非公開会社とは?公開会社との違いをわかりやすく解説

結論
非公開会社とは、定款(会社の基本ルールを定めたもの)で、会社が発行するすべての株式について、譲渡して株主になるには会社の承認が必要、と決めている株式会社のことです。定款には「当会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を受けなければならない」といった形で書かれています。
会社法に「非公開会社」という用語はありません。会社法2条5号が定義しているのは「公開会社」で、これに当たらない株式会社を、実務で「非公開会社」と呼んでいます。定款上、譲渡制限のない株式が1種類でもあれば、その会社は公開会社です。
なお、「非公開会社」と「非上場会社」は同じ意味ではありません。公開会社かどうかは定款の定めで決まるもので、証券取引所に上場しているかどうかとは基準が違うためです。
非公開会社とは?|すべての株式に譲渡制限がある会社
非公開会社とは、定款上、発行するすべての株式について、譲渡による取得に会社の承認が必要とされている株式会社です。会社法は「非公開会社」を定義しておらず、定義があるのは「公開会社」で、これに当たらない株式会社が非公開会社です。条文上の表現は「公開会社でない株式会社」です。
根拠となる条文は次のとおりです。
会社法2条(定義)5号
五 公開会社 その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう。
出典:会社法2条|e-Gov法令検索。「譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する」とは、株式を譲り受けて株主になるには会社の承認が必要、という意味です。この定めのある株式を「譲渡制限株式」といいます(同条17号)。
「定めを設けていない」という否定の形のため読みにくい条文ですが、裏返すと、すべての株式について譲渡制限の定めを置いている会社が非公開会社になります。
条文が基準にしているのは、株式の「内容」としての定款の定めです。現在いくつ発行しているかではなく、定款でどう定めているかを見ます。
公開会社との違い|1種類でも譲渡制限がなければ公開会社
非公開会社と公開会社の違いは、定款に置いた譲渡制限の定めが、どの株式を対象にしているかだけです。
整理すると、次の表のとおりです。
| 区分 | 定款での譲渡制限の定め |
|---|---|
| 非公開会社 | 発行するすべての株式に譲渡制限がある |
| 公開会社 | 譲渡制限のない株式が1種類でもある |
間違えやすいのは、種類株式を定めている会社
たとえば、定款で次のように定めている会社があるとします。
- 普通株式:譲渡制限あり
- A種優先株式:譲渡制限なし
この会社は、普通株式には譲渡制限がありますが、会社法上は公開会社です。定款上、譲渡制限のない株式が1種類でもあれば、公開会社になるためです。
譲渡制限には、発行する全部の株式の内容として定める方法(会社法107条1項1号)と、種類株式の内容として種類ごとに定める方法(会社法108条1項4号)があります。種類株式を定めている会社では、定款にある株式の種類を1つずつ確認します。
自社が非公開会社かどうかを確認する方法
自社がどちらに当たるかは、定款の「株式の譲渡制限」の条項と、登記事項証明書(登記簿謄本)の「株式の譲渡制限に関する規定」欄で確認できます。
定款を確認する
定款では、多くの場合「株式」の章に、次のような条項が置かれています。
定款の記載例
(株式の譲渡制限)
第◯条 当会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を受けなければならない。
この条項が、発行するすべての株式を対象にしていれば、非公開会社です。承認をする機関は、取締役会を置く会社では取締役会、置かない会社では株主総会が原則で、定款で別の機関を定めることもできます(会社法139条1項)。承認の手続そのものは、株式の譲渡承認はどの機関が決める?で詳しく扱っています。
登記事項証明書を確認する
譲渡制限の定めは「発行する株式の内容」として登記されます(会社法911条3項7号)。登記事項証明書では、次の欄を確認します。
株式の譲渡制限に関する規定(登記事項証明書の記載例)
当会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を受けなければならない。
この欄がない会社は、譲渡制限の定めが登記されていない会社で、通常は公開会社です。欄がある場合も、種類株式を発行する会社では、その定めがすべての種類の株式を対象にしているかを、「発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容」欄とあわせて確認します。
非公開会社かどうかで何が変わる?
会社法には「公開会社は」「公開会社でない株式会社は」と場合を分けた規定が多くあり、どちらに当たるかで、必要な手続や期限が変わります。
実務でよく問題になるのは、次の4つの場面です。
| 場面 | 非公開会社 | 公開会社 |
|---|---|---|
| 株主総会の招集通知 | 原則、総会の日の1週間前まで(会社法299条1項) | 原則、総会の日の2週間前まで |
| 取締役会の設置 | 原則として、置くかどうかを定款で選べる(会社法326条2項) | 必ず置く(会社法327条1項1号) |
| 取締役の任期 | 一定の場合、定款で最長10年まで伸ばせる(会社法332条2項) | 原則2年(会社法332条1項) |
| 募集株式の発行(第三者割当)で募集事項を決める機関 | 原則、株主総会の特別決議(会社法199条2項) | 原則、取締役会の決議(会社法201条1項) |
機関設計や株主総会の開催方法によって例外があります。非公開会社でも、監査役会設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社では取締役会の設置が必要です(会社法327条1項2号〜4号)。取締役の任期を10年まで伸ばせるのも、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除いた会社です(会社法332条2項)。招集通知の期限も、書面投票・電子投票を定めた場合(会社法299条1項)や、電子提供措置をとる場合(会社法325条の4第1項)は2週間前までとなります。
このように、変わるのは株式を譲渡するときのルールだけではありません。株主総会、役員の任期、増資など、多くの会社法上の手続に影響する区分です。会社法上の手続を検討するときは、最初に、自社が公開会社と非公開会社のどちらに当たるかを確認します。
招集通知の期限の数え方は非公開会社の株主総会の招集手続①|招集通知は何日前?で、募集事項の決定を取締役に任せる方法(会社法200条1項)は募集株式の「募集事項」とは?取締役・取締役会への委任で扱っています。任期を何年にするかの考え方は取締役の任期は何年がよい?、株主総会の全体像は株主総会について|非公開会社を中心に基本を解説をご覧ください。
司法書士として実際に確認しているポイント
株主総会、役員変更、増資などのご依頼では、手続の検討に入る前に、定款と登記事項証明書から公開会社・非公開会社の別を確認しています。特に注意しているのは、次の4つです。
定款と登記の内容が一致しているか
設立時の定款をそのまま保管していて、その後の定款変更が反映されていないことがあります。譲渡制限の定めは登記事項なので、定款だけを見るのではなく、登記事項証明書の記載と突き合わせます。
承認機関の定めが、機関設計と合っているか
譲渡承認機関を「取締役会」としている会社が取締役会を廃止すると、定款の定めと機関設計が合わなくなります。取締役会を廃止する定款変更とあわせて承認機関を株主総会などに改め、変更登記も同時に申請します。反対に、取締役会を新たに置くときも、承認機関をどこにするかを検討します。
種類株式は、種類ごとに確認する
投資家向けの優先株式などを設計するとき、1種類でも譲渡制限を外せば、その会社は公開会社になります。取締役会の設置義務(会社法327条1項1号)や取締役の任期の上限など、ほかの規律も連動して変わるため、種類株式の内容を決める段階で確認します。種類株式を発行したあとに必要となる手続は、種類株主総会とは?必要となる場面・決議要件・手続で扱っています。
譲渡制限の定めを廃止するときは、連動する手続を洗い出す
発行する全部の株式の内容として定めていた譲渡制限を廃止する定款変更をすると、その効力が生じた時に取締役の任期が満了します(会社法332条7項3号。監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社がする定款変更を除く)。監査役の任期も同じです(会社法336条4項4号)。また、非公開会社が公開会社になるときは、定款変更後の発行可能株式総数が、発行済株式の総数の4倍を超えることができません(会社法113条3項2号)。役員の選任や発行可能株式総数の変更を、同じ株主総会で決議する必要がないかを確認します。
よくあるご質問
- 非公開会社の株式を譲渡するときは、何を確認すればよいですか。
-
まず、定款で定められている譲渡制限の内容と、承認をする機関を確認します。承認をする機関は、取締役会を置く会社では取締役会、置かない会社では株主総会が原則ですが、定款で別の定めを置くこともできます(会社法139条1項)。定款の内容に応じて、必要な承認手続を確認することが重要です。
- 「株式譲渡制限会社」と「非公開会社」は違うものですか。
-
一般には同じ意味で使われています。どちらも会社法の用語ではなく、発行するすべての株式に譲渡制限の定めがある株式会社を指す呼び方です。会社法の条文では「公開会社でない株式会社」と表現されています。
- 有限会社(特例有限会社)は、非公開会社ですか。
-
非公開会社です。特例有限会社の定款には、発行する全部の株式について譲渡制限の定めがあるものとみなされ、これと異なる内容の定めを置く定款変更はできません(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律9条1項・2項)。なお、特例有限会社の株主が株式を譲り受ける場合は、会社が承認をしたものとみなされます。
まとめ
- 定款上、発行するすべての株式に譲渡制限がある会社が非公開会社です。会社法が定義しているのは「公開会社」(会社法2条5号)で、非公開会社は「公開会社でない株式会社」を指す実務上の呼び方です。
- 定款上、譲渡制限のない株式が1種類でもあれば公開会社です。種類株式を設計するときは、種類ごとに確認します。
- 自社がどちらかは、定款と登記事項証明書で確認できます。
- 株主総会の招集、役員の任期、増資など、多くの会社法上の手続がこの区分を前提に組み立てられています。
中小企業やスタートアップの多くは非公開会社として設計されていますが、資金調達や機関設計の変更によって、区分そのものが変わることがあります。手続を検討するときは、最初にここを確認してください。
定款と登記の確認から、ご相談いただけます
株主総会の開催、増資、役員変更、株式の譲渡などを検討されている場合は、定款と登記事項証明書をもとに、必要な会社法上の手続と登記を整理します。「自社が公開会社なのか分からない」という段階でもご相談いただけます。
主な根拠法令
- 会社法2条(定義)5号・17号
- 会社法107条(株式の内容についての特別の定め)1項1号/108条(異なる種類の株式)1項4号
- 会社法113条(発行可能株式総数)3項2号
- 会社法139条(譲渡等の承認の決定等)1項
- 会社法199条(募集事項の決定)2項/200条1項/201条1項
- 会社法299条(株主総会の招集の通知)1項/325条の4(株主総会の招集の通知等の特則)1項
- 会社法326条(株主総会以外の機関の設置)2項/327条(取締役会等の設置義務等)1項
- 会社法332条(取締役の任期)1項・2項・7項3号/336条(監査役の任期)4項4号
- 会社法911条(株式会社の設立の登記)3項7号
- 会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律9条(株式の譲渡制限の定めに関する特則)
本記事について
本記事は、2026年9月時点の会社法および関係法令をもとに作成しています。法令や実務の取扱いは変更されることがあります。会社の定款、機関設計、株式の種類により必要な手続は異なりますので、具体的な手続にあたっては最新の法令・定款等をご確認のうえ、会社法上の手続と登記については司法書士へご相談ください。
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