補欠役員とは?選任決議の有効期間、就任後の任期と登記、議事録の記載例

補欠役員とは 選任決議の有効期間、就任後の任期と登記、議事録の記載例
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結論

補欠役員は、取締役や監査役が欠ける場合などに備えて、株主総会であらかじめ選んでおく役員です(会社法329条3項)。選んだだけでは役員にならず、就任の条件が満たされ、本人の就任承諾も得られているときに役員になります。

選任決議の効力は、定款に別段の定めがなければ、決議後最初に開催する定時株主総会の開始の時までです(会社法施行規則96条3項)。実際に就任したときは、2週間以内に役員変更登記をします(会社法915条1項)。

就任後の任期は、定款の補欠規定の有無によって変わるため、選任決議の有効期間とは分けて確認する必要があります。

1.この記事で使う事例|取締役3名の会社が補欠取締役Eを選ぶ

この記事では、次のX株式会社を例に、補欠役員の選任から就任の登記までを1本の流れで説明します。

事例|X株式会社

項目 内容
機関設計 取締役会と監査役を置く株式会社
決算期 3月31日。定時株主総会は毎年6月下旬
取締役 A(代表取締役)・B・Cの3名。2025年6月26日の定時総会で選任(任期2年。2027年6月の定時総会の終結の時まで)
監査役 Dの1名
定款 取締役は3名以上。補欠・増員の取締役の任期は、前任者等の任期の満了する時までとする規定あり。補欠の選任決議の有効期間についての定めはなし
補欠 2026年6月25日の定時総会で、Eを補欠取締役として選任(特定の取締役の補欠とはしていない)。Eはこの時点ではまだ取締役ではない

取締役会を置く会社は、取締役を3名以上置かなければなりません(会社法331条5項)。X社の取締役は、その最低人数ちょうどの3名です。

このX社で、2027年5月10日にCが辞任したとします。何が起きるかを、次の図で確認します。

2026年6月25日 定時総会
取締役はA・B・Cの3名。Eを補欠取締役として選任(Eはまだ取締役ではない)
2027年5月10日 Cが辞任
取締役がA・Bの2名になり、必要な3名を下回る
同日 Eが就任を承諾
Eが取締役に就任し、取締役はA・B・Eの3名に戻る
2027年5月24日までに(就任から2週間以内)
「C辞任・E就任」の役員変更登記を申請

Eが就任するのは、Cの辞任によって取締役の員数が、法律と定款が求める3名を下回るからです。X社は、Eを「法令又は定款で定める取締役の員数を欠くこととなる場合」に備えて選任しています。仮にX社の取締役が4名で、Cが辞任しても3名が残るなら、この就任の条件を満たさないため、Eは就任しません。日本監査役協会「監査役監査実施要領」(2025年6月3日最終改定)も、補欠監査役について、員数を欠くこととならなければ監査役に就任しないと整理しています。

なお、Cの辞任で員数が下回ってから後任が就任するまでの間は、Cが取締役としての権利義務を持ちます(会社法346条1項。第2章で説明します)。この事例では同じ日にEが就任するので、Cの権利義務もその時点で終わります。

本記事は、取締役会と監査役を置く一般的な株式会社を前提にしています。監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社や、種類株主総会で役員を選ぶ種類株式を発行している会社の取扱いは扱っていません。

2.補欠役員とは|会社法329条3項の定め

補欠役員とは、役員が欠けた場合や、法律・定款で定めた役員の数を割り込む場合に備えて、株主総会があらかじめ条件付きで選んでおく役員です。

根拠は次の条文です。

会社法329条3項(選任)

第一項の決議をする場合には、法務省令で定めるところにより、役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この項において同じ。)が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数を欠くこととなるときに備えて補欠の役員を選任することができる。

出典:会社法329条|e-Gov法令検索(「役員」は取締役・会計参与・監査役のことで、会計監査人は含まれません(同条1項)。「法務省令」にあたるのが、次章の会社法施行規則96条です)

第1章でEが就任できたのは、条文の「員数を欠くこととなるとき」に当たったからです。日本監査役協会「監査役監査実施要領」(2025年6月3日最終改定)も、補欠監査役の選任決議を、条件付きの選任決議と整理しています。

補欠役員と権利義務役員の違い

補欠役員とよく混同されるのが、権利義務役員です。次の表で違いを確認します。

仕組み 誰が・いつ決めるか 根拠
補欠役員 株主総会が、欠員が生じる前に選んでおく 会社法329条3項
権利義務役員 選任手続はない。任期満了または辞任で退任した役員が、員数を欠く場合に、後任の就任まで役員の権利義務を持ち続ける 会社法346条1項

第1章の事例でEを選んでいなければ、辞任したCは、後任が就任するまで取締役としての権利義務を持ち続けます。この間はCの辞任の登記もできません。補欠役員をあらかじめ選んでおき、欠員が生じたときに補欠役員が就任すれば、この状態は解消されます。

3.補欠役員を選ぶときに決めること|会社法施行規則96条2項

補欠役員を選ぶ決議では、候補者の氏名に加えて、次の事項もあわせて決めなければなりません。

会社法施行規則96条2項(補欠の会社役員の選任)

2 法第三百二十九条第三項に規定する決議により補欠の会社役員を選任する場合には、次に掲げる事項も併せて決定しなければならない

一 当該候補者が補欠の会社役員である旨

二 当該候補者を補欠の社外取締役として選任するときは、その旨

三 当該候補者を補欠の社外監査役として選任するときは、その旨

四 当該候補者を一人又は二人以上の特定の会社役員の補欠の会社役員として選任するときは、その旨及び当該特定の会社役員の氏名(会計参与である場合にあっては、氏名又は名称)

五 同一の会社役員(二以上の会社役員の補欠として選任した場合にあっては、当該二以上の会社役員)につき二人以上の補欠の会社役員を選任するときは、当該補欠の会社役員相互間の優先順位

六 補欠の会社役員について、就任前にその選任の取消しを行う場合があるときは、その旨及び取消しを行うための手続

出典:会社法施行規則96条|e-Gov法令検索

必ず決めるのは1号だけで、2号以下は条件付きです。次の表で、自社がどれを決める必要があるかを確認します。

決めること 必要になるとき
1号 補欠の役員である旨 必ず
2号・3号 補欠の社外取締役・社外監査役である旨 補欠の社外取締役・補欠の社外監査役として選任するとき
4号 特定の役員の補欠である旨と、その役員の氏名 「取締役Cの補欠」のように相手を限定するとき
5号 補欠どうしの優先順位 同じ役員(または同じ複数の役員)について補欠を2人以上選ぶとき
6号 就任前に選任を取り消すことがある旨と、その手続 取消しの可能性を残しておきたいとき

事例のX社は、Eを特定の取締役にひも付けない補欠取締役として選んでいるので、決めるのは1号の事項です。補欠を特定の役員にひも付けることもできます。たとえば「Eを取締役Cの補欠として選任する」と決める場合は、4号により、その旨とCの氏名を決定します。ひも付けるかどうかは、選ぶ段階で決めておく事項です。

決議と議案の出し方

補欠役員の選任決議にも、役員選任の決議要件を定めた会社法341条が適用されます。議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数で決議するのが原則です。定款で定足数を下げても3分の1未満にはできず、定款で可決の要件を引き上げることもできます。

取締役会設置会社では、株主総会は、招集の際に定めた目的事項(議題)以外の事項を、原則として決議できません(会社法309条5項)。そのため、X社も「補欠取締役1名選任の件」を議題として招集通知に記載します。

補欠監査役の選任議案を出すときは、取締役は監査役(2人以上なら過半数)の同意を得る必要があります(会社法343条1項)。監査役会設置会社では、監査役会の同意です(同条3項)。

4.選任決議の有効期間|次の定時株主総会の「開始の時」まで

補欠役員を選んだ決議は、いつまでも有効なわけではありません。

次の条文です。

会社法施行規則96条3項(補欠の会社役員の選任)

3 補欠の会社役員の選任に係る決議が効力を有する期間は、定款に別段の定めがある場合を除き、当該決議後最初に開催する定時株主総会の開始の時までとする。ただし、株主総会(当該補欠の会社役員を法第百八条第一項第九号に掲げる事項についての定めに従い種類株主総会の決議によって選任する場合にあっては、当該種類株主総会)の決議によってその期間を短縮することを妨げない。

出典:会社法施行規則96条|e-Gov法令検索(括弧書きは、種類株主総会で役員を選ぶ種類株式を発行している会社向けの定めです)

定時株主総会で選べば、有効期間は通常、次の定時株主総会の開始の時まで(約1年)です。臨時株主総会で選べば、数か月しかないこともあります。

「開始の時」と「終結の時」を取り違えない

取締役・監査役の任期は、会社法の原則では定時株主総会の「終結の時」を基準に満了しますが(会社法332条1項336条1項)、補欠の選任決議の有効期間は「開始の時」までです。X社の場合、2026年6月25日の決議は、2027年6月24日の定時総会が始まった時点で効力を失います。定款に別段の定めがない会社で補欠を置き続ける場合は、毎年の定時総会で選び直します。

事例の日付で確認する

X社が2027年6月24日に定時総会を開いたとすると、Cが辞任した時期によって、Eが就任できるかどうかは次のように分かれます。

Cが辞任した日 2026年の補欠選任決議 結果
2027年5月10日 有効 Eの就任承諾も得られていれば取締役に就任
2027年7月15日(2027年の定時総会でCが再任され、Eを補欠に選び直していない) 失効(2027年6月24日の定時総会の開始の時) Eは就任できない。株主総会で後任を選ぶ
2027年7月15日(2027年の定時総会でCが再任され、Eも改めて補欠に選んでいる) 2026年の決議は失効。2027年の決議が有効 2027年の決議に基づいてEが就任できる

2027年の定時総会では、A・B・Cの任期も満了します。取締役の改選とあわせて、補欠も選び直すかどうかを決めておきます。2行目のように決議が切れていると、後任が就任するまで、辞任したCが取締役の権利義務を持ち続けます(会社法346条1項)。

定款で期間を延ばす

96条3項は「定款に別段の定めがある場合を除き」としているので、定款で有効期間を延ばせます。次は、監査役の任期を4年としている会社の一例です。

定款の一例|監査役の任期を4年としている会社

(補欠監査役の選任の効力)
第◯条 補欠監査役の選任に係る決議が効力を有する期間は、当該決議後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の開始の時までとする。

日本監査役協会「監査役監査実施要領」(2025年6月3日最終改定)は、補欠監査役について次の2点を整理しています。1つは、定款で延ばせるのは、補欠監査役として選任された時から4年(公開会社でない株式会社で、定款により任期を伸長している場合は、その定款で定めた期間。最長10年)の範囲までであること。もう1つは、特定の監査役の補欠として選任した場合、その監査役が任期満了で退任すると、有効期間内でも補欠の選任の効力が失われることです。

5.就任後の任期|選任決議の有効期間とは別の問題

第4章は「補欠がいつまで就任できるか」、この章は「就任したあと、いつまで役員でいるか」の話です。

前者は会社法施行規則96条3項、後者は会社法332条336条が定めていて、別々に考えます。

事例のEの任期

X社の定款には、補欠の取締役の任期を前任者の任期の満了する時までとする規定があります。そのため、2027年5月10日に就任したEの任期は、Cの残りの任期と同じ2027年6月の定時総会の終結の時までです。就任から約1か月半で任期が満了し、A・Bとともにこの総会で改選を迎えます。

定款の一例(取締役の補欠規定)

2 補欠又は増員により選任された取締役の任期は、前任者又は他の在任取締役の任期の満了する時までとする。

取締役の任期は、定款または株主総会の決議で短縮できます(会社法332条1項ただし書)。多くの会社の定款に、この補欠規定が置かれています。満了時期の数え方は取締役の任期はいつまで?10年の数え方と重任登記で解説しています。

補欠規定がなければ「選任後」から数える

取締役の任期は「選任後2年以内に…」、監査役の任期は「選任後4年以内に…」と定められています(会社法332条1項・336条1項)。条文は「就任後」ではなく「選任後」です。日本監査役協会「監査役監査実施要領」(2025年6月3日最終改定)も、補欠監査役の任期の起算点は就任の時ではなく、補欠監査役として選任された時だと整理しています。定款による任期短縮の定めがなければ、補欠取締役・補欠監査役とも、会社法332条1項・336条1項の「選任後」を基準に任期を計算します。

仮にX社の定款に補欠規定がなければ、Eの任期は次のようになります。数え始めを誤ると、満了時期が1年ずれます。

数え始め 2年後の日 最後の事業年度 任期の満了
選任日(2026年6月25日) 2028年6月25日 2028年3月期 2028年の定時総会の終結の時
就任日(2027年5月10日)※誤り 2029年5月10日 2029年3月期 2029年の定時総会の終結の時

選任から就任までが空くほど、実際に役員を務める期間は短くなります。定款で有効期間を延ばしても、この数え始めは変わりません。

監査役の場合

監査役の任期は、株主総会の決議では短縮できません。前任者の残りの任期にできるのは、定款で定めた場合だけです(会社法336条3項)。次は定款の一例です。

定款の一例|監査役の任期を4年としている会社

2 任期の満了前に退任した監査役の補欠として選任された監査役の任期は、退任した監査役の任期の満了する時までとする。ただし、補欠監査役として選任された後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時を超えることはできない。

この規定があっても、補欠監査役の任期は、選任時から数えた任期(原則4年。非公開会社が定款で伸長していればその期間。最長10年)を超えられないと整理されています(「監査役監査実施要領」)。上のただし書は、そのことを明記したものです。定款の構成は定款とは?をご覧ください。

6.Eが就任したときの登記

補欠役員は就任するまで役員ではないので、選任した段階では登記しません。

登記は、実際に就任した時から2週間以内です(会社法915条1項)。事例では、Eが2027年5月10日に就任したので、2027年5月24日までに申請します。

就任承諾と就任日

補欠役員が就任するには、欠員の発生など選任決議で定めた条件が満たされ、本人の就任承諾も得られている必要があります。就任日は、この両方がそろった日です。

選任から就任まで1年近く空くこともあるため、当事務所では、欠員が生じた時点で本人に就任の意思を確認し、その日付で就任承諾書をいただくようにしています。

登記すべき事項と添付書面

Cの退任とEの就任は、同じ申請でまとめて登記するのが通常です。事例では、登記すべき事項は次のとおりです。

登記すべき事項

令和9年5月10日取締役C辞任
同日取締役E就任

添付書面は、次の表のとおりです。

書面 注意点
株主総会議事録 Eを補欠として選任した2026年6月25日の定時総会の議事録。96条2項の事項が書かれているか確認します(商業登記法46条2項
株主リスト 上の議事録の総会について作成します(商業登記規則61条3項)。就任日時点の株主ではありません
就任承諾書 Eの就任承諾書(商業登記法54条1項
退任を証する書面 Cの辞任届(商業登記法54条4項)
本人確認証明書 取締役・監査役の就任(再任を除く)で必要です。就任承諾書の印鑑について印鑑証明書を添付する場合は不要です(商業登記規則61条7項
委任状 司法書士に依頼する場合

登録免許税は、申請1件につき3万円(資本金の額が1億円以下の会社は1万円)です(登録免許税法別表第一24号(一)カ)。補欠取締役が代表取締役にも就任する場合は、代表取締役としての選定手続と、その就任の登記も必要です。事例のCは代表取締役ではないので、この手続は不要です。

7.株主総会議事録・就任承諾書の記載例

事例のX社で使う書面の記載例です。補欠監査役を複数選ぶ場合は、最後に応用例として載せています。

以下は一例です。定款(員数・任期・補欠規定・決議要件)や機関設計によって書くべき内容は変わります。議事録の冒頭部分(会社法施行規則72条3項)は省略しています。

記載例①|Eを補欠取締役として選ぶ(2026年6月25日の定時総会)

株主総会議事録(抜粋)

第3号議案 補欠取締役1名選任の件

議長は、法令又は定款に定める取締役の員数を欠くこととなる場合に備え、補欠取締役1名を選任したい旨を述べ、その候補者として次の者を推薦した。
 補欠取締役 E

議長がその賛否を議場に諮ったところ、出席株主の議決権の過半数の賛成をもって、原案どおり承認可決された。

なお、議長から、定款に別段の定めがないため、本選任の決議が効力を有する期間は、本決議後最初に開催する定時株主総会の開始の時までである旨の説明があった。

  • 「補欠取締役」として選ぶ旨が1号の事項です。特定の取締役の補欠とする場合は、「取締役Cの補欠として」のように加え、4号の事項としてその取締役の氏名を定めます
  • 「なお、」の段落は必須ではありませんが、あとで有効期間を確認しやすくなります

記載例②|Eの就任承諾書

就任承諾書

私は、令和8年6月25日開催の貴社定時株主総会において、補欠取締役に選任されましたが、令和9年5月10日、取締役Cの辞任により法令及び定款で定める取締役の員数を欠くこととなりましたので、取締役に就任することを承諾します。

令和9年5月10日
住所 大阪府大阪市◯◯区◯◯町◯丁目◯番◯号
氏名 E ㊞

X株式会社 御中

  • 住所は、本人確認証明書(住民票の写しなど)の表記に合わせて記載します

応用例|補欠監査役を2名、優先順位をつけて選ぶ場合

事例から少し離れた応用例です。監査役Dの補欠としてFとGを選び、96条2項1号(補欠の役員である旨)に加えて、4号~6号の事項も定めます。

株主総会議事録(抜粋)

第4号議案 補欠監査役2名選任の件

議長は、法令又は定款に定める監査役の員数を欠くこととなる場合に備え、監査役Dの補欠として、補欠監査役2名を選任したい旨、及び本議案の提出については監査役の同意を得ている旨を述べ、その候補者として次の者を推薦した。
 第1順位 補欠監査役 F(監査役Dの補欠)
 第2順位 補欠監査役 G(監査役Dの補欠)

また議長は、上記2名が監査役に就任する順位を上記のとおりとすること、及び本選任の決議については、補欠監査役の就任前に限り、監査役の同意を得て、取締役会の決議によりその選任を取り消すことができるものとすることを述べた。

議長がその賛否を議場に諮ったところ、出席株主の議決権の過半数の賛成をもって、原案どおり承認可決された。

  • 「補欠監査役」として選ぶ旨が1号、「監査役Dの補欠として」が4号、「第1順位・第2順位」が5号、取消しの定めが6号の事項です
  • 監査役会設置会社では、「監査役の同意」を「監査役会の同意」とします(会社法343条3項

8.司法書士として実際に確認しているポイント

補欠役員の就任の登記をご依頼いただいたとき、当事務所では次の点を確認しています。

1. 選任決議で定めた就任の条件を満たしているか

まず、補欠役員をどのような場合に就任する者として選任したかを、議事録で確認します。事例のX社のように「法令又は定款で定める取締役の員数を欠くこととなる場合」に備えて選任しているときは、定款の員数の定めと在任している取締役の数を並べて確認します。特定の役員の補欠として選任しているときは、その選任決議の内容に従って判断します(会社法329条3項)。

2. 選任決議が有効なうちに、条件と承諾がそろったか

欠員の発生など選任決議で定めた条件が満たされ、就任承諾もそろった時点が、選任決議の有効期間内かを確認します。特定の監査役の補欠として選任されている場合は、その監査役が任期満了で退任していないかも確認します。

3. 議事録に96条2項の事項がそろっているか

補欠である旨が書かれているか、特定の役員の補欠とした場合はその役員の氏名、同じ役員の補欠が複数なら優先順位が書かれているかを確認します。

4. 就任承諾書の日付・住所

日付が上の2と整合しているか、住所・氏名が本人確認証明書と一致しているかを確認します。

5. 就任後の任期

定款の補欠規定を確認し、規定がなければ補欠として選任された日を起点に、満了時期を計算してご依頼者にお伝えします。事例のEのように、就任してすぐ改選を迎えることもあります。

9.よくあるご質問

取締役会の決議で補欠役員を選ぶことはできますか?

できません。補欠役員も、株主総会の決議によって選任します(会社法329条1項・3項)。取締役会設置会社でも、取締役会の決議だけで補欠役員を選任することはできません。

株主全員の同意(みなし決議)で補欠役員を選ぶことはできますか?

できます。補欠役員の選任も株主総会の決議なので、その議案について議決権を行使することができる株主の全員が、書面または電磁的記録(電子データ)で同意すれば、決議があったものとみなされます(会社法319条1項)。この場合も、96条2項の事項を提案書に書いたうえで同意を得ます。手続の流れは株主総会のみなし決議とはで解説しています。

10.まとめ

  • 補欠役員は、役員が欠けた場合や員数を欠くこととなる場合に備えて、株主総会があらかじめ条件付きで選んでおく役員です。選任の際は、会社法施行規則96条2項の事項もあわせて決めます
  • 選任決議の有効期間(原則として次の定時株主総会の開始の時まで)と、就任後の任期(定款の補欠規定がなければ選任時から数える)は、分けて確認します
  • 登記は就任から2週間以内です。添付する議事録と株主リストは、補欠を選んだ総会のものです

補欠役員の選任や、就任したときの登記は、当事務所でお手伝いしています。

補欠役員の選任・就任の登記についてご相談ください

定款の補欠規定や選任決議の有効期間を確認したうえで、補欠役員の選任議案・議事録の作成から、就任したときの役員変更登記までお手伝いします。

司法書士法人LSO 代表社員 司法書士 金光康太

執筆・監修

金光 康太(かなみつ こうた)

司法書士(司法書士法人LSO 代表社員)

大阪・梅田の司法書士。スタートアップ・ベンチャー企業の資金調達、種類株式、ストックオプション、M&A・組織再編、IPO準備に伴う商業登記を中心に取り扱っています。U30堺市起業家輩出プログラムSIPメンター(2024年度・2025年度)。

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主な根拠法令・参考資料

本記事について

本記事は、2026年9月時点の会社法、会社法施行規則、商業登記法、商業登記規則および登録免許税法をもとに作成しています。監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社に特有の取扱いは扱っていません。会社の定款、機関設計、役員構成によって確認事項は異なります。法令や実務の取扱いは変更されることがありますので、具体的な手続にあたっては最新の法令・定款等をご確認ください。

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