株主総会の「議題」と「議案」の違いとは?議事録の見本でわかりやすく解説

株主総会の議題と議案の違いとは 議事録の見本でわかりやすく解説
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結論

株主総会の「議題」は、その株主総会で何を取り扱うかというテーマです。「議案」は、その議題について、具体的にどう決めるかという提案です。

たとえば「取締役選任の件」が議題で、「山田太郎を取締役に選任すること」が議案です。

会社法の条文では、議題を「株主総会の目的である事項」と表現し、議案とは書き分けています(会社法298条1項・304条)。

1.議題と議案の違いとは?会社法の条文で確認

議題と議案の違いは、会社法の条文を読むとはっきりします。まず、議題について定めた298条から見ていきましょう。

議題|株主総会を招集するときに決める「目的である事項」

株主総会を開くときは、取締役が、日時や場所とあわせて、その株主総会で取り扱う事項を決めます。取締役会設置会社(取締役会を置く株式会社など。会社法2条7号)では、この決定は取締役会の決議で行います(会社法298条4項)。会社法298条1項は、次のとおり定めています。

会社法298条1項(株主総会の招集の決定)

取締役(中略)は、株主総会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。

1号株主総会の日時及び場所
2号これが議題株主総会の目的である事項があるときは、当該事項
3号株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
4号株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
5号前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項

出典:e-Gov法令検索|会社法298条(柱書の括弧書きは省略)

議案|議題について出される具体的な提案

次に、議案です。「議案」という言葉は、条文にそのまま出てきます。株主が株主総会の場で議案を出せることを定めた、会社法304条です。

会社法304条

株主は、株主総会において、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。次条第一項において同じ。)につき議案を提出することができる。(ただし書は省略)

出典:e-Gov法令検索|会社法304条

取締役を選ぶ場合の例で比べる

2つの条文を、取締役を選ぶ場面に当てはめると、次のようになります。

議題何を取り扱うか取締役選任の件
議案具体的にどう決めるか山田太郎を取締役に選任すること

2.議事録では、議題と議案はどこに書かれる?見本で確認

では、実際の株主総会議事録では、議題と議案はどこに書かれるのでしょうか。議事録には「株主総会の議事の経過の要領及びその結果」を記載することになっており(会社法施行規則72条3項2号)、議題や議案の内容も、通常はこの記載から確認できます。

次の見本は、架空の会社「株式会社サンプル企画」(取締役会を置いていない株式会社)が、臨時株主総会で取締役を1名増やすことを決めた例です。議題と議案に当たる部分を色分けしています。

臨時株主総会議事録

※株式会社サンプル企画は架空の会社です(記載例)

開催日時2026年(令和8年)10月1日 午前10時00分
開催場所当会社本店会議室
株主の総数2名
発行済株式の総数1,000株
議決権を行使することができる株主の数2名(その議決権の数 1,000個)
出席株主の数2名(その議決権の数 1,000個)
出席取締役代表取締役 佐藤一郎、取締役 鈴木花子
議長・議事録作成者代表取締役 佐藤一郎

上記のとおり、議決権を行使することができる株主全員の出席があった。定款の定めにより代表取締役佐藤一郎が議長となり、開会を宣して議事に入った。

第1号議案 取締役選任の件議題

議長は、事業の拡大に伴い経営体制を強化するため、取締役1名を増員する必要がある旨を説明し、山田太郎を取締役に選任すること議案を提案した。その賛否を議場に諮ったところ、出席株主全員の賛成をもって、原案どおり承認可決された。

なお、山田太郎は議場に出席しており、その場で就任を承諾した。

以上をもって議事を終了し、議長は午前10時20分に閉会を宣した。

上記議事の経過の要領及びその結果を明確にするため、本議事録を作成する。

2026年(令和8年)10月1日
株式会社サンプル企画
議長・議事録作成者 代表取締役 佐藤一郎

※取締役選任の一つの記載例であり、実際の議事録は、定款の定めや株主総会で実際に行われた議事に合わせて作成する必要があります。登記の申請に必要な書面(就任承諾書など)は、別に確認が必要です。

3.会社法が議題と議案を分けて定めているのはなぜ?

なぜ会社法は、議題と議案を分けて定めているのでしょうか。

条文を見ると、2つは手続の上での役割が違うことが分かります。それぞれの役割を先にまとめると、次のとおりです。

議題株主総会を招集するときに決めておくものです。取締役会設置会社では、原則としてその範囲でしか決議できません。
議案その議題の範囲であれば、株主も株主総会の場で出すことができます。

取締役会設置会社では、原則として招集の際に決めた議題しか決議できない

まず、議題の役割から見ていきます。取締役会を置いている会社については、会社法309条5項が次のように定めています。

会社法309条5項

取締役会設置会社においては、株主総会は、第二百九十八条第一項第二号に掲げる事項以外の事項については、決議をすることができない。ただし、第三百十六条第一項若しくは第二項に規定する者の選任又は第三百九十八条第二項の会計監査人の出席を求めることについては、この限りでない。

出典:e-Gov法令検索|会社法309条5項

この条文の意味「第二百九十八条第一項第二号に掲げる事項」とは、第1章で見た「株主総会の目的である事項」、つまり議題のことです。ただし書は、株主総会に提出された資料を調査する者の選任など、限られた場合の例外です。
具体例招集の際に「取締役選任の件」を議題として定めていなければ、原則として、当日になって取締役を選任する決議をすることはできません。

取締役会設置会社では、招集通知を書面(株主の承諾があれば電子メールなどの電磁的方法)で発し、その通知に議題を記載することも求められています(会社法299条2項・3項・4項)。

なお、会社法309条5項は取締役会設置会社について定めた規定で、取締役会を置いていない会社には適用されません。

当事務所の考え方

取締役会を置いていない会社でも、株主総会で決議する予定の事項は、招集の際に議題として株主に示しておくのがよいと考えています。出席しなかった株主が、自分の知らない事項が決議されたことを後から知ると、決議をめぐるトラブルにつながりかねないためです。

議案は、議題の範囲で株主も出せる|議決権があれば1株でも可能

次に、議案についてです。第1章で見た会社法304条には、議案を出す株主について、保有する株式の数や保有期間の要件がありません。そのため、議決権を行使できる株主であれば、1株しか持っていない株主でも議案を出すことができます。ただし、単元未満株式(会社法189条1項)のように議決権のない株式しか持っていない場合は、議決権を行使できる議題がないため、議案を出すことはできません。

たとえば議題が「取締役選任の件」であれば、会社側が「山田太郎を選任すること」を提案していても、株主が「田中次郎を選任すること」という別の議案を出すことができます。また、議案が法令や定款に違反する場合などは、304条ただし書により、議案を出すことはできません。

一方、議題そのもの(たとえば「監査役選任の件」)を新しく加えたいときや、自分の議案の要領を招集通知に載せてほしいときは、株主総会の前に取締役へ請求する別の手続(会社法303条・305条)によります。取締役会設置会社では、保有する議決権の数などの要件があります。こうした株主提案権を含む株主の権利は、別のコラムで一覧にしています。

議題と議案を分けて定めていることの意義

ここまで見てきた2つの役割から、会社法が議題と議案を分けて定めていることの意義が見えてきます。

当事務所の考え方

議題と議案を分けて定めていることには、株主総会で何について決めるのかを招集の段階で明らかにしつつ、具体的にどう決めるのかについては、株主総会の場で株主にも提案の機会を認めるという意義があると考えています。

議題があらかじめ決まっていれば、株主は何が話し合われるのかを知ったうえで株主総会に臨むことができます。一方、議案はその範囲の中で出し合えるので、会社側の提案に賛成か反対かだけでなく、株主が別の提案をする余地も残されています。

4.司法書士として実際に確認しているポイント

ここまで見てきた議題と議案の区別は、議事録を作成・確認するときにも意味を持ちます。株主総会議事録の作成や確認をするとき、また議事録を添付して登記を申請するときに、当事務所ができるだけ確認するようにしている点の例です。会社の状況によって、ここに挙げていない点の確認が必要になることもあります。

1議事録の議題が、招集の際に定めた議題と合っているか

取締役会設置会社では、決議できるのが原則として招集の際に定めた議題に限られるため(会社法309条5項)、議事録の議題を、招集通知や招集を決めた取締役会の議事録と照らし合わせるようにしています。

2議案の内容が、議事録から具体的に読み取れるか

誰を選任したのか、定款のどの条をどのように変更したのかが、議事録の本文から読み取れるかを確認するようにしています。登記すべき事項に株主総会の決議が必要なときは、登記の申請書に議事録を添付するため(商業登記法46条2項)、議事録が決議の内容を示す書面になるからです。

3株主から出された議案も、議事録に記載されているか

株主総会の当日に株主から別の議案が出された場合(会社法304条)は、その議案がどのように扱われたかも、議事の経過の要領として議事録に記載されているかを確認するようにしています。

議事録の作成や、決議に基づく登記のご相談は、株主総会・取締役会の運営支援のページでご案内しています。

5.よくあるご質問

議題と議案について、ご質問の多い点を整理します。

定時株主総会の「報告事項」にも議案はありますか?

報告事項には、賛否を問う議案はありません。報告事項は、株主総会で内容を報告するもので、その事項について採決は行わないためです。たとえば事業報告は、取締役がその内容を定時株主総会に報告するものとされています(会社法438条3項)。議案があるのは、決議をする「決議事項」です。

取締役会の招集通知にも、議題を書く必要がありますか?

会社法368条1項は、取締役会の日の1週間(定款でこれより短い期間を定めた場合はその期間)前までに通知を発することを定めていますが、株主総会の招集通知と異なり、通知に議題を記載することまでは定めていません。ただし、定款や取締役会規程で記載を定めている会社もあるため、自社の定めを確認する必要があります。詳しくは取締役会の招集通知のコラムで説明しています。

6.まとめ|議題は「何を取り扱うか」、議案は「具体的にどう決めるか」

  1. 議題その株主総会で何を取り扱うかというテーマです。会社法の条文では「株主総会の目的である事項」と表現され、株主総会を招集するときに決めます(会社法298条1項2号)。
  2. 議案議題について、具体的にどう決めるかという提案です。株主も、議決権を行使できる議題について、株主総会の場で議案を出すことができます(会社法304条)。
  3. 区別が意味を持つ場面取締役会設置会社では、原則として、招集の際に定めた議題以外の事項は決議できません(会社法309条5項)。議事録では、議題を見出しに、議案を本文に記載するのが一つの書き方です。

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お問い合わせ株主総会・取締役会の運営支援

司法書士法人LSO 代表社員 司法書士 金光康太

執筆・監修

金光 康太(かなみつ こうた)

司法書士(司法書士法人LSO 代表社員)

大阪・梅田の司法書士。スタートアップ・ベンチャー企業の資金調達、種類株式、ストックオプション、M&A・組織再編、IPO準備に伴う商業登記を中心に取り扱っています。U30堺市起業家輩出プログラムSIPメンター(2024年度・2025年度)。

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本記事について

本記事は、2026年(令和8年)10月時点の会社法・会社法施行規則・商業登記法をもとに、司法書士法人LSOが株主総会の議題と議案の違いを整理したものです。議事録の見本は架空の記載例です。実際の議事録は、定款の定めや株主総会で実際に行われた議事に合わせて作成する必要があります。

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