会社の目的はどこまで書く?ピボット・許認可・法人口座を見据えた定款設計

監修:司法書士法人LSO 代表社員 金光康太

結論

会社の目的は、現在行う事業を中心に、近い将来に具体的に予定している事業と、現在の事業から自然に展開する可能性がある事業までを候補として検討します。

ピボットに備えて一定の幅を持たせることは大切ですが、許認可事業や金融関連事業を含め、実際に行う予定のない事業まで詰め込む必要はありません。

登記できる文言かどうかだけでなく、会社設立後に行政庁、金融機関、取引先へ事業内容を説明できるかという視点から、会社の実態に合った目的を選ぶことが大切です。

こんにちは。司法書士法人LSOの金光です。会社設立のご相談では、「将来行うかもしれない事業もすべて入れた方がよいですか」「会社の目的は多い方が安心ですか」というご質問をいただくことがあります。目的を狭くしすぎると、事業を展開した後に目的変更登記が必要となることがあります。一方で、考えられる事業をすべて記載しておけばよいというものでもありません。

本記事では、スタートアップのピボット、許認可、法人口座、融資まで踏まえて、会社の目的をどこまで記載するかを解説します。

1. 会社の「目的」とは

会社の目的とは、その会社がどのような事業を行うのかを定款に定めたものです。

株式会社の目的は、定款に必ず記載しなければならない事項(絶対的記載事項)です(会社法第27条第1号)。会社設立後は登記事項として公示されるため(会社法第911条第3項第1号)、会社内部のルールにとどまらず、金融機関、取引先、投資家、許認可を所管する行政庁などから確認される情報になります。

目的の具体性それ自体は、登記申請に際して審査されない

法務省は、会社の目的が具体的かどうかについては、従来と異なり、登記申請に際して審査はしないと案内しています(法務省「会社法の施行に伴う会社登記についてのQ&A」Q15)。会社法によって類似商号規制が廃止されたことに伴う取扱いです。

一方で、同じ案内の注記では、目的について適法性や明確性がないもの(公序良俗に反するもの、記載内容が不明確なもの)などは、これまでと同様に登記することができないとされています。

「具体性がない」ことと「明確性を欠く」ことは同じではありません
ここでいう明確性は、事業内容が具体的に記載されていることと同じ意味ではありません。会社法の施行前の検討資料でも、会社が定款に定めれば「商業」「商取引」といった抽象的・包括的な目的の記載の登記も可能になるとされていました(法務省「会社の目的における具体性の審査の在り方について」)。抽象的又は包括的な目的であることだけを理由に、直ちに登記できないということではありません。

もっとも、法務省は、目的の記載内容によって、たとえば官公庁への届出や取引等において不都合が生ずることもあり得るとして、注意を促しています。

そのため、会社の目的は「登記できる文言であればよい」というものではありません。会社設立後の許認可、法人口座、融資、取引開始まで見据えて検討することが大切です。

合同会社の場合

本記事では主に株式会社を例に説明します。合同会社でも、目的は定款の絶対的記載事項であり(会社法第576条第1項第1号)、登記事項でもあります(会社法第914条第1号)。

ただし、目的を変更するための社内手続は株式会社と異なります。合同会社の定款変更は、定款に別段の定めがある場合を除き、原則として総社員の同意によります(会社法第637条)。

会社設立手続の全体像については、株式会社・合同会社の設立サポートもあわせてご覧ください。

2. 会社の目的はどこまで書けばよいのか

会社の目的は、現在の事業と具体的な事業計画を軸に、次の4つの順番で候補を整理すると検討しやすくなります。

(1)設立後に実際に行う事業

まずは、会社設立後に実際に提供する商品やサービスを記載します。まだ売上が発生していなくても、すでに開発、営業、仕入れなどの準備を進めている事業は、目的の候補になります。

たとえば、業務管理システムを提供する会社であれば、次のような目的が考えられます。

目的の例

  1. ソフトウェア及び情報システムの企画、開発、販売、提供、運用並びに保守
  2. インターネットを利用した情報処理サービス及び情報提供サービス
  3. ウェブサービス及びアプリケーションの企画、開発並びに運営

誰に対して、どのような商品やサービスを提供する会社なのかが、おおよそ分かる内容にすることが出発点です。

(2)近い将来に具体的に予定している事業

現在の主力事業ではなくても、近い将来に実施することが具体的に決まっている事業は、設立時から目的に加えることがあります。たとえば、システムの提供に加えて、次のような展開を予定している場合です。

  • システムの導入支援
  • データの収集・分析
  • 業務改善コンサルティング
  • 操作研修やセミナーの開催
  • 関連商品の販売

一方で、単に「いつか行うかもしれない」という段階の事業まで、すべて記載する必要はありません。

(3)現在の事業から自然に展開する事業

スタートアップでは、当初想定していた顧客層、サービスの提供方法、収益モデルなどを変更することがあります。そのため、現在の商品名や特定の顧客だけに目的を限定すると、事業の方向性を変更した後に、実際の事業と目的との関係が分かりにくくなる可能性があります。

現在の事業を表しながら、その基礎となる技術や事業領域にも一定の幅を持たせることで、将来の事業展開に対応しやすくなります。

(4)附帯又は関連する事業

目的の最後には、一般に「前各号に附帯又は関連する一切の事業」という条項を設けます。これは、前に記載した目的に付随する業務を補うためのものです。

ただし、この一文があれば、前に記載した事業との関係が乏しい新規事業まで当然に含まれると考えるのは避けた方がよいでしょう。将来、独立した事業として行う可能性が高いものは、個別の目的として記載することを検討します。

目的に個別の記載がないことと、取引の効力は直ちに同じではありません
従来の判例では、会社の権利能力を決める「目的の範囲内の行為」は、定款に明示された目的そのものに限られず、その目的を遂行する上で必要な行為も含まれると解されています。そのため、ある取引が目的に個別具体的に記載されていないことだけを理由に、直ちに無効となるわけではないと考えられます。
もっとも、許認可の審査や金融機関による確認では、定款や登記事項証明書に記載された目的そのものが確認の対象になります。本記事では、主にこの実務上の場面を取り上げています。

3. ピボットを見据えつつ、目的を広げすぎない

ピボットとは、顧客の反応や市場の状況などを踏まえて、事業の方向性を見直すことです。まったく別の事業へ変更する場合だけでなく、次のような見直しもピボットと呼ばれることがあります。

  • 対象とする顧客を変更する
  • 商品やサービスの提供方法を変更する
  • 収益を得る仕組みを変更する
  • 現在の技術を別の分野へ応用する

たとえば、飲食店向けの予約管理システムを開発していた会社が、その技術を活用して、小売店向けの顧客管理サービスへ事業の中心を移す場合などです。

特定の商品名だけに限定した場合

スタートアップでは、設立時に想定した事業内容が、そのまま主力事業になるとは限りません。たとえば、次のように特定の商品や顧客だけを目的に記載すると、ピボット後の事業との関係が分かりにくくなる可能性があります。

限定しすぎた例

飲食店向け予約管理アプリ「○○」の企画、開発及び運営

事業領域で表現した場合

そこで、次のように、サービスの基礎となる事業領域で表現する方法が考えられます。

事業領域で表現した例

  1. ソフトウェア及び情報システムの企画、開発、販売、提供、運用並びに保守
  2. インターネットを利用した情報処理サービス及び情報提供サービス
  3. データの収集、分析及び活用に関する業務
  4. 事業者に対する業務効率化に関するコンサルティング
  5. 前各号に附帯又は関連する一切の事業

もっとも、ピボットに備えることと、現在の事業との関連性が薄い目的まで多数記載することは別です。

会社名についても、事業内容を限定しすぎないという似た視点があります。詳しくは、会社名の決め方|スタートアップの商号はピボットも見据えて考えるで解説しています。

4. 目的を詰め込みすぎる場合の3つの注意点

会社の目的は複数記載できますが、実際に行う予定のない事業を多数記載すると、会社が何をするために設立されたのかが分かりにくくなることがあります。特に注意したいのは、次の3点です。

(1)許認可が必要となる事業

建設業、宅地建物取引業、有料職業紹介、労働者派遣、旅行業、酒類販売など、事業内容、規模又は運営方法によって、事業を開始するために許可、免許、登録又は届出が必要となる分野があります。これらの事業では、許認可の申請時に定款や登記事項証明書を提出し、対象となる事業が会社の目的に記載されているかを確認されることがあります。

一方で、会社の目的に記載しただけで、その事業を開始できるわけではありません。許認可が関係する可能性がある事業を目的に加える場合には、次のような事項について事前に確認することが大切です。

  • どのような許認可や登録が必要になるのか
  • 目的にどのような表現を用いる必要があるのか
  • 資本金、役員、営業所など、目的以外の要件があるのか
  • 許認可を取得する具体的な予定があるのか

許認可についてのご注意
許認可の要否、取得要件、取得の可否及び許認可申請上必要となる定款目的の文言は、実際の事業内容や運営方法によって異なります。会社設立時にお伺いした内容だけでは、当事務所において判断できかねる場合がございます。許認可が関係する可能性がある場合には、会社設立前に、所管行政庁又は当該許認可を取り扱う行政書士へ十分にご確認ください。

当面行う予定がなく、許認可を取得する具体的な計画もない事業については、本当に設立時から記載する必要があるのかを慎重に検討した方がよいでしょう。

(2)法人口座の開設

金融機関は、法人口座の開設に際して、犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)に基づき、法人の名称・本店所在地に加えて、取引目的、事業の内容、実質的支配者などを確認することとされています。

このうち事業の内容の確認は、次のいずれかの書類を確認する方法によることとされています(金融庁「法人口座開設に係る取引時確認について」)。

  • 定款
  • 法令の規定により当該法人が作成することとされている書類で、事業の内容の記載があるもの
  • 設立の登記に係る登記事項証明書
  • 官公庁から発行された書類その他これに類するもので、事業の内容の記載があるもの

そのため、定款や登記事項証明書に記載された目的と、口座の利用目的や次のような資料から確認できる事業内容は、できるだけ整合している方が説明しやすいと考えられます。

  • 創業計画書や事業計画書
  • 会社のウェブサイト
  • 商品・サービスの説明資料
  • 取引先との契約書や見積書
  • 取得している許認可や登録

目的が多いことだけで、法人口座開設の可否を一律に判断することはできません。一方で、実際には行っていない事業や、取得していない許認可を必要とする事業が目的に含まれていると、その事業内容や許認可の有無について、追加の説明や資料提出を求められる可能性があります。

金融機関の審査内容や判断基準は、金融機関や個別の申込みによって異なります。特定の目的を記載すれば必ず不利になる、又は記載しなければ口座を開設できると、一律に判断することはできません。

(3)投資・貸金・為替などの金融関連事業

「投資業」「貸金業」「外国為替取引業」「資金移動業」「金融商品取引業」などの目的は、その言葉が示す事業の範囲が広く、実際の事業内容によっては許認可や登録が問題となります。貸金業であれば貸金業法の登録、資金移動業であれば資金決済に関する法律の登録が、それぞれ問題となり得ます。

たとえば、複数の投資者から出資を募ってファンドを組成し、その出資財産を有価証券等で運用する事業や、ファンド持分の勧誘・販売を行う事業では、その仕組みや相手方等に応じて、金融商品取引業の登録又は届出が必要となる場合があります。なお、通常の株式会社が株式を発行して投資家から出資を受け、その資金を自社の事業に用いることが、これに当たるという趣旨ではありません。詳しくは、金融庁のファンド関連ビジネスを行う方へをご確認ください。

また、送金サービスとしての為替取引と、外国為替証拠金取引(いわゆるFX)とでは、事業の内容や問題となる規制が異なります。金融庁は、FX取引は金融商品取引法上のデリバティブ取引に該当し、日本に居住する投資者に対してFX取引を業として行うには金融商品取引業の登録が必要であると案内しています(金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」)。

これらは、自社資金による有価証券や外貨の保有・運用とも区別して考える必要があります。目的の文言だけで許認可や登録の要否が決まるものではなく、実際のサービス内容、顧客との関係、資金の流れなどによって異なります。

金融関連の目的が記載されていることだけで、法人口座の開設や融資において一律に不利になるとは限りません。ただし、実際の事業内容、必要な許認可・登録の有無、口座を通じた資金の流れなどについて、追加の説明を求められる可能性があります。実際に行う予定がないにもかかわらず、将来の可能性だけで「投資業」「外国為替取引業」などを加えることについては、慎重に検討した方がよいでしょう。

金融規制の該当性について
金融商品取引業、貸金業、資金移動業等の登録の要否は、当事務所において判断していません。所管行政庁又は当該分野を取り扱う弁護士等へご確認ください。

5. 融資を予定する場合は資金使途との関係も考える

法人口座の開設と融資の審査は別のものです。融資では、会社がどのような事業を行い、借入金を何に使用し、どのような収益から返済する予定なのかが確認されます。

日本政策金融公庫の中小企業事業では、投資(投機)目的の資産(不動産・有価証券)の取得資金は対象にならず、事業用資金のみを対象とすると案内されています(日本政策金融公庫「よくあるご質問|中小企業の方(中小企業事業)」Q5)。ただし、これは日本政策金融公庫の中小企業事業に関する取扱いであり、すべての金融機関や融資制度に共通する審査基準を示すものではありません。

実際に行う本業とは別に「投資業」「外国為替取引業」などを目的へ記載する場合には、少なくとも次の点を説明できるようにしておくことが考えられます。

  • 投資を会社の事業として行う予定があるのか
  • 借入金を投資に使用する予定があるのか
  • 本業の運転資金と投資資金をどのように区分するのか
  • 金融関連事業に許認可や登録が必要となる場合、どのように対応する予定なのか

これらが、すべての金融機関に共通する確認項目であるということではありません。もっとも、創業融資や運転資金の借入れを予定している会社では、実際に行う予定のない金融関連目的を加えることで、事業内容や借入金の使途について説明を求められる可能性があります。

融資・税務についてのご注意
融資の可否、事業計画や資金繰りの妥当性については、当事務所では判断していません。融資については各金融機関へ、税務については税理士へご相談ください。

6. 実務で経験した法人口座開設の事例

会社設立の手続に関与する中で、許認可を必要とする事業が会社の目的に記載されていたことをきっかけとして、金融機関から許認可証等の提出を求められた事例を経験しています。

その会社は、実際には当該事業を行っておらず、対象となる許認可も取得していませんでした。金融機関にその旨を説明しましたが、最終的に法人口座の開設には至りませんでした。

また、私自身が役員として関与する会社においても、登記事項証明書に記載された目的をきっかけとして、許認可に関する確認を受けたことがあります。

法人口座の開設審査は、事業内容、取引目的、会社の実態その他の事情を踏まえて、金融機関が総合的に判断するものです。そのため、実際には行っていない当該事業が目的に記載されていたことだけが、口座を開設できなかった理由であるとは断定できません。もっとも、目的の記載をきっかけとして、実際には取得していない許認可について、その許認可証等の提出を求められたことは事実です。

こうした事情から、会社設立後に、実態に合わない目的や、当面行う予定のない許認可事業を削除する目的変更登記のご依頼を受けることもあります。会社の目的は、多く記載しておけば安心というものではありません。

上記の事例は、ご依頼者が特定されないよう、具体的な業種、金融機関名及び時期を記載していません。個別の事案における金融機関の判断を一般化するものではありません。

7. 目的を選ぶときの判断基準

会社の目的に加えるか迷ったときは、次の点を検討します。

目的に加えるか迷ったときのチェックリスト

  • 設立後すぐに行う事業か
  • 具体的な準備を進めている事業か
  • 現在の事業から自然に展開する事業か
  • 許認可や登録を取得する具体的な予定があるか
  • 金融機関や取引先から尋ねられた場合に説明できるか
  • 事業計画書やウェブサイトの内容と整合しているか

「将来行う可能性がある」というだけでなく、なぜ設立時から目的に記載するのかを説明できるかが、一つの判断基準になります。

会社設立時には、目的だけでなく、株式会社と合同会社の選択会社の設立日の決め方電子定款の利用もあわせて検討します。

8. 会社設立後に目的を追加・削除する場合

会社設立後に新しい事業を始める場合や、実態に合わない目的を削除する場合には、定款変更と目的変更登記を行うことができます。

株式会社の定款を変更するには、原則として株主総会の特別決議が必要です(会社法第466条同法第309条第2項第11号)。

目的変更の効力が生じた日から、原則として2週間以内に変更登記を申請します(会社法第915条第1項)。目的変更登記を申請した時に変更の効力が生じるのではなく、定款変更の決議等により定められた効力発生日を基準に、登記期限を確認します。

目的変更登記の登録免許税は、申請1件につき3万円です(登録免許税法別表第一第24号(一)ツ)。

なお、合同会社の場合は、定款に別段の定めがある場合を除き、原則として総社員の同意によって定款を変更します(会社法第637条)。株式会社の株主総会特別決議とは社内手続が異なります。

そのほか、株主総会議事録その他の決議書類の作成、定款の更新、金融機関や許認可を所管する行政庁への連絡などが必要となる場合があります。

目的変更登記の報酬については、本店移転・商号・目的などの変更登記料金をご確認ください。

9. 司法書士が実際に確認しているポイント

当事務所では、ご依頼者からご提供いただいた事業内容を前提として、商業登記手続との関係で、主に次の点を確認しています。

事業内容を目的の文言として整理できるか

現在行う事業や、近い将来に具体的に予定している事業を伺い、商業登記の申請に用いる目的の文言として整理します。実際に行う予定のない目的が多数挙げられている場合には、設立時から記載する理由をお伺いすることがあります。

定款・決議書類・登記申請の文言が一致しているか

会社設立時には、確定した目的を定款と設立登記の申請内容へ反映します。目的変更の場合には、株主総会の議案、株主総会議事録、変更後の定款及び登記申請に使用する目的の文言が一致しているかを確認します。文言に不一致があると補正の原因となることがあるため、ここは毎回照合しています。

許認可に関する確認結果が反映されているか

許認可に関して、所管行政庁又は当該許認可を取り扱う行政書士へ確認のうえ、必要な目的の文言をご提示いただいた場合には、その内容を前提として定款や登記申請へ反映します。

目的の整理は、ご依頼者からご提供いただいた事業内容を前提として行います。実際の事業内容や運営方法の詳細によっては、許認可や金融規制等との関係を当事務所において判断できかねる場合がございます。許認可が関係する可能性がある場合には、会社設立前に、所管行政庁又は当該許認可を取り扱う行政書士へご確認ください。

10. よくあるご質問

将来行う可能性があれば、すべて目的に入れた方がよいですか。

必ずしもそうではありません。近い将来に実施する具体的な計画があるか、現在の事業から自然に展開する可能性があるかを基準に検討します。

ピボットを考えると、目的は広くした方がよいですか。

特定の商品名や顧客層だけに限定せず、その基礎となる技術や事業領域にも一定の幅を持たせることが考えられます。ただし、現在の事業との関係が薄い分野まで多数加える必要はありません。

実際には行っておらず、許認可も取得していない事業を目的に入れると、法人口座を開設できませんか。

目的に記載されているというだけで、必ず法人口座を開設できなくなるわけではありません。金融機関の審査内容や判断基準は、金融機関や個別の申込みによって異なります。

ただし、実際には行っておらず、必要な許認可も取得していない事業が目的に含まれていると、その事業を行う予定の有無や許認可の有無について、金融機関から追加の説明や、許認可証その他の事業実態を確認する資料の提出を求められることがあります。当事務所でも、そのような資料の提出を求められた事例を経験しています。

当面行う予定がなく、許認可を取得する具体的な計画もない事業については、設立時から目的に記載する必要があるのかを検討しておくと、こうした確認への対応がしやすくなります。なお、許認可の要否や必要な目的の文言については、会社設立前に、所管行政庁又は当該許認可を取り扱う行政書士へご確認ください。

投資事業や外国為替取引を目的に入れると不利になりますか。

目的に記載されていることだけで、一律に不利になるとは限りません。ただし、実際の事業内容、許認可・登録の有無、資金の流れ、借入金の使途などについて、追加の説明を求められる可能性があります。

設立後に不要な目的を削除できますか。

削除できます。株式会社の場合は、原則として株主総会の特別決議による定款変更を行ったうえで、目的変更登記を申請します。合同会社では、定款に別段の定めがある場合を除き、原則として総社員の同意による定款変更を行ったうえで、目的変更登記を申請します。

まとめ

会社の目的を決めるときの考え方

  • 現在行う事業を中心に、近い将来に具体的に予定している事業と、現在の事業から自然に展開する可能性がある事業までを候補として検討する
  • ピボットに備えて事業領域で一定の幅を持たせることは大切だが、将来の可能性だけを理由として、許認可事業や金融関連事業を多数記載する必要はない
  • 投資、貸金、為替、決済などの目的は、法人口座の開設や融資の際に、実際の事業内容、許認可・登録、資金の流れや使途について確認を受けることがある
  • 目的を広く設計することと、会社の実態から離れた事業を並べることは別のことである

会社の現在の事業を軸に、ピボット、許認可、法人口座、融資まで見据えて、目的を慎重に設計することが大切です。

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司法書士法人LSOでは、会社設立時の目的の整理、定款作成、設立登記から、設立後の目的追加・削除の変更登記まで対応しています。事業内容がまだ固まっていない段階でもご相談いただけます。
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参考法令・資料

本記事は、2026年8月時点の法令及び公表資料等をもとに作成した一般的な解説であり、個別の事案に対する法的助言ではありません。法令、許認可の取扱い、金融機関の審査方針等は変更されることがあります。個別の事業に必要となる許認可・登録の有無、許認可取得の可否、金融規制への該当性、法人口座開設又は融資の可否を判断・保証するものではありません。具体的な手続にあたっては、会社法上の手続及び商業登記については司法書士、許認可については所管行政庁又は当該許認可を取り扱う行政書士、税務については税理士等へご相談ください。