父親が親権を得るためには

公開日: 2019.01.25

最終更新日: 2019.08.19

こんにちは

LSO総合司法書士事務所の崎井です

 

”離婚をする際に重要な決め事のひとつに親権をどちらがとるか”

ということが考えられます。

一般的に母親が親権をとる場合が多いという認識の方が多数かと思います。

では、父親が親権を得るためには、どのようなことが重要になるのでしょうか。

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    親権を得る判断基準

     

    親権者を定めることは法律で決められており、原則、夫婦間の協議によって決められます。

    協議によって定まらなかった場合は、夫婦どちらかの請求に基づき、裁判によって親権者が決められます。

     

    親権を夫婦のどちらにするかの判断基準は、大きく分けて、子どもの事情と親の事情が考慮され決められます。

     

    まず子どもの事情がどのように考慮されるのかを説明していきます。

    一般的には、実際に子どもの面倒を見ている側が有利になり、子どもが010歳の場合、

    親権は母親になる可能性が高くなっています。

     

    子どもの年齢が10歳程度であれば、子どもの意思も考慮される場合があり、15歳以上であれば、

    家裁は必ず子どもの意見を聞かなければならず、子どもの意思が優先されます。

     

    次に親側の事情について説明します。

     

    考慮されるものとしては、健康状態、生活態度、監護能力と意欲、経済的・精神的家庭環境、

    住居・教育環境、親族などの援助の有無が挙げられます。

    また、妻の不貞行為自体は親権が妻に認められなくなる理由にはならないとされており、

    あくまでも総合的な判断によって親権は決められます。

     

    その他の判断基準としては現状尊重の原則、兄弟姉妹不分離の原則、離婚に際しての有責性を考慮し、

    子どもの利益を優先して親権者が決められます。

     

    また、離婚時に子どもと同居している方(子どもと過ごした時間が長い)が親権を得やすい傾向にあります。

     

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    父親が親権を得るには

     

    以上をふまえて、父親側が親権者となるために有利になることを説明していきます。

     

    父親が親権を取ることが難しいとされる理由の1つに、子どもと過ごせる時間が少ないと判断される点があります。

    一般的な家庭の父親はフルタイムで会社勤めをしている場合が多いためです。

    フレックスタイム制度を利用する、親族の協力を得ることを説明するなど、

    子ども優先のライフスタイルに変えていくことを主張していきましょう。

     

    また、養育実績、養育環境が整っていることが大事になります。

     

    養育実績は期間だけで決まるものではなく、夫婦のどちらが積極的に育児監護をしていたか、

    今後も今まで通りの監護養育ができるのかということが判断されます。

    今まで妻より長い期間養育実績があったとしても安心せず、

    今後どのように監護養育をしていくのかということを説明できるようにしておきましょう。

     

    その他の考慮事項としては、母親が虐待、育児放棄等をしていたことは、当然に父親に親権が認められやすくなります。

     

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    まとめ

     

    ここまでで、親権の判断基準と父親が親権を得るために有利なことを説明してきましたが、

    父親が親権者に選ばれる割合は約9%となっています。

    (平成29年度司法統計「離婚」の調停成立または調停に代わる審判事件のうち未成年の子を処置すべき件数」より)

     

    数字でも分かるように父親が親権者になるのは難しくなっています。

    しかし、親権者として母親よりもふさわしいということを裁判所に納得してもらわなければなりません。

     

    そのために、養育実績を積み、子どもの生活環境が整っていることを説明できるように

    準備をしていくことが大切になります。

     

    やはり養育実績だけは、今すぐどうにかするということはできません。

    ですが、どうしても親権が欲しい場合、一人で悩んでも仕方ありませんので、一度当事務所にご相談下さい。

     

    お悩みが一つでも解決できれば幸いです。