親権者と監護権者を分けるメリット・デメリット

公開日: 2019.01.25

最終更新日: 2019.12.03

こんにんちは。

LSO総合司法書士事務所の沖中です。

 

今回は、「親権者と監護権者を分離するメリット・デメリット」についてお話します。

 

離婚の際に、一方が親権にこだわり、「親権者になれないと離婚はしない」と、話しがまとまらない場合があります。

このとき、夫婦の合意があれば親権者と監護権者を分けることも可能です。

分けた場合、親権者は日常の子どもの養育を出来ないということになります。

 

親権者と監護権者を分けるのはまれなことです。

その理由についてお話していきます。

 

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    親権者、監護権者それぞれの役割

     

    父母の話し合いで、

     

    一方が親権者として「法定代理人・財産管理」などの行為を行い

    もう一方が監護権者となって子どもを引き取り、身の回りの世話や教育を行う

     

    このように、夫婦の役割を分けることが出来ます。

     

    親権は大きく「財産管理権」と「身上監護権」に分かれます。

    この「身上監護権」がいわゆる監護権となります。

    そして「身上監護権」のみを一方に任せることが例外的に認められています。

    この2つの役割を分担した場合の、それぞれの役割を説明します。

     

  2. 02

    親権者

     

    財産管理権のみをもつ親権者は、以下の権限をもちます。

    包括的な財産の管理権

    子ども名義の預貯金などの財産を管理する権限です。

    子どもの法律行為に対する同意権

    未成年者は原則的に親権者の同意がなければ法律行為を行うことができません。

     

    ここにいう法律行為とは、例えば、不動産等の財産の売買、アルバイトなどの労働契約、携帯電話の契約などです。

     

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    監護権者

     

    監護権のみをもつ親は、以下の権限をもちます。

    身分行為の同意権・代理権

    →例えば、結婚に際しての父母の同意、認知の訴えなどです。

    居所指定権

    →親が子どもの居所を指定できる権利です。

    懲戒権

    →子どもに対して親がしつけをする権利です。

    職業許可権

    子どもが営業を始めるに際してその許可を出す権利です。

     

    監護権だけでも十分では?と思うくらいに権限は広そうにも思えます。

     

    しかし、生活しているとそうスムーズにいかないことも多々でてきます。

    この点は次でお話します。

     

  4. 04

    分けたときのメリット・デメリット

     

    先述したとおり、親権者と監護権者をわけることは極めてまれでありますが、

    例えば以下のようなケースの場合、分離することが考えられます。

     

    ・親権者は父だが仕事の都合で海外出張のため、子どもへ時間を割けない。

    ・財産管理はお金に強い父親に任せたい。でも子どもは幼いので母親で面倒を見たい。

    ・親権者がなかなか決まらず、家庭環境が不安定な状態が続いていて子どもの負担になっている。

     

    このような場合に、親権者と監護権者を分けることで生じるメリット・デメリットは何でしょうか?

     

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    メリット

    分離することで直接的なメリットはありませんが、以下のような間接的なメリットは感じられると思います。

    離婚の話し合いがスムーズに進むきっかけになる

    双方が譲らず、離婚協議がなかなかまとまらないときの妥協策になります。

    親権と監護権を分離することで、どちらも納得する形で離婚を成立させられる可能性が出てきます。

    子どもに与える安心感

    一方を親権者、もう一方を監護権者とすることで、子どもはどちらの親とも繋がりを感じることが出来ます。

    離婚後も自分自身と関わってもらえることで、その繋がりは身をもって感じ取れることかと思います。

     

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    デメリット

     

    監護権さえあれば、親権の必要性をあまり感じないのでは?

    と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、以下のような場合、いちいち親権者の同意が必要になってきます。

    身近な例で言うと、

     

    ・子ども名義の通帳作るとき

    ・大学進学など実家を出てアパートを借りるとき

    ・携帯電話を契約するとき

    ・子どもの姓や戸籍の変更をしたいとき

     

    特に、親権者が遠く離れた場所で暮らす場合、その同意を得ることの不便さはより一層増すことと思います。

     

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    口約束で終わらせない

     

    基本的には夫婦間の話し合いで親権と監護権を分けることが出来ます。

    ただ、協議が成り立たない場合には、家庭裁判所が決定することになります。

     

    そして、離婚協議書や公正証書には必ず監護権者の名前を記載しましょう。

    その理由は、戸籍には親権者の名前しか記載されないからです。

  8. 08

    まとめ

     

    監護権者と子どもの苗字が違うことや親権者の同意が必要な場合の連絡など生活上の不便等を考えると、

    親権と監護権を分けることはやはりおすすめできません。

     

    しかし、親権と監護権の分離は、その家庭ごとにケースバイケースと言えますので、

    どうすることが自分たち夫婦、子どもにとって最適なのか、どちらがより子どもの利益になるのか、

    このようなことを優先しながら検討して下さい。

     

    どうすればいいか迷っている方や、相談相手がいなくて悩んでいる方がいらっしゃいましたら

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    最後までご精読ありがとうございました。