会社の本店所在地はハイフンで登記できる?正式な住所表記を確認する理由

会社の本店所在地はハイフンで登記できる 正式な住所表記を確認する理由
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結論

会社の住所(本店)を「大阪市北区○○1-2-3」のようにハイフンで登記することを禁止する法律の規定は、当事務所が確認した範囲では見当たりません。ただし、「1-2-3」という書き方だけでは、その数字が住居表示(市町村が付けた街区符号・住居番号)なのか、土地の地番なのかが分かりません。

登記簿は、取引先や金融機関など会社の外の人も見るもので、商業登記は会社の情報を公示するための制度です(商業登記法1条)。そこで当事務所では、本店の住所が住居表示と地番のどちらで表されるかをできるだけ確認したうえで、住居表示なら「○○一丁目2番3号」、地番なら「○○一丁目2番地3」のように、数字の意味が分かる表記で登記することをおすすめすることが多いです。

なお、賃貸人から表記を指定されている場合など、ハイフン表記で登記することもあります。

ハイフン表記を禁止する規定は見当たらない|それでも表記を確認したい理由

「1-2-3」のようなハイフン表記で本店を登記することを禁止する規定は、会社法・商業登記法などを当事務所が確認した範囲では見当たりません。

前提として、株式会社の本店の住所は、設立の登記で「本店及び支店の所在場所」として登記します(会社法911条3項3号)。定款には「本店の所在地」を記載しますが(会社法27条3号)、「大阪市」のように市区町村までにとどめることが多く、その場合、番地や住居番号までの具体的な所在場所は、発起人の過半数の一致で決めます(法務省の案内)。合同会社でも、本店の所在地は定款に、本店の所在場所は登記に記載しますが(会社法576条1項3号・914条3号)、根拠条文や所在場所を決める手続は株式会社と異なります。この記事では、株式会社を例に説明します。

このように、会社法が定めているのは何を登記するか(本店の所在場所)までで、「1-2-3」とハイフンでつなぐか、「一丁目2番3号」と書くかといった書き方は定めていません。そのため、「ハイフンでは登記できない」「ハイフンで登記すると違法になる」という説明は正確ではありません。

ただし、ハイフン表記を禁止する規定がないからといって、ハイフンのまま登記すればよいとは限りません。「1-2-3」と書いた数字が実際の住所を正しく表しているかどうかは、別に確かめる必要があるからです。確かめておきたい理由は、主に次の2つです。

1住居表示の区域では、住居表示の番号を使う努力義務がある

住居表示が実施されている区域では、会社を含む誰もが、市町村が付けた街区符号・住居番号を使うよう努めることとされています(住居表示に関する法律6条1項)。ハイフン表記だけでは、その数字が市町村の付けた番号なのかどうかを、記載から判別しにくくなります。

2数字の意味が、表記から分からない

「1-2-3」は、住居表示の番号でも、土地の地番でも、同じように書けてしまいます。どちらを表しているのかを確かめずに登記すると、住居表示の区域なのに地番で登記してしまうといった取り違えに気づきにくくなります。

住居表示の区域では、住居表示の番号を使う努力義務がある|住居表示法6条

前の章で理由の1つ目に挙げた住居表示に関する法律(以下「住居表示法」)6条を、条文で確認します。6条は、住居表示が実施されている区域で、住所を表示するときに使う番号を定めています。

6条は2つの項に分かれています。1項は誰もが(会社を含みます)、2項は国と地方公共団体の機関が対象です。条文は次のとおりです。

住居表示に関する法律 第6条(住居表示義務)

何人も、住居の表示については、第三条第三項の告示に掲げる日以後は、当該告示に係る区域について、同条第二項の規定によりつけられた街区符号及び住居番号又は道路の名称及び住居番号を用いるように努めなければならない。

2 国及び地方公共団体の機関は、住民基本台帳、選挙人名簿、法人登記簿その他の公簿に住居を表示するときは、第三条第三項の告示に掲げる日以後は、当該告示に係る区域について、他の法令に特別の定めがある場合を除くほか、同条第二項の規定によりつけられた街区符号及び住居番号又は道路の名称及び住居番号を用いなければならない。

出典:住居表示に関する法律6条|e-Gov法令検索(「第三条第三項の告示」=市町村が住居表示を実施する区域・期日などを告示するもの)

2つの項を、誰に向けた規定かで分けると次のとおりです。

項 対象 内容
住居表示法6条1項 何人も(会社を含む) 住居表示の実施区域では、市町村が付けた街区符号・住居番号を用いるよう努めなければならない(努力義務)
住居表示法6条2項 国・地方公共団体の機関 法人登記簿などの公簿に住居を表示するときは、他の法令に特別の定めがある場合を除き、街区符号・住居番号を用いなければならない

6条は、1項で会社を含む誰もが使うよう努めることとし、2項で国や地方公共団体の機関が法人登記簿などに住居を表示するときに使わなければならないとしています。対象はどちらも市町村が付けた番号(街区符号・住居番号)です。その番号を「番」「号」で書くかハイフンでつなぐかまでは定めていないため、この条文からハイフン表記が禁止されるとまではいえません。大切なのは、登記する住所に書く数字が、市町村が付けた番号そのものかどうかです。

数字の意味が、表記から分からない|「1-2-3」の読み方と確認方法

ところが、「1-2-3」と書かれた3つの数字が何を表すかは、その場所で住居表示が実施されているかどうかで変わります。理由の2つ目に挙げた点です。

住居表示法2条は、住所の表示方法として「街区方式」と「道路方式」を定めています。大阪市などで使われている街区方式は、次の3つの要素で住所を表します。

住居表示に関する法律 第2条(住居表示の原則)(抜粋)

市街地にある住所若しくは居所又は事務所、事業所その他これらに類する施設の所在する場所(以下「住居」という。)を表示するには、〔中略〕次の各号のいずれかの方法によるものとする。

一 街区方式 市町村内の町又は字の名称並びに〔中略〕街区符号〔中略〕及び〔中略〕住居番号〔中略〕を用いて表示する方法をいう。

出典:住居表示に関する法律2条|e-Gov法令検索(条文の「住居」には、会社の事務所の所在場所も含まれます)

大阪市は、市内の住所を「町名(丁目)+街区符号(番)+住居番号(号)」の順で表示すると案内しています。図1は、この3つを分けて示したものです。

図1 住居表示(街区方式)の住所の組み立て(大阪市の例)

大阪市北区市・区
○○一丁目町名(丁目まで)
2番街区符号
3号住居番号
ハイフンで書くと
大阪市北区○○1–2–3色分けは、上の住所に当てはめた場合です。

参考:大阪市「住居表示の届出(建物を新築・改築したとき)」

住居表示の番号(街区符号・住居番号)は、市町村が付けます(住居表示法3条2項)。一方、住居表示が実施されていない区域には、街区符号も住居番号もありません。この場合は、一般に、土地の地番(登記所が一筆の土地ごとに付ける番号。不動産登記法35条)を用いて住所を表します。

そのため、同じ「○○1-2-3」という書き方でも、正式な表記としては、たとえば次の2つの読み方が考えられます。

○○一丁目2番3号住居表示の区域

「1」は町名の一部(丁目)、「2」は街区符号、「3」は住居番号

○○一丁目2番地3住居表示の未実施区域

「1」は町名の一部(丁目)、「2番地3」は土地の地番(2番)とその支号(枝番)

住居表示が実施されていない区域でも、町名に「丁目」が付いていることがあります。たとえば柏市は、地番区域(住居表示の未実施区域)の住所を「柏市[大字](○丁目)○番地(○)」の形で表すと案内しています(柏市「住所の表記」)。

ハイフンでつなぐと、「丁目」「番」「号」「番地」といった、数字の意味を示す言葉が消えてしまいます。そのため、「○○1-2-3」という表記だけでは、このどちらに当たるのかを読み取ることができません。

ポイント

登記簿は、取引先や金融機関など、会社の外の人も見るものです。商業登記は、会社法などで登記すべきとされた事項を公示(広く一般に示すこと)し、会社の信用の維持と、取引の安全・円滑に役立てるための制度とされています(商業登記法1条)。

そのため、登記簿の記載だけで、それぞれの数字が何を表すのかを読み取れることが大切です。ハイフン表記のままだと、登記簿を見た人は、記載だけからはそれを判別しにくくなります。

そこで、正式な表記を決める前に、まず住居表示が実施されている区域かどうかを確かめ、そのうえで正式な町名と、各数字が住居表示の番号なのか地番なのかを確認しておくと確実です。

正式な住所の確認方法|住居表示台帳・付定通知書・地番

数字の意味は、公的な資料で確かめることができます。住居表示の実施区域では、市町村が住居表示台帳を備えており、関係人は閲覧を求めることができます。

住居表示台帳について定めた条文です。

住居表示に関する法律 第9条(住居表示台帳)

市町村は、第三条第三項の告示に係る区域について、当該区域の住居表示台帳を備えなければならない。

2 市町村は、関係人から請求があつたときは、前項の住居表示台帳又はその写しを閲覧させなければならない。

出典:住居表示に関する法律9条|e-Gov法令検索

大阪市の住居表示事務処理要領では、住居表示台帳を、街区ごとに建物の位置・出入口、町名、街区符号などを表示したもので、街区符号と住居番号を公証する唯一の公簿であると説明しています。また大阪市では、建物を新築したときに区役所へ届け出ると住居番号が付けられ、区長名の住居番号の付定通知書が交付されます。

確認に使える資料の例を、住居表示の実施区域かどうかで分けると次のとおりです。会社の状況によって、ほかの資料で確認することもあります。

本店のある場所 確認に使える資料の例
住居表示の実施区域 建物の新築時に交付された住居番号の付定通知書/住居表示の実施時に市区町村から届いた通知/市区町村が発行する住居表示変更証明書(住居表示の実施などで住所が変わったことの証明書)/市区町村の住居表示台帳(住居表示法9条2項)
住居表示の未実施区域 本店のある土地の登記事項証明書など(地番は法務局が管理しています)

なお、大阪市の要領では、住居番号から地番を調べたいという照会について、区役所には地番の資料がなく、不動産登記簿上の地番を管理しているのは法務局であることから、区役所では応じない扱いとされています。地番の確認は法務局の資料で行うことになります。

根拠:大阪市「住居表示事務処理要領」(「住居表示台帳」「町名・地番の照会」の章)

当事務所の考え方|数字の意味が分かる表記をおすすめする理由と例外

当事務所では、前の章で見た資料などで本店の住所の構成を確認できる場合には、その構成が分かる表記で登記するのがよいと考えています。

本店の住所は、登記簿に記録された後、契約書・金融機関の口座開設・許認可の申請などで繰り返し使われます。数字の意味を取り違えて、実際と異なる所在場所を登記してしまうと、後から直す必要が出てきます。法務省は、本店の所在地が誤って登記されている場合には、本店の更正登記(誤りを正す登記)の申請が必要になると案内しています。

もっとも、ここまで見てきたとおりハイフン表記を禁止する規定は見当たらないため、ハイフンで書かれていることだけを理由に、登記が誤っているということにはなりません。すでにハイフン表記で登記されている本店の住所を「一丁目2番3号」の形に改めたい場合の手続は、管轄の法務局に確認したうえで進めることになります。

参考:法務省「会社・法人の所在地の表記に誤り等がある場合の登記申請について」

当事務所の考え方

たとえば、市が付けた住居表示が「大阪市北区○○一丁目2番3号」であることを確認できた場合、当事務所では、「大阪市北区○○1-2-3」と省略するよりも、住居表示の構成が分かる「○○一丁目2番3号」の形で登記することをおすすめすることが多いです。

これは、ハイフン表記が違法だからではありません。前の章で見たとおり登記は公示のための制度なので、「番」「号」「番地」と書き分けて、住居表示の番号なのか地番なのかを登記簿の記載から読み取れるようにしておくのがよいと考えているためです。

ハイフン表記で登記することがあるケース

当事務所でも、すべての案件で「一丁目2番3号」「2番地3」のような、数字の意味が分かる表記で登記しているわけではありません。

たとえば賃貸オフィスでは、建物のオーナーや賃貸人から、契約上・施設上使う所在地の表記としてハイフン表記を指定されることがあります。また、会社がすでに一定の住所表記で各種の手続を進めているケースもあります。

そのような場合には、できるだけ住居表示や地番との対応関係を確認したうえで、物件の利用条件、指定された表記、会社が実際に使っている住所の表記などの事情をご依頼者と確認し、ハイフン表記で登記することもあります。

司法書士として実際に確認しているポイント

当事務所では、ご依頼者から伺った住所をそのまま申請書に書き写すだけではなく、必要に応じて次のような点を確認しています。確認する事項の例で、本店の場所や会社の状況によって、ほかの点を確認することもあります。

1住居表示の区域か、地番の区域か

住居表示の区域なら住居表示の番号(番・号)、そうでなければ一般に土地の地番(番地)で表すため、最初に確認し、そのうえで「1-2-3」の各数字が街区符号・住居番号なのか、地番・枝番なのかを確かめます。

2正式な町名はどこまでか

「丁目」が町名の一部になっているか、告示された町名の数字が漢数字かどうかを、できるだけ確認します。

3賃貸人などから表記の指定がないか

賃貸オフィスやシェアオフィスでは、所在地の表記を指定されていることがあるため、契約書や利用規約の記載を伺います。

4決議書と登記申請書の表記がそろっているか

本店の所在場所を決めた書面(株式会社の設立では、発起人の決定書など)と、登記申請書に書く本店の所在場所が、同じ表記になっているかを確認します。

会社設立全体の流れは会社設立の業務案内で、設立後に本店を移す場合の手続は本店移転・各種変更登記の業務案内でご案内しています。会社設立のときには、本店の住所のほかに会社名(商号)の決め方や会社の設立日の決め方も確認しておきたいところです。

よくあるご質問

「丁目」は漢数字と算用数字のどちらで書けばよいですか。

全国一律に定めた法令の規定は確認できていません。市区町村が告示した正式な町名を確認するのが確実です。たとえば大阪市の住居表示事務処理要領は、市が発行する住居表示変更証明書の記載方法として、「町名(丁目)は固有名詞であるので丁目は告示どおり漢数字で記載すること」としています。

会社を設立した後に、本店のある区域で住居表示が実施されたらどうなりますか。

法務省は、住居表示の実施によって本店の所在地が変わった場合には、本店の変更登記の申請が必要になると案内しています。市町村長の証明書(または住居番号決定通知書)を添付することで、登録免許税が非課税となる場合があります。変更登記の期限などは会社の変更登記を忘れていませんか?で解説しています。

本店の住所を誤って登記してしまった場合はどうすればよいですか。

法務省は、本店の所在地が誤って登記されている場合には、本店の更正登記の申請が必要になると案内しています。ハイフンで書かれていることだけを理由に、誤りとなるわけではありません。現在登記されている本店の住所は、会社の登記事項証明書(登記簿謄本)などで確認できます。

まとめ|ハイフン表記を禁じる規定はないが、数字の意味を確かめてから登記する

  • 株式会社の本店の住所は「本店及び支店の所在場所」として登記します(会社法911条3項3号。合同会社は914条3号)。会社法はその書き方までは定めておらず、ハイフンで登記することを禁止する規定は、当事務所が確認した範囲では見当たりません。
  • 住居表示の実施区域では、会社を含む誰もが、市町村が付けた街区符号・住居番号を使うよう努めることとされています(住居表示法6条1項)。
  • 「1-2-3」だけでは、住居表示の番号なのか土地の地番なのか、各数字が何を表すのかが分からないことがあります。
  • 登記は会社の情報を公示するための制度です(商業登記法1条)。そのため当事務所では、本店の住所が住居表示と地番のどちらで表されるかをできるだけ確認したうえで、数字の意味が分かる表記(住居表示なら「番・号」、地番なら「番地」)で登記することをおすすめすることが多いです。なお、賃貸人から表記を指定されている場合など、ハイフン表記で登記することもあります。

会社設立時の本店の住所についてもご相談ください

本店の住所の表記や、マンション名・部屋番号をどこまで登記するかなど、会社設立時の細かな登記事項もご依頼者と確認しながら手続を進めます。

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司法書士法人LSO 代表社員 司法書士 金光康太

執筆・監修

金光 康太(かなみつ こうた)

司法書士(司法書士法人LSO 代表社員)

大阪・梅田の司法書士。スタートアップ・ベンチャー企業の資金調達、種類株式、ストックオプション、M&A・組織再編、IPO準備に伴う商業登記を中心に取り扱っています。U30堺市起業家輩出プログラムSIPメンター(2024年度・2025年度)。

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本記事について

本記事は、2026年10月時点の会社法・商業登記法・住居表示に関する法律・不動産登記法および法務省・大阪市・柏市の公表資料をもとに作成しています。住居表示・町名・地番の取扱いは地域によって異なり、法令や登記実務の取扱いも変更されることがあります。具体的な登記手続にあたっては、本店のある場所の住居表示・地番と最新の公表資料をご確認ください。

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