は会社法第318条および会社法施行規則第72条によります。種類株主総会については、会社法第325条により第318条が準用され、会社法施行規則第95条により第72条が準用されます。いずれも定めているのは記載事項であり、書面を何通に分けるかを直接定めた規定ではありません。
一つの議事録にまとめる場合に確認していること
前記のとおり、一つの議事録にまとめる場合でも、各会議体について議事録としての最低限の内容を満たしておくことが安全です。具体的には、少なくとも次の事項を、会議体ごとに区別して確認できるようにします。
- 会議体の名称
- 開催日時および開催場所
- 議決権を行使できる株主
- 総議決権数
- 出席議決権数
- その会議体が審議する議案
- 議事の経過の要領
- 決議結果
- 必要に応じて賛成議決権数
三つの作り方の比較
表は横にスクロールしてご覧いただけます。
| 作り方 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 会議体ごとに議事録を分ける | 会議体と決議の根拠が明確。登記の添付書面として説明しやすい | 書類の数が増える |
| 一つの議事録にまとめる | 書類を減らせる。共通議案を一回の進行として記録しやすい | 各会議体の成立状況および決議結果を個別に記載する必要がある |
| 共催するが議事録は分ける | 会議運営は一回にまとめつつ、書類上は会議体を明確にできる | 各議事録の記載内容が相互に整合しているかを確認する必要がある |
前掲書202頁には、種類株主総会を臨時株主総会と同時開催しつつ、種類株主総会議事録を別に作成する例が掲載されています。その議事録例では、開催日時の欄に「臨時株主総会と同時開催」と付記し、閉会の欄に臨時株主総会と同時に閉会した旨を記載しています。共催の事実を議事録上に残しながら、書面としては会議体ごとに分ける方法です。
前掲書が扱っている場面について
前掲書194頁以下が扱っているのは、株主総会と普通株主の種類株主総会、すなわち議決権を行使できる株主が完全に一致する二つの会議体の共催です。同書は、A種優先株式などに係る種類株主総会については、実務上、全員の同意による招集手続の省略と書面決議で処理することが一般的であるとしています。
したがって、構成員の異なる複数の種類株主総会を共催し、一つの議事録にまとめる方法について、同書が直接述べているわけではありません。以下は、当事務所が実際に採った方法として説明するものです。
当事務所の実例|4つの総会を同時開催し、一つの議事録にまとめたケース
当事務所では、構成員の異なる4つの会議体を同時開催し、各会議体の成立状況と決議内容を個別に記録した一つの議事録を作成し、実際の登記申請に使用して登記が完了した事例があります。
これは当該案件で受理された実例であり、一体型議事録が全国すべての案件・管轄で当然に受理されることを示すものではありません。
実務上の注意
上記は、当該事案・当該登記申請において受理された実例です。一つの議事録にまとめる方法が、すべての会社、議案、登記申請および管轄法務局で同様に取り扱われることを保証するものではありません。会議体の構成や決議の根拠が複雑な場合には、議事録を分ける方法を採るほか、必要に応じて管轄法務局への事前確認を検討します。
一つの議事録でも、4つの会議体をそれぞれ判定しています
対象となる4つの会議体
- 臨時株主総会
- 普通株式に係る種類株主総会
- A種優先株式に係る種類株主総会
- B種優先株式に係る種類株主総会
それぞれについて個別に記載した事項
- 株主の総数
- 発行済株式の総数
- 議決権を行使できる株主の数
- 総議決権数
- 出席した株主の数
- 出席した株主の議決権数
書類は一つでも、上記6項目を4つの会議体について個別に記載しています。
4つの会議体で共通して決議する定款変更議案については、議案の冒頭で、臨時株主総会および各種類株主総会との共催になる旨を議長が説明したことを記載したうえで、審議し、採決しました。一方、臨時株主総会だけで決議する議案も、同じ議事録の中に記録しています。
このように、一つの議事録を使用する場合には、どの議案について、どの会議体が決議したのかを読み分けられることが重要です。議決権数を会議体をまたいで合計することはできません。
この事案で4つの会議体を確認した理由
この会社の定款には、会社法第322条第1項の種類株主総会の決議を要しない旨の定めがありました。もっとも、この事例の定款変更には、新たな種類の株式の追加や既存株式の内容の変更等が含まれていました。
会社法第322条第3項ただし書は、株式の種類の追加、株式の内容の変更、発行可能株式総数または発行可能種類株式総数の増加に係る定款変更については、同条第2項の「種類株主総会を要しない」旨の定款規定によって同条第1項の適用を排除することができないとしています。
したがって、これらの定款変更がある種類の種類株主に損害を及ぼすおそれがあり、同条第1項が適用される場合には、「種類株主総会を要しない」旨の定款規定があっても、必要となる各種類株主総会の決議を省略することはできません。
補足|この事例では普通株主全員の同意も取得しています
この事例では、種類株主総会とは別に、普通株主全員の同意も取得しています。
普通株式について、会社法第322条第2項の「同条第1項の種類株主総会の決議を要しない」旨の定款規定を新たに設ける変更が含まれていたためです。既に普通株式を発行している会社が、この定款規定を後から設ける場合には、会社法第322条第4項により、普通株主全員の同意が必要です。
このように、複数の総会を共催できることと、法律上別途必要となる「全員同意」を省略できることは別問題です。
株主リストは登記事項ごとに確認します
登記すべき事項について種類株主総会の決議を要する場合には、その種類株主についての株主リストが必要です。
株主リストは、厳密には「種類株主総会ごと」ではなく、原則として種類株主総会の決議を要する登記事項ごとに作成します(商業登記規則第61条第3項)。
普通株主、A種株主およびB種株主について、それぞれ別個の種類株主総会決議が必要となる場合には、対象となる種類株主が異なるため、通常は各会議体に対応する株主リストを区分して作成します。
一方、同じ種類株主総会で複数の登記事項を決議し、各議案について株主リストに記載する内容が変わらない場合には、その旨を明記することで、一通の株主リストにまとめられる場合があります。
前記のように、登記すべき事項について種類株主総会の決議を要する場合には、書面決議としても株主リストが必要です。商業登記規則第61条第3項は、会社法第319条第1項が同法第325条により種類株主総会へ準用される場合も対象としています。登記申請を伴わない決議についてまで、常に株主リストが必要となるものではありません。
根拠条文
種類株主総会を開催したこと自体は登記事項ではありません
種類株主総会を開催したこと自体について、登記を申請するわけではありません。
ただし、その決議の対象となる行為が登記事項であれば、変更登記が必要です。例えば、次のような場合です。
- 新しい種類株式の追加
- 種類株式の内容変更
- 発行可能株式総数または発行可能種類株式総数の変更
- 募集株式の発行
- 株式分割または株式併合
- 合併、会社分割、株式交換等
登記事項に変更が生じる場合には、原則として効力発生日から2週間以内に変更登記を申請します。
種類株主総会そのものについて、独立した登録免許税が課されるわけではありません。登録免許税は、実際に申請する登記の内容に応じて計算します。金額の目安は種類株式(優先株式)による増資の料金をご確認ください。
発行価額の税務上の妥当性、株価評価、優先株式の会計処理については、当事務所では判断していません。税務については税理士、会計については公認会計士等へご相談ください。
また、投資条件の交渉、株主間の利害調整、紛争性のある契約交渉については、当事務所では取り扱っていません。法的助言または代理交渉が必要となる場合には、弁護士へご相談ください。
当事務所では、まとめてよい手続は分かりやすくまとめています
資金調達や種類株式の変更では、一つの案件について、複数の会社法上の手続が必要になることがあります。
通常の株主総会、普通株式に係る種類株主総会、A種優先株式に係る種類株主総会、B種優先株式に係る種類株主総会、取締役会などの招集通知、提案書、同意書および議事録をすべて独立した書類として作成すると、会社や投資家が確認する書類の数も増えます。
当事務所では、なるべく法務書類を分かりやすく、シンプルにしたいと考えています。そのため、会社法と定款を確認したうえで、次のような方法を採ることがあります。
- 同日に開催できる各種類株主総会は、同日に連続して開催する
- 複数の招集通知や同意書を一つの送付物に整理する
- 書面決議を利用し、会社や投資家の確認負担を抑える
- 各会議体の区別が分かる議事録と株主リストを作成する
ただし、書類をまとめることと、法的に別個の会議体を一つにすることは異なります。書類を簡素化する場合でも、各総会について、誰が構成員となり、何個の議決権を有し、どの決議要件により、どのような結果となったのかを後から確認できる状態にします。
数年後に投資家、弁護士、司法書士、監査法人または証券会社等が確認した場合にも、どの会議体で、誰が、何を決議したのかを追える書類にしておくことが重要です。
司法書士として実際に確認しているポイント
同日開催を検討する前に、会議体・根拠・排除・議決権・順序・整合の6点を確認し、そのうえで議事録をどう作るかを判断しています。
1.必要となる会議体
通常の株主総会、普通株式に係る種類株主総会、A種優先株式に係る種類株主総会、B種優先株式に係る種類株主総会、取締役会など、今回の手続に必要となる機関決定を先に洗い出します。
2.決議が必要となる根拠
会社法第199条第4項、第238条第4項、第322条、定款上の承認事項など、決議が必要となる根拠を区別します。根拠が違えば、決議要件も、定款による排除の可否も変わります。
3.定款の「不要規定」の射程
会社法第322条第2項の「種類株主総会を要しない」旨の定款規定があっても、株式の種類の追加、株式の内容の変更、発行可能株式総数または発行可能種類株式総数の増加に係る定款変更(単元株式数についてのものを除きます。)が、ある種類の種類株主に損害を及ぼすおそれがあり、同条第1項が適用される場合には、同条第3項ただし書により、その種類株主総会を省略できません。第199条第4項・第238条第4項の不要規定とも別物です。ここを混同すると、そもそも開催すべき会議体を落とします。第199条第4項は会社法第199条、第238条第4項は会社法第238条で確認します。新株予約権・ストックオプションの発行手続でも、同じ確認を行います。
4.各総会で議決権を行使できる株主
最新の株主名簿を確認し、種類ごとの株主、株式数および議決権数を整理します。通常の株主総会で議決権を有しない株主であっても、種類株主総会では議決権を有する場合があります。通常の株主総会と同じ議決権数を、そのまま種類株主総会へ使用しないよう注意します。
5.開催順序と書類の整理
各総会の開始時刻、招集通知、提案書、同意書および議事録を整理し、どの書類がどの会議体に対応するのかを明確にします。効力発生日と登記申請日から逆算して、招集通知の発送日も確認します。
6.定款・株主名簿・登記書類の整合性
現行定款、登記事項証明書、株主名簿、過去の議事録、発行要項および登記申請書の内容を相互に確認します。投資契約書や株主間契約書に事前承諾事項がある場合には、会社法上の決議とは別に、契約上必要となる手続も確認します。
7.一つの議事録にまとめるか、会議体ごとに分けるか
複数の総会を同時開催する場合には、会議体の数、構成員、決議の根拠条文、議案、および登記の添付書面となるかどうかを確認したうえで、一つの議事録にまとめるか、会議体ごとに分けるかを判断します。
一つにまとめる場合には、各会議体について、成立状況と決議結果を個別に確認できる内容にします。
登記の添付書面となる場合には、書類の明確性を優先し、必要に応じて管轄法務局への事前確認も検討します。
よくあるご質問
- 複数の種類株主総会を同じ日・同じ時刻に開催できますか。
-
各会議体の招集手続と決議要件を個別に満たす限り、同じ日・同じ場所で開催することは差し支えないと考えられます。開始時刻を分けて連続開催する方法が最も明確です。
各会議体の成立状況と決議結果を個別に確認できるように運営することを前提とすれば、同じ時刻に共催する方法も実務上考えられます。当事務所でも、臨時株主総会と、普通株式・A種優先株式・B種優先株式に係る各種類株主総会を同時開催した事例があります。ただし、いずれの方法でも各総会は法的には別個の会議体です。
- 招集通知を一つにまとめられますか。
-
同一の株主が複数の総会の招集対象となる場合には、各総会の必要事項を明確に区分して、一つの書面または一つの送付物に整理する方法も考えられます。招集対象者が総会ごとに異なる場合には、各通知を分けて必要な株主に送る方法が明確です。
書類をまとめても、各総会の招集手続が一つになるわけではなく、通知を発する時期も会議体ごとに確認します。
- 議事録も一つにまとめられますか。共催した場合は必ず一つにするのですか。
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会議体ごとに別々の議事録を作成する方法が最も明確です。もっとも、一つの議事録の中で各会議体の必要事項を区別して記載する方法も、実務上考えられます。共催することと、議事録を一つにまとめることは別の問題です。
いずれの方法でも、各会議体の構成員、総議決権数、出席議決権数、決議要件および決議結果を個別に確認できる内容にします。議決権数を会議体をまたいで合計することはできません。
- 一つの議事録にまとめれば、どの法務局でも登記できますか。
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一律にはいえません。当事務所には、一つの議事録にまとめた形式で実際に登記が完了した事例があります。一方、実務書では、会社法施行後に、法務局によっては根拠条文の違いから議事録を分けるよう求めた例があったことも紹介されています。
現在も全国の法務局でそのような取扱いがあると断定できる資料ではないため、案件の内容に応じて、議事録を分ける方法や管轄法務局への事前確認も検討します。
- 書面決議の提案書や同意書をまとめられますか。
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一つの送付物にまとめることはできます。ただし、どの種類株主総会の構成員として、どの提案に同意するのかを会議体ごとに明確にする必要があります。
- 各種類の議決権を合計して採決できますか。
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できません。法令または定款上、種類ごとの種類株主総会が必要であれば、それぞれの種類株主総会について決議要件を判定します。
- 書面決議にすれば株主リストは不要ですか。
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登記すべき事項につき株主総会または種類株主総会の決議を要する場合には、書面決議によったときも株主リストが必要です。商業登記規則第61条第3項は、会社法第319条第1項(同法第325条により種類株主総会へ準用される場合を含みます)によるみなし決議も対象としています。登記申請を伴わない決議についてまで、常に株主リストが必要という意味ではありません。
- 共同種類株主総会と同じものですか。
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異なります。同日開催では複数の種類株主総会が別個に存在します。共同種類株主総会は、複数の種類株主を構成員とする一つの会議体です。
まとめ
- 複数の種類株主総会は、各会議体の招集手続と決議要件を個別に満たす限り、同じ日・同じ場所で開催することは差し支えないと考えられます
- 開始時刻を分けて連続開催する方法が最も明確ですが、複数の総会を同じ時刻に共催する実務もあります
- 共催する場合でも各総会は法的には別個の会議体であり、成立状況、議決権数および決議結果は会議体ごとに確認します
- 議事録は、会議体ごとに分ける方法と、一つの議事録の中で各会議体を明確に区別する方法の双方が考えられます
- 当事務所には、臨時株主総会と、普通株式・A種優先株式・B種優先株式に係る各種類株主総会を同時開催し、一つの議事録にまとめて登記申請に使用した実例があります
- 実務書では法務局が議事録を分けるよう求められた過去の例も紹介されているため、登記案件では書類の明確性を優先します
- 招集通知、同意書および議事録を整理する場合も、どの会議体に関する書類かを明確に区別します
- 書面決議とした場合も、決議の省略に対応した議事録と、登記に必要な株主リストの確認が必要です
当事務所では、法的に必要となる各会議体を区別したうえで、同日に開催できる総会や、まとめてよい書類・送付方法を整理し、会社や投資家が確認しやすい手続となるよう支援しています。
参考文献・参考資料
本記事で参照した主な書籍
- 金子登志雄・富田太郎『募集株式と種類株式の実務〈第2版〉』中央経済社、2014年、194〜202頁
- 株主総会と種類株主総会の共催
- 一体型の招集通知・議事録
- 200頁:会社法施行後、一部の法務局で議事録を分けるよう求められた例についての言及
- 201頁:議事録を分けるかどうかは会社の裁量とする実務上の整理
- 202頁:臨時株主総会と同時開催しつつ、種類株主総会議事録を別に作成する例
- 金子登志雄『総務・法務担当者のための会社法入門』中央経済社、2017年、109〜110頁「第28話 種類株主総会の実務」
- 加藤政也編『Q&A 商業登記と会社法―司法書士が押さえておきたいポイント―』新日本法規出版、2022年、43〜49頁
本記事について
本記事は、公開・最終更新時点の法令、公表資料および参考文献をもとに作成しています。複数の種類株主総会を同日に開催できるか、招集通知や書面決議の書類をまとめられるかは、定款、株主構成、議決権の内容、議案、開催方法および登記申請の内容によって異なります。特に、構成員が異なる複数の種類株主総会を、当然に一つの会議体として処理することはできません。本記事で紹介した当事務所の実例は、当該事案の登記申請において受理されたものであり、同じ形式がすべての会社、議案および管轄法務局で同様に取り扱われることを示すものではありません。具体的な手続にあたっては最新の情報をご確認のうえ、会社法上の手続と登記については司法書士、税務については税理士、会計については公認会計士等へご相談ください。
主な根拠法令・公表資料:会社法第298条から第300条、第318条、第319条、第321条、第322条、第324条、第325条、第915条第1項、会社法施行規則第72条・第95条、商業登記規則第61条第3項、法務省「『株主リスト』が登記の添付書面となりました」、法務省「株主リストに関するよくあるご質問」。
本記事に掲載した招集通知、同意書および議事録のサンプルは、書類構成を説明するために当事務所が作成した簡略例であり、参考文献に掲げた書籍の書式を転載したものではありません。特に、招集の対象となる株主が総会ごとに異なる場合について、全株主へ共通する一通の招集通知を作成できるとする趣旨ではありません。
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