会社の設立日はいつにする?土日・祝日も選べる新制度を司法書士が解説

監修:司法書士法人LSO 代表社員 金光康太
結論
会社の設立日(登記簿に記録される「会社成立の年月日」)は、原則として設立登記の申請が登記所で受け付けられた日です。定款を作成した日、定款認証を受けた日、資本金を払い込んだ日、登記が完了した日ではありません。
2026年(令和8年)2月2日からは、商業登記規則第35条の4により、申請日の翌日が行政機関の休日であるときに限り、その休日を設立の登記の日として指定できるようになりました。休日が連続するときは、そのうちいずれか1日を選べます。
休日当日に申請できる制度ではありません。指定する休日の直前の開庁日に、その日付で申請が受け付けられる必要があります。希望する将来の日を自由に指定できる制度ではない点にご注意ください。
こんにちは。司法書士法人LSOの金光です。会社設立のご依頼では、「創業者の誕生日を設立日にしたい」「大安に合わせたい」といったご希望を伺うことがよくあります。従来は法務局が開いている平日しか設立日にできませんでしたが、2026年2月2日の改正により、土曜日・日曜日・祝日を設立日にできる場面が生まれました。
本記事では、設立日が法律上どのように決まるのか、休日を設立日にするための要件と申請書の記載方法、そして実務上つまずきやすい点を、条文と法務省の公表資料にあたりながら整理します。
1. 会社の設立日は法律上いつ決まるのか
株式会社は、本店の所在地において設立の登記をすることによって成立します(会社法第49条)。合同会社・合名会社・合資会社は会社法上「持分会社」と呼ばれ、こちらも本店の所在地において設立の登記をすることによって成立します(会社法第579条)。
つまり、定款を作成し、公証人の認証を受け、出資を履行し、設立時役員を選任していても、設立登記をするまで会社はまだ成立していません。逆にいえば、これらの日付は、そのまま設立日にはなりません。
登記完了日と会社成立年月日は別のものです
設立登記を申請してから登記官の審査が終わるまでには、通常、数日から1週間程度かかります。この審査が終わった日(登記完了日)は、会社成立年月日ではありません。通常は、設立登記の申請が登記所で受け付けられた日が、会社成立の年月日として登記簿に記録されます。
そのため、「設立日は迎えたが、登記事項証明書はまだ取得できない」という期間が必ず生じます。法人口座の開設や許認可申請で登記事項証明書が必要な場合には、この点を踏まえてスケジュールを組む必要があります。
2. 通常の設立日と、休日指定の特例の違い
設立日をめぐって混同されやすい日付を、あらためて整理します。
| 区分 | 会社成立の年月日との関係 |
|---|---|
| 通常の申請 | 設立登記の申請が登記所で受け付けられた日が、会社成立の年月日になります |
| 休日指定の特例 | 商業登記規則第35条の4に基づいて指定した行政機関の休日が、会社成立の年月日になります |
| 登記完了日 | 登記官の審査が終わった日です。会社成立の年月日とは異なります |
| 定款作成日・定款認証日 | それだけでは会社は成立しません |
| 出資の履行(払込み)の日 | それだけでは会社は成立しません |
登記申請の「発送日」や「オンラインでの送信操作をした日」が、そのまま申請日になるわけではありません。基準となるのは、あくまで登記所で受け付けられた日です。
3. 2026年2月2日から休日を設立の登記の日に指定できます
2026年(令和8年)2月2日、商業登記規則等の一部を改正する省令(令和8年法務省令第2号)が施行され、一定の要件のもとで、会社・法人の設立登記の申請にあたり、特定の日(行政機関の休日)に登記をすることを求められるようになりました。直接の根拠は商業登記規則第35条の4です。
同条は、設立の登記の申請をする者は、その申請の日の翌日が行政機関の休日であるときは、当該行政機関の休日(その翌日以降も引き続き行政機関の休日であるときは、そのうちいずれか一の日)をその登記の日とすることを求めることができる、と定めています。この場合には、申請書にその旨と求める登記の日を記載しなければなりません。
具体例
金曜日に設立登記を申請し、その翌日から土曜日・日曜日・月曜日(祝日)と休日が連続する場合には、土曜日・日曜日・月曜日のいずれか1日を設立の登記の日として指定できます。
これに対し、月曜日が通常の平日である場合には、金曜日の申請によって月曜日を設立日に指定することはできません。指定できるのは、申請日の翌日から連続する行政機関の休日に限られるためです。
この特例の対象から除かれている設立登記があります
この特例を利用できるのは、登記が成立の要件となる会社・法人の設立登記です。もっとも、商業登記規則第35条の4は、会社の組織変更または持分会社の種類の変更による設立の登記を明示的に除外しています。
株式会社・合同会社以外の法人について利用できるかどうかは、その法人の根拠法において登記が成立要件とされているかによります。個別の法人類型については、管轄法務局および法務省の公表資料をご確認ください。
4. 設立日に指定できる「行政機関の休日」とは
商業登記規則第35条の4にいう「行政機関の休日」は、行政機関の休日に関する法律第1条第1項各号に掲げる日をいいます。具体的には次のとおりです。
- 日曜日および土曜日
- 国民の祝日に関する法律に規定する休日
- 12月29日から翌年1月3日までの日(前号に掲げる日を除く)
年末年始も対象に含まれるため、たとえば1月2日や1月3日を設立日として指定することも、要件を満たす限り可能です。ただしこの場合も、直前の開庁日(通常は12月28日)に設立登記の申請が受け付けられていることが前提となります。
5. 休日を設立日にするための要件
法務省の公表資料では、次の4点が要件として挙げられています。
休日指定の特例を利用するための要件
- 登記が成立の要件となる会社等であること(組織変更・持分会社の種類変更による設立登記を除く)
- 設立の登記の際に、本特例を求める旨およびその求める登記の日(指定登記日)を申請書に記載すること
- 指定登記日が行政機関の休日であること
- 指定登記日の直前の開庁日に申請をすること
4点目について、法務省は「オンラインや郵送により申請を行う場合においても、当該申請が開庁時間内に到達し、指定登記日の直前の開庁日の日付で受付がされる必要があります」と明記しています。会社設立の前提となる商号・目的の決定や定款の作成については、会社名の決め方|スタートアップの商号はピボットも見据えて考えると会社の目的はどこまで書く?ピボット・許認可・法人口座を見据えた定款設計もあわせてご覧ください。
6. 「受付日」はいつになるのか|オンライン・郵送・窓口
休日指定の特例では、送信日や発送日ではなく、登記所での受付日が決め手になります。申請方法ごとに確認すべき点が異なります。
オンライン申請
登記・供託オンライン申請システムの利用時間は、平日は8時30分から23時まで、休日は8時30分から18時までです(12月29日から1月3日までを除く)。しかし、登記所での受付時間は従来どおり平日の17時15分までとされています。
したがって、システムが動いている時間帯であっても、17時15分を過ぎて申請書情報を送信した場合、その日の申請としては受け付けられません。休日指定の特例を利用する場合は、送信できたかどうかではなく、希望する休日の直前の開庁日の日付で受付がされたかを必ず確認してください。オンライン申請にあたっての印鑑提出の要否については、会社実印がなくても登記はできる?印鑑提出の任意化と電子署名の法的な位置づけで整理しています。
郵送申請
郵送の場合は、申請書を発送した日ではなく、申請書が管轄の登記所に到達し、受け付けられた日が基準となります。指定する休日の直前の開庁日に到達しなければならないため、郵便事情による遅延も見込む必要があります。設立日を確実に指定したい場合には、オンライン申請または窓口申請を含めて申請方法を検討します。
窓口申請
窓口に持参する場合も、開庁時間内に提出し、その日付で受け付けられる必要があります。
7. 申請書への記載事項
法務省の案内によれば、本特例を求める場合には、次の記載が必要です。
書面による申請の場合
- 申請書の余白に、登記の年月日を「登記すべき事項」の「会社成立の年月日」に記載した日付のとおりとすることを求める旨を記載する
- 「登記すべき事項」欄の「会社成立の年月日」に、指定登記日(希望する休日)を記載する
オンラインによる申請の場合
- 「その他の申請書記載事項」欄に、上記と同じ趣旨を記載する
- 「登記すべき事項」に記載する「会社成立の年月日」に、指定登記日を記載する
定款、発起人の決定書、設立時取締役の就任承諾書などに希望日を書いても、それだけでは本特例の求めにはなりません。申請書に所定の記載をすることが要件です。具体的な記載例は、法務省が「設立の登記の申請の特例の求めの記載例(PDF)」を公表しています。
なお、登記申請書には会社・法人名のフリガナも記載します。記載ルールは会社名(商号)のフリガナはどう記載する?登記申請時のルールを司法書士が解説をご覧ください。
8. 記載に不備があった場合はどうなるのか
法務省は、「本特例の求めに不備があった場合に、登記官が定めた期間内に申請人がこれを補正しないときは、当該求めがなかったものとして取り扱われます」と案内しています。
つまり、設立登記の申請全体が直ちに却下されるという意味ではありません。休日指定の特例が適用されず、通常どおり申請の受付日が会社成立の年月日になるという結果になります。記念日を設立日にしたいという目的からすれば、これは希望が実現しないことを意味します。
添付書面は従前どおり申請の日までに作成しておく必要があります
法務省は、本特例の求めをする設立登記の申請書の添付書面についても、従前どおり申請の日までに作成したものを添付する必要があるとしています。
添付書類の提出漏れや形式的な記載の誤りについては、登記官の指示により補正できる場合があります。しかし、申請時に完了していなかった設立行為(定款認証、出資の履行、設立時役員の選任など)を申請後に行えば当然に有効な申請になる、というわけではありません。希望日を確実に設立日にするためには、申請前に設立手続と必要書類を完成させておくことが重要です。
9. 定款認証と設立登記を同時にオンライン申請する場合
株式会社の電子定款認証と設立登記をオンラインで同時に申請する仕組みを利用する場合も、休日指定の特例を求めることができます。
ただし法務省は、この同時申請について「申請された日の当日中に定款が認証されなければならないという取扱いに変更はない」としています。申請先の公証役場とあらかじめ調整のうえ面談を予約し、申請日当日に公証人とテレビ電話による面談を実施する必要があります。
すべてのオンライン申請で、登記申請後に定款認証を受けられるわけではありません。通常の方法で設立登記を申請する場合には、公証人の認証を受けた定款を準備したうえで申請します。電子定款そのものの仕組みは電子定款とは?紙との違いと4万円の節約で解説しています。
10. 設立日を決めるときに確認すること
設立日は、任意の過去日や将来日を自由に指定できるものではありません。平日を希望する場合はその日に申請が受け付けられる必要があり、休日を希望する場合は商業登記規則第35条の4の要件を満たす日に限られます。そのうえで、次の点をあわせて確認します。
記念日・縁起の良い日から選ぶ
創業者の誕生日、事業を始めた日、サービスを公開した日などを設立日にする方法があります。大安、一粒万倍日、天赦日を希望される方もいらっしゃいます。これらが土日・祝日に当たる場合には、今回の特例を利用できる可能性があります。
事業年度・決算月との関係を確認する
設立日によって第1期の事業年度の長さが変わります。決算日の直前に設立すると第1期が極端に短くなり、設立後すぐに決算・申告の準備が必要になることがあります。決め方の考え方は会社の事業年度・決算月はいつにする?設立日・売上時期・決算負担から考える決め方で整理しています。
設立日や決算月が税務上有利かどうかについては、当事務所では判断していません。消費税の課税事業者の判定、インボイス登録、資本金の額との関係などは、税理士へご相談ください。
契約・融資・許認可の予定を確認する
法人口座の開設、創業融資、補助金申請、許認可申請などで登記事項証明書の提出を求められることがあります。設立日を迎えても直ちに登記事項証明書を取得できるわけではないため、登記完了までの日数も含めてスケジュールを組みます。
設立準備が間に合うかを確認する
株式会社の設立では、商号・本店・事業目的の決定、定款の作成、公証役場での定款認証、出資の履行、設立時役員に関する書類の作成、登記申請書類の作成が必要です。休日を設立日にする場合には、直前の開庁日までにこれらをすべて完了させておく必要があります。
会社の種類をまだ決めていない場合は株式会社と合同会社の違いと選び方3つのポイントを、共同創業の場合は創業株主間契約とは?共同創業者が退任した場合の株式の取扱いを解説もあわせてご確認ください。
11. 司法書士として実際に確認しているポイント
当事務所では、設立日のご希望を伺った場合に、次の点を確認しています。
- 希望日が行政機関の休日か、平日か。平日であれば、その日に申請を受け付けてもらえる日程を組めるか
- 希望日が休日の場合、その直前の開庁日がいつになるか(祝日をまたぐ週は特に注意します)
- 指定しようとする休日が、申請日の翌日から連続する休日の範囲に収まっているか
- 直前の開庁日の17時15分までに受付がされる申請方法か(オンライン・郵送・窓口の選択)
- 定款認証の面談日を、申請日と整合する日程で予約できているか
- 申請書の「その他の申請書記載事項」欄と「会社成立の年月日」の双方に、希望日が正しく記載されているか
- 添付書面が申請の日までに作成されたものになっているか(日付の前後関係)
- 希望日が実現しなかった場合に、どの日が設立日になるかを事前に共有できているか
特に多いのが、最後の点です。休日指定は補正できなければ「求めがなかったもの」として扱われるため、実現しなかった場合の設立日まで事前にお伝えしたうえで進めています。
12. よくあるご質問
- 土曜日・日曜日に設立登記を申請できますか。
-
できません。登記所は行政機関の休日には申請を受け付けません。休日を設立日にする特例は、直前の開庁日に申請し、申請日の翌日から連続する休日のうち1日を指定する制度です。
- 希望する将来の日を自由に設立日に指定できますか。
-
できません。平日は原則として申請の受付日が設立日となり、休日は商業登記規則第35条の4の要件を満たす場合に限って指定できます。
- 金曜日に申請すれば、翌週の月曜日を設立日にできますか。
-
月曜日が通常の平日であれば、指定できません。月曜日が祝日で、土曜日から休日が連続している場合には、特例による指定が可能です。
- 設立登記が完了した日が会社の設立日ですか。
-
違います。通常は登記所が設立登記の申請を受け付けた日、休日指定の特例を利用した場合は指定した休日が、会社成立の年月日となります。
- オンラインなら夜間に送信しても、その日の申請になりますか。
-
なりません。登記・供託オンライン申請システムは平日23時まで利用できますが、登記所での受付時間は平日17時15分までです。これを過ぎた送信は、その日の申請として受け付けられません。
- 休日指定の記載を間違えた場合、設立登記全体が却下されますか。
-
直ちに却下されるとは限りません。登記官が定めた期間内に補正しないときは、休日指定の求めがなかったものとして取り扱われ、通常どおり受付日が設立日になります。
- いったん登記された会社成立の年月日を、後から変更できますか。
-
会社の都合や記念日の変更を理由として、任意に変更することはできません。登記の内容に誤りがある場合の更正等は別として、希望日の選択は設立登記の申請前に確定させておく必要があります。
13. 会社の設立日のまとめ
- 会社成立の年月日は、原則として設立登記の申請が登記所で受け付けられた日です
- 定款作成日、定款認証日、払込日、登記完了日は、いずれも会社成立の年月日ではありません
- 2026年2月2日から、商業登記規則第35条の4により、申請日の翌日から連続する行政機関の休日のうち1日を設立の登記の日として指定できます
- 会社の組織変更または持分会社の種類の変更による設立登記は、この特例の対象から除かれています
- 休日当日に申請する制度ではなく、直前の開庁日にその日付で受付がされる必要があります
- 登記所の受付時間は平日17時15分までです。オンラインの送信可能時間とは異なります
- 郵送の場合は、発送日ではなく登記所への到達・受付の日が基準です
- 申請書に、特例を求める旨と「会社成立の年月日」の双方を記載します
- 添付書面は、従前どおり申請の日までに作成したものである必要があります
- 求めに不備があり補正されないときは、求めがなかったものとして取り扱われます
14. 根拠法令・公的資料
本記事は、次の法令および公表資料をもとに作成しています。
- 会社法第49条(株式会社の成立)
- 会社法第579条(持分会社の成立)
- 商業登記規則第35条の4(設立の登記の申請の特例)
- 行政機関の休日に関する法律第1条(行政機関の休日)
- 法務省「休日を会社等の設立の日とすることが可能になりました」
- 法務省「設立の登記の申請の特例の求めの記載例」(PDF)
- 登記・供託オンライン申請システム「FAQ(申請データの送信は、何時までできますか)」
司法書士法人LSOでは、株式会社・合同会社の設立登記のほか、スタートアップの資本政策を踏まえた設立にも対応しています。設立希望日が決まっている場合には、その日から逆算して定款認証・払込み・申請の日程を組みます。詳しくは会社設立の料金をご覧いただき、司法書士法人LSOへご相談ください。
本記事は、2026年8月4日時点の法令および法務省・法務局の公表資料をもとに作成しています。法令、様式および実務上の取扱いは変更されることがあります。具体的な手続については、最新の公表資料および管轄法務局の案内をご確認ください。
監修者
司法書士法人LSO 代表社員 司法書士 金光 康太
会社設立、資金調達、種類株式、新株予約権・ストックオプション、株主総会、M&A・組織再編等の商業登記・企業法務を取り扱っています。IPO・内部統制実務士、バトンズ認定M&Aアドバイザー、smartroundアドバイザー。
詳細プロフィール(司法書士法人LSO 本体サイト)/司法書士法人LSOへのご相談はこちら
※本コラムの内容は掲載時点の法令等に基づいています。法律や制度は改正されることがあり、個別の案件では事情により結論が異なる場合があります。
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