非公開会社の株主総会の招集手続③|招集通知はメールで送れる?電磁的方法と株主の承諾を解説

非公開会社の株主総会の招集手続③ 招集通知はメールで送れる 電磁的方法と株主の承諾を解説
HOMEコラム株主総会・取締役会の運営支援非公開会社の株主総会の招集手続③|招集通知はメールで送れる?電磁的方法と株主の承諾を解説

結論

株主総会の招集通知をメールなど電子的な方法(会社法でいう「電磁的方法」)で送れるかは、取締役会を置いているかと、その株主総会で書面投票・電子投票(書面または電磁的方法による議決権行使)を採用するかで決まります。

① 取締役会を置いておらず、書面投票・電子投票も採用しない株主総会
株主の承諾がなくてもメール等で通知できます

② 取締役会設置会社の場合、または書面投票・電子投票を採用する場合
招集通知は書面が原則です(会社法299条2項)。メール等で通知するには、どの方法で送るかを示したうえで、株主から、あらかじめ、書面または電磁的方法で承諾を得ておく必要があります(会社法299条3項、会社法施行令2条)。

いずれの場合も、定款に招集通知の方法について別段の定めがないかは先に確認します。

1.まず確認|取締役会設置会社か、書面投票・電子投票を採用するか

「招集通知はメールで送れますか?」という質問に、すべての会社に共通する答えはありません。最初に確認するのは取締役会を置いているかどうか、次にその株主総会で書面投票・電子投票を採用するかどうかです。

※本記事の「非公開会社」は、会社法上の「公開会社」に当たらない株式会社(発行するすべての株式に譲渡制限が付いている会社)を指します(会社法2条5号)。公開会社は取締役会を置く必要があるため(会社法327条1項1号)、下の表では必ずケース2に当たります。
※「取締役会設置会社」は、取締役会を置く株式会社と、会社法の規定により取締役会を置かなければならない株式会社をいいます(会社法2条7号)。取締役会は、定款の定めによって置くことができます(会社法326条2項)。

書面の招集通知を郵送すると、会社が発した日と株主に届く日の間にズレが生じます。第2回では、郵便が届くまでの日数を見込んで発送日を前倒しすることをお勧めしました。メール等で送れば、この配達日数を見込む必要は通常ありません。ただし、どの会社でも自由にメールへ切り替えられるわけではありません。次の表で、自社がケース1とケース2のどちらに当たるかを確認します。

取締役会 書面投票・電子投票 招集通知の扱い
置いていない(取締役会非設置会社) 採用しない ケース1:書面による通知の義務はありません。株主の承諾がなくてもメール等で通知できます(第2章)
置いていない(取締役会非設置会社) 採用する ケース2:書面が原則。株主の承諾を得ればメール等で通知できます(第3章・第4章)
置いている(取締役会設置会社) どちらでも ケース2:書面が原則。株主の承諾を得ればメール等で通知できます(第3章・第4章)
ミニ解説|「書面投票・電子投票」とは、株主総会に出席しない株主が、議案への賛否を書面で提出する方法(書面投票)と、ウェブ上の入力など電磁的方法で提出する方法(電子投票)です。その株主総会の招集を決めるときに、これを認める旨を定めた場合にだけ利用できます会社法298条1項3号・4号)。
書面投票・電子投票を採用するかどうかは、株主総会を招集するたびに定める事項です。定款だけで判断せず、その総会の招集を決めた取締役会議事録(取締役会を置かない会社では取締役の決定書)で確認します。採用した場合はケース2に当たり、招集通知は書面が原則、招集期間も2週間前までになります。あわせて、株主総会参考書類や議決権行使書面に関する手続も必要になります。必要な書類と株主への渡し方は書面投票(会社法301条)と電子投票(同法302条)で異なるため、第5回で扱います。

この分かれ目は、会社法299条2項が定めています。

会社法299条2項・3項(株主総会の招集の通知)

2 次に掲げる場合には、前項の通知は、書面でしなければならない。
一 前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めた場合
二 株式会社が取締役会設置会社である場合
3 取締役は、前項の書面による通知の発出に代えて、政令で定めるところにより、株主の承諾を得て、電磁的方法により通知を発することができる。この場合において、当該取締役は、同項の書面による通知を発したものとみなす。

会社法298条1項(株主総会の招集の決定)

取締役(略)は、株主総会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。
(一号・二号 略)
三 株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
四 株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
(五号 略)

※299条2項1号の「前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項」=上の298条1項3号・4号です。上のミニ解説で説明した書面投票・電子投票の定めにあたります。※「政令」=会社法施行令(第4章で説明します)。
会社法299条会社法298条|e-Gov法令検索

このシリーズは、非公開会社の株主総会の招集手続を回ごとに分けて解説しています。第1回は「招集通知は何日前までか」、第2回は「いつ発したことになるか(発信主義)と土日・祝日の数え方」、第3回の本記事は「メール等の電子的な方法で送れるか」を扱います。取締役会設置会社と非設置会社で株主総会の位置づけがどう変わるかは、株主総会の基本を解説した記事をご覧ください。

2.ケース1(取締役会非設置会社で書面投票・電子投票なし)|メールで通知できる?

ケース1では、招集通知を書面で出す義務がありません。書面でも、メールでも、口頭でも通知できます。メールで送るために株主の承諾を得る必要もありません。

会社法299条2項が書面による通知を求めているのは、取締役会設置会社の場合と、書面投票・電子投票を定めた場合だけだからです。ただし、定款に招集通知の方法について別段の定め(「書面により」など)がないかは、先に確認しておきます。

メール本文だけでもよい?PDFは必要?

招集通知を必ずPDFにしなければならない、というルールはありません。ただし、実務では、いつ、誰に、どの内容を通知したかを後から確認できる形にしておくことが重要です。

そのため当事務所では、招集通知の内容を文書として整理し、PDF等で保存したうえでメールに添付する方法を採ることが多くあります。メール本文だけで通知する場合でも、開催日時・場所・目的事項(議題)など、株主総会の招集にあたって定めた事項(会社法298条1項各号)が明確に伝わるようにし、送信済みメールを保存しておく方が安心です。

Slack・Chatwork・LINEなどは?

書面通知が要求されないケースでは、チャットツールによる連絡も直ちに排除されるものではありません。ただし、過去の投稿が流れてしまう、担当者変更後に確認しにくい、送信内容を一覧で残しにくい、といった問題があります。

「法律上使えるか」と「実務上使いやすいか」は別です。株主総会の手続は、数年後の資金調達やデュー・デリジェンスで確認されることもあります。通知内容と送信記録を後から追える方法を選ぶことをおすすめします。

3.ケース2(取締役会設置会社または書面投票・電子投票あり)|承諾を得ればメール等で通知できる

ケース2では、招集通知は書面が原則です(会社法299条2項)。ただし、株主の承諾を得れば、メール等の電磁的方法で通知できます

これを認めているのが会社法299条3項です。書面による通知に代えて、株主の承諾を得たうえで、電磁的方法により通知を発することができます。承諾を得て電磁的方法で発した通知は、書面による通知を発したものとみなされます(同項後段)。

ここで注意したいのは、会社が株主のメールアドレスを知っているだけでは、会社法299条3項の承諾を得たことにはならないという点です。日頃からメールで連絡を取り合っている株主であっても、招集通知を電磁的方法で受け取ることについての承諾は、次の章で説明する方法で別に確認します。

なお、電磁的方法で通知する場合も、通知に記録する内容は、原則として書面による通知と同じです。株主総会の日時・場所、目的事項(議題)など、会社法298条1項各号の事項を記録します(会社法299条4項)。ただし、電子提供措置(株主総会資料を、株主がウェブサイト等で閲覧できる状態に置く制度)をとる場合には、記録すべき事項について会社法325条の4第2項の特則があります。

4.ケース2|株主の承諾はどう取る?初回は「承諾→招集通知」の2段階

ケース2で、書面による招集通知に代えてメール等で通知するには、いきなり送るのではなく、先に「どの方法で送るか」を株主に示し、株主から承諾をもらう必要があります。この順番を定めているのが会社法施行令2条1項です。

① 会社が、電磁的方法の種類・内容を示して承諾を求める② 株主が、書面または電磁的方法で承諾する③ 会社が、招集通知をメール等で送信する

この手順を定めているのが、次の条文です。

会社法施行令2条(電磁的方法による通知の承諾等)

次に掲げる規定により電磁的方法により通知を発しようとする者(次項において「通知発出者」という。)は、法務省令で定めるところにより、あらかじめ、当該通知の相手方に対し、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
(一号 略)
二 法第二百九十九条第三項(法第三百二十五条において準用する場合を含む。)
(三号・四号 略)
2 前項の規定による承諾を得た通知発出者は、同項の相手方から書面又は電磁的方法により電磁的方法による通知を受けない旨の申出があったときは、当該相手方に対し、当該通知を電磁的方法によって発してはならない。ただし、当該相手方が再び同項の規定による承諾をした場合は、この限りでない。

※「法務省令」=会社法施行規則。同規則230条が、自ら「会社法施行令…第二条第一項の規定により示すべき電磁的方法の種類及び内容」を定めると規定しているため、ここでの法務省令は同条です(同条の見出しも「会社法施行令に係る電磁的方法」)。
会社法施行令2条|e-Gov法令検索

示すべき「種類及び内容」とは

会社法施行規則230条は、株主に示すべき「電磁的方法の種類及び内容」として、次の2つを挙げています(同条1号・2号)。

  • ①送信者が使用する方法|電子メールなどで送信して株主のファイルに記録する方法(1号イ(1))、ウェブサイトで閲覧に供したうえで株主のファイルに記録する方法(同(2))、記録媒体を交付する方法(1号ロ)のうち、送信者が使用するもの
  • ②ファイルへの記録の方式|どのような形式でファイルに記録するか。実務ではPDF形式とする例が多くあります

つまり、送信の方法だけでなくファイルの形式まで示す必要があるので、単に「今後はメールで送ります」と伝えるだけでは足りません。たとえば「電子メールで送信する方法により、招集通知をPDF形式のファイルに記録して添付する」というように、送信の方法とファイルの形式を具体的に示して承諾を得ます

初めてメール通知へ切り替えるとき

「今回の招集通知から、承諾なしでメールに切り替える」ことはできません。承諾を得ずに電磁的方法だけで通知すると、招集手続が法令に違反したものとして、株主総会決議の取消しの訴えの対象になりえます(会社法831条1項1号)。

実務では、会社が当事者となる投資契約や株主間契約のなかに、あらかじめ電磁的方法による通知を受けることの承諾条項を設けておく例もあります。会社法施行令2条1項は、通知を発する会社が株主から承諾を得る仕組みなので、会社に対する承諾として定められているか、示された電磁的方法の種類・内容が具体的に特定されているかを確認します。

毎回、承諾を取り直す必要はある?

会社法施行令2条は、株主総会ごとに承諾を取り直すことまでは求めていません。承諾の内容が特定の株主総会や期間に限定されていなければ、一度得た承諾を、その後の株主総会でも使うことができます。逆に、承諾書に「○年○月開催の株主総会について」といった限定が入っていれば、次の株主総会では改めて承諾を得ます。

ただし、電子メールでの送信からウェブサイトでの閲覧に切り替えるなど、承諾を得た際に示した電磁的方法の種類・内容を変える場合は、改めて承諾を得ます。通知先のメールアドレスが変わる場合は、株主から新しい連絡先の届出を受け、記録を更新します。

また、株主から書面または電磁的方法で「電磁的方法による通知を受けない」との申出があった場合には、その株主に対して電磁的方法で通知することはできません(同条2項)。再び承諾を得た場合は、改めて電磁的方法を利用できます。

なお、書面投票を採用している会社では、承諾をした株主に対して、株主総会参考書類と議決権行使書面も、書面の交付に代えて電磁的方法で提供できます会社法301条2項。株主から請求があったときは書類を交付します)。承諾の効果は、招集通知だけにとどまりません。この点は第5回で扱います。

口頭だけの承諾では足りません。会社法施行令2条1項が、承諾を「書面又は電磁的方法」により得ることを求めているためです。電話で「メールで大丈夫です」と確認しただけで終わらせず、承諾書を受け取る、メールで承諾の返信をもらうなど、記録に残る方法で承諾を取得しておくことが大切です。

5.メールでも「発した日」が基準|宛先と記録を確認する

会社法299条1項は、株主総会の日の一定期間前までに、株主に対して通知を「発しなければならない」と定めています。この基準は、郵送でもメールでも変わりません。

したがって、招集期間を満たしているかを判断するときは、株主が実際にメールを開いた日ではなく、会社が通知を発した日(メールを送信した日)を基準に考えます。発信日を基準にする理由は、第2回の第2章で条文から整理しています。

9月18日(金)に株主総会を開く場合を例にすると、次のようになります。

9月10日(木)会社が招集通知をメールで送信
9月11日(金)株主がメールを確認
9月18日(金)株主総会

この例では、招集期間を満たしているかの基準になるのは、9月10日の送信です。株主が翌日に読んだことは、期限の判定には影響しません。

※この例は、書面投票・電子投票を採用しない非公開会社の「1週間前まで」(発信日と株主総会の日の間に丸7日)で計算しています。書面投票・電子投票を採用する株主総会では、非公開会社でも2週間前までに発する必要があります(会社法299条1項)。また、電子提供措置をとる旨の定款の定めがある会社が、会社法325条の3第1項により電子提供措置をとる場合も、招集通知は2週間前までとなります(同法325条の4第1項)。ただし、電子提供措置そのものは、株主総会の日の3週間前の日または招集通知を発した日のいずれか早い日から始める必要があります(同法325条の3第1項)。招集通知の期限と電子提供措置の開始日は別に確認します。日数の数え方は第1回で整理しています。

ただし、「発信日が基準」ということと、「どこへ送ってもよい」ということは別です。

宛先のメールアドレスは「株主から届け出られた連絡先」か

会社が株主に対してする通知は、株主名簿上の住所、または株主が別に通知した場所・連絡先に宛てて発すれば足りるとされています(会社法126条1項)。ただし、条文は「場所又は連絡先」と定めるだけで、電子メールアドレスがこれに当たるかどうかまでは明記していません。そこで当事務所では、株主から電磁的方法による承諾をいただくときに、招集通知の送信先とするメールアドレスもあわせて確認し、そのやりとりを記録として残しておくことをおすすめしています。会社が事実上把握しているだけのアドレスに送るのとは、区別して考える必要があります。なお、送信先を把握していることと、ケース2で必要な承諾(会社法299条3項)を得ていることは別の要件です。

なお、会社法126条2項は、同条1項の宛先に発した通知は通常到達すべきであった時に到達したものとみなすと定めています。いずれにしても、招集期間の判定は前記のとおり発した日が基準ですから、株主が実際にメールを開いたかどうかは、期限の判定を左右しません

一方、株主が届け出ていない宛先に送っていた場合や、会社側で送信そのものができていなかった場合は、これとは別の問題です。不達が分かったときは、原因を確認し、必要に応じて再送や書面の送付を検討しておく方が安全です。

なお、メールアドレスは株主名簿の記載事項ではありません。だからこそ、承諾のやりとりの中で送信先を確定させ、記録として残しておくことが実務上の備えになります。具体的には、次のものを残しておきます。

残しておきたいもの 確認する内容
株主の承諾記録 誰が、いつ、どの電磁的方法(送信方法・ファイル形式)について承諾したか。承諾書またはメールの返信
通知先の記録 株主から届け出られたメールアドレスを、連絡先として記録しているか
招集通知のデータ 実際に送ったPDF、メール本文その他の通知内容
送信記録 送信日時、送信先メールアドレス、送信済み履歴
エラー等の記録 不達・宛先誤りがなかったか、必要に応じて再送したか

6.株主管理ツールで承諾状況を管理する|smartroundと当事務所の取り組み

株主数が増えてきたスタートアップでは、「誰から承諾を得ているか」「どのアドレスへ送るか」「誰に送信したか」をメールやExcelだけで管理するのが難しくなることがあります。

このような場合には、株主管理ツールを利用する方法もあります。たとえばsmartroundでは、電磁的方法による招集通知の送付を株主へ申請し、承諾状況(承諾済・不承諾)を管理できます。招集通知の作成・送付や委任状の管理も行えます。

ただし、ツールを使っても、定款・機関設計・議決権行使の方法・株主ごとの承諾状況の確認は変わらず必要です。とくに、株主が承諾した電磁的方法の種類・内容と、実際の送付方法が一致しているかは確認します。

当事務所でも、必要に応じてsmartroundを活用しています。定款・株主情報・招集期間・通知方法を確認し、smartround上の承諾状況もあわせて確認しながら、招集通知、委任状、同意書、議事録等の準備をお手伝いしています。ツールの利用を前提とはせず、会社の現在の管理方法に応じて進めます。

手順はsmartround公式ヘルプに、当事務所の活用方法はsmartroundの導入事例に掲載されています。

※smartroundの利用には、株式会社スマートラウンドとの契約が別途必要です。機能・仕様は変更されることがありますので、最新情報は公式サイトでご確認ください。

7.司法書士として実際に確認しているポイント

メール等で招集通知を送る会社について、当事務所が株主総会のご支援の際に確認している事項です。

  1. 書面による通知が必要な株主総会かを判定する

    取締役会の有無と、その株主総会で書面投票・電子投票を採用するかを確認し、第1章のケース1とケース2のどちらに当たるかを判定します。

  2. 定款の定めを確認する

    招集通知の方法や招集期間について、定款に別段の定めがないかを確認します。電子提供措置をとる旨の定めがある会社がケース2に当たるときは、電子提供措置をとることになり、招集期間は2週間前までになります。電子提供措置自体はさらに早く、株主総会の日の3週間前の日または招集通知を発した日のいずれか早い日から始めます(会社法325条の3第1項・325条の4第1項。雛形の定款をそのまま使っていて、定めていることに気づいていない例もあります)。

  3. 株主ごとに承諾の有無と内容を確認する

    ケース2では、株主ごとに承諾の有無と、承諾後に「受けない」旨の申出がないかを確認します。承諾のない株主には、その株主にだけ書面で通知します。

  4. 送信先が株主から届け出られた連絡先かを確認する

    送信先のアドレスが、株主から届出を受けて記録している連絡先と一致しているかを確認します(会社法126条1項)。

  5. 送信日が招集期間を満たしているかを確認する

    送信した日が、会社法・定款上の招集期間を満たしているかを確認します(書面投票・電子投票を採用する株主総会では2週間前まで)。

  6. 通知内容と送信記録を後から確認できる状態にする

    送信した通知のデータ、送信履歴、不達の有無を、承諾記録とあわせて保管します。株主総会議事録とセットで残すと、後日の登記やデュー・デリジェンスでも説明しやすくなります。

株主総会のスケジュール整理、招集通知、議案説明資料、委任状、議事録等の作成支援については、株主総会・取締役会の運営支援をご覧ください。

8.よくあるご質問

普段から株主とメールで連絡していれば、招集通知もそのままメールで送れますか。

会社法299条2項により書面通知が必要な場合(ケース2)は、普段メールで連絡していることだけでは足りません。書面に代えて電磁的方法で発するための承諾を、方法の種類・内容を示したうえで、あらかじめ書面または電磁的方法で得る必要があります。

承諾していない株主が1人だけいる場合、全員に書面で送る必要がありますか。

承諾は株主ごとに判断します。承諾を得ている株主にはメール等で、承諾を得ていない株主にはその株主にだけ書面で通知する、という運用ができます。

9.まとめ|メールで送るなら「承諾」と「記録」を確認する

  • 取締役会非設置会社で書面投票・電子投票を採用しない株主総会では、招集通知を書面で出す義務はなく、定款に別段の定めがない限り、株主の承諾がなくてもメール等で通知できます
  • 取締役会設置会社や、書面投票・電子投票を採用する株主総会では書面が原則で、メール等で通知するには株主の事前の承諾が必要です(会社法299条2項・3項)
  • 承諾は、電磁的方法の種類・内容を示したうえで、書面または電磁的方法により取得します。口頭では足りません(会社法施行令2条
  • メールで送る場合も基準は「発した日」です。承諾記録、通知先、招集通知のデータ、送信記録を後から確認できるようにしておきます

招集通知は、「何日前までに送るか」だけでなく、「どの方法で送るか」「その方法について必要な承諾があるか」まで確認して初めて手続全体が整います。株主数が増えてきた会社では、早めに通知方法と管理方法を決めておくと、その後の株主総会運営がスムーズになります。次回は、書面投票・電子投票と委任状の違いを扱います。

シリーズ「非公開会社の株主総会の招集手続」

  • 第1回① 招集期間|招集通知は何日前?1週間・2週間・定款所定の期間の判定、期限に間に合わないときの招集手続の省略
  • 第2回② 発信主義・休日|発送・到着、土日・祝日は?会社法299条の「発する」、到着日との関係、休日・連休の数え方
  • 第3回・この記事③ 招集通知はメールで送れる?|電磁的方法と株主の承諾発信と到着のズレ、299条2項・3項、株主の承諾、株主管理ツールの実務
  • 第4回④ 議決権行使|委任状との違いは?310条・311条、招集期間2週間との関係(順次公開します)
  • 第5回⑤ 株主へ渡す資料|株主総会参考書類は必要?301条・302条、任意の議案説明資料との違い(順次公開します)

株主総会の招集手続からご相談いただけます

定款・株主名簿・機関設計を確認し、招集期間、通知方法、必要な承諾、必要書類、決議後の登記まで整理します。通知方法がまだ固まっていない段階でもご相談いただけます。

司法書士法人LSO 代表社員 司法書士 金光康太

執筆・監修

金光 康太(かなみつ こうた)

司法書士(司法書士法人LSO 代表社員)

大阪・梅田の司法書士。スタートアップ・ベンチャー企業の資金調達、種類株式、ストックオプション、M&A・組織再編、IPO準備に伴う商業登記を中心に取り扱っています。U30堺市起業家輩出プログラムSIPメンター(2024年度・2025年度)。

詳しいプロフィールを見る

主な根拠法令・参考資料

本記事について

本記事は、2026年9月時点の会社法、会社法施行令、会社法施行規則その他の公表資料をもとに作成しています。会社の定款、機関設計、株主構成、議決権行使の方法等により必要な手続は異なります。具体的な手続にあたっては最新の法令・定款等をご確認ください。なお、法制審議会の会社法制(株式・株主総会等関係)部会が2026年3月18日に取りまとめた中間試案では、上場会社を対象に、株主の承諾を得て株主名簿に電子メールアドレス等を記載した株主に対しては、その後の招集通知を個別の承諾なく電磁的方法で発することができる規律が提案されています。中間試案は意見募集を経て法制審議会での検討が続いており、改正内容として確定したものではありません。本記事が扱う非公開会社の招集通知の規律は、本記事執筆時点では変更されていません。

来所不要・全国対応。マイナンバーカードを利用したオンライン登記に対応しています

対応するスマートフォンとマイナンバーカードがあれば、委任状等への電子署名をオンラインで行っていただけます。登記申請は当事務所が行います。電子署名サービス「サインルーム(旧RSS-SR)」と専用アプリ「RSSモバイル」を利用します。案件によっては、書類の郵送等をお願いする場合があります(専用アプリ「RSSモバイル」のダウンロードはこちら)。初回相談無料です。

商業登記・企業法務 料金表を見る