親権と児童扶養手当の関係

公開日: 2019.01.25

最終更新日: 2020.08.11

こんにちは。

LSO総合司法書士事務所の沖中です。

 

今回は、「親権者でないと児童扶養手当は受給できないのか」など

児童扶養手当の受給資格についての疑問にお答えしていきます。

 

離婚が成立したら、必ず早めに手続きして欲しいのが児童扶養手当の申請です。

児童扶養手当(通称;母子手当)は、ひとり親家庭の児童の福祉の増進を図ることを目的とした国の制度です。

児童扶養手当は所得に応じて決まり、子どもが18歳に達する日以降の最初の3月まで支給されます。

 

ただし、所得制限がありますので、所得が多い場合は受給できないこともあります。

この手当ての受給資格者になれる人と親権等との関係を見ていきましょう。

  1. 01

    親権がありません・・・

     

    「離婚の際に、親権と監護権を分けて定めました。監護権は母親である私にありますがこの場合でも児童扶養手当は受給できますか?」

    このような疑問を抱いている方、いるのではないでしょうか?

     

    この場合、結論から申し上げますと、

    子どもを養育している者に対して支給されますので、親権がなくても問題なく受給できます。

    少し、ほっとしましたか?

  2. 02

    別れた旦那から養育費をもらっている

     

    離婚の際に養育費を定め、その支払いを受けている場合は、その養育費は所得となりますので、

    児童扶養手当の支給額が減額されることになります。

     

    ですが、養育費として受け取っている金額の全てが収入として加算されるわけではなく、

    8割相当の金額が所得とみなされることになります。

     

    ところでこの養育費、実は自己申告制になっています。

    養育費はもらっていないと申告した場合でも、役所から「もらっていないことの証明をして下さい」などとは言われません。

    そして役所には受給者の通帳等を調べる権限もないのです。

     

    こうして、本当は養育費をもらっているのにもらっていないと申告し、

    通常もらうべき金額よりも多めにもらえば、これは立派な不正受給になります。

    公的機関に嘘の申告をすることは道徳的に問題があることです。

     

    もちろん嘘の申告をしたことが発覚すれば過去にさかのぼって全額返金しなければならず、

    他にも懲役や罰金の可能性も十分にあります。

     

    ですので、申告は正しくすることが何よりです。

     

  3. 03

    児童扶養手当が支給される時期

     

    役所に児童扶養手当の申請をして、受給資格の認定を受けると、

    年6回、奇数月に2ヶ月分がまとめて支払われます。

     

    つまり、毎月支払われるわけではないことがわかりますね。

    ですので、例えば1月に受給資格の認定を受けた場合、最初の支払月は3月、つまり2ヶ月は待つことになります。

    「こんなはずじゃなかった」ということにならないよう、この点は十分ご注意下さい。

  4. 04

    児童扶養手当と児童手当は別制度

     

    この2つの手当て、とてもよく似た名称ですね。

    児童手当は中学生までの子供がいる世帯なら、どの家庭にも支給されます。

     

    だたし、児童扶養手当と同様に、所得制限があります。

    離婚して、ひとり親家庭になった場合、必ず二つとも手続きするようにしましょう。

    児童手当だけを申請して、児童扶養手当を申請していないケースもありますので、漏れのないようにご注意下さい。

  5. 05

    ひとり親家庭を対象にした様々な援助(大阪市)

     

    大阪市では、今回お話した児童扶養手当を始め、ひとり親家庭を対象に様々な援助があります。

    例えば、

    生活支援

    ひとり親家庭向け住宅支援、ひとり親家庭等日常生活支援事業

    経済的支援

    児童扶養手当、ひとり親家庭医療費助成制度、母子・寡婦福祉優遇制度、

    国民健康保険の免除、国民年金の免除

    その他

    JR通勤定期の特別割引、駐輪場利用料金の割引ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業

    このように、各市区町村で様々な援助制度がありますので、気になる方は一度調べてみて下さい。

     

  6. 06

    まとめ

     

    今回は、児童扶養手当についてお話しました。もし離婚することになって、

    親権が取れなかった場合でも児童扶養手当は問題なく受給できるということが分かって頂けましたでしょうか。

     

    現在ひとり親家庭で、何の援助も受けていないという方、

    他の援助制度が気になるという方はぜひお住まいの役所に問い合わせてみて下さい。

     

    援助制度以外にも、離婚手続きに際して不安なことがあれば、

    一度当事務所までご相談下さい。

    しっかり準備を整え、離婚後不安のない生活を送れるよう、サポートさせて頂けましたら幸いです。

    相談フォーム

     

    最後までご精読ありがとうございました。