活用しやすい「解決金」

公開日: 2019.10.09

最終更新日: 2019.10.09

こんにちは

LSO総合司法書士事務所の沖中です。

 

離婚の際に、一方から相手方に支払われるお金として、養育費、婚姻費用、財産分与、慰謝料があります。

その他に、実務では「解決金」というものも支払われることがしばしば。

 

そこで今回は、離婚を成立させるためにも支払われる「解決金」についてお話ししていきます。

 

協議離婚は、お互いの同意のもとで成立するものですが、

一方だけが離婚をしたい場合には、話し合いに応じてもらえないときもあると思います。

 

そんな時、裁判で争って離婚するのも一つの手ですが、穏便に済ませたいという人が

協議や調停で解決金を支払うことを条件に離婚するというのが実務上少なくありません。

 

このように離婚の条件や、他の支払いの全体的な調整を図るために使われる解決金について、

その性質やデメリットをお話ししていきます。

  1. 01

    解決金の性質・役割

     

    解決金は、慰謝料や財産分与とは性質が異なり、法律上の定めがない金銭の授受になります。

    法律上の定めがないということは、根拠となる条文が存在しないということです。

     

    つまり、裁判で離婚する場合は、解決金の請求はできないということです。

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    解決金が意味するもの

     

    解決金は、慰謝料や財産分与と異なりその金額が具体的に何を意味するか、名目としては全く分からないですよね。

     

    例えば、多いのは、離婚後の当面の生活費です。

    結婚を機に、奥さんが家庭に入った場合、離婚をするのであれば、

    離婚後の当面の生活費は、夫として負担するのが当然のことに思われます。

     

    他には、慰謝料を解決金の名目で支払うこともあります。

    例えば、不貞行為を働いてしまったが、社会的な地位は守りたいという人が

    世の中には一定数いますので、そのような人が使う手段です。

    解決金を支払ったとすれば、体裁は守れますよね。

  3. 03

    解決金の相場

    結論から申し上げると、解決金に相場はありません。

    法律上に根拠がない故に、裁判例等がないのが現状です。

     

    金額の高低は夫婦によって様々ですので1000万円を超えるケースもあれば100万程度で合意するケースもあります。

    夫婦で話し合って、現実に支払える金額でまとめることをおすすめします。

     

    また、解決金は、一括払いが基本になります。

    しかし、これは絶対的ではありません。

    離婚時に解決金を支払えるだけのまとまったお金がない場合は、分割支払によることも可能です。

     

    このあたりも、夫婦でしっかり話し合いましょう。

  4. 04

    解決金のデメリット

     

    解決金はその性質があいまいな分、しっかり契約書等に残しておかないと、離婚後に再度請求されかねません。

     

    ですので、解決金を支払った場合は、その旨の清算条項を必ず記載し、証拠として書面等で残しておきましょう。

  5. 05

    税金はかかるのか?

     

    慰謝料と財産分与の判断は、原則として非課税の扱いになりますが、

    解決金についてはその実質的な内容によって判断されることになると考えられます。

     

    つまり、過大な金額とならないように、解決金に関しては支払い項目に対する注意が必要になります。

     

  6. 06

    まとめ

     

    夫婦関係がうまくいっておらず、どちらかだけが離婚を望んでいる場合や、

    条件次第では離婚しても構わないと思っている場合は、解決金をうまく使うと、話し合いがスムーズに進んだりします。

     

    やはり、離婚の際に一番考えるのは、離婚後の生活ですよね。

    特に、女性は結婚や出産を機に、仕事から離れる方も多いと思いますので、

    離婚後社会に復帰するまでの時間や労力を考えると、解決金の存在はとても大きいはずです。

     

    なかなか離婚の話し合いが進まない夫婦は、このような解決金もうまく利用してみてもいいかもしれません。

     

    最後までご精読ありがとうございました。