夫婦どちらも子どもを引き取りたくない

公開日: 2019.01.25

最終更新日: 2019.08.19

こんにちは。

LSO総合司法書士事務所の沖中です。

 

今回は、夫婦どちらも子どもを引き取りたくない場合の離婚についてお話ししていきます。

離婚時、親権の取り合いでもめるケースがほとんどですが、中には夫婦どちらもが親権を欲さず、

子どもを押し付けあうようなケースもあります。

このような場合どうなるのか、お話しします。

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    離婚はできる?

     

    夫婦どちらも子を引き取りたくない場合でも、とりあえず離婚はできるのか。

     

    答えは、できません。

     

    親権者を定めなければ離婚はできないことは、別の記事でもお話しました。

    引き取りたくない理由は様々あると思います。

     

    ・仕事と子育てを両立するイメージがつかない

    ・経済的に子どもを育てられるか不安

    ・体が弱く、自分の生活費を稼ぐので精一杯

    ・再婚時に邪魔になる

    などなど…

     

    夫婦の話し合いで親権者が決まらなければ、家庭裁判所に調停、審判を申し立て、

    親権者の決定を裁判所の判断に委ねることになります。

     

  2. 02

    親権者に選ばれてしまった・・・

     

    調停や審判の結果、親権を押し付けられてしまったが、子どもの面倒がみられないということもありますよね。

    押し付けあっているのが前提なら、こうなる人がほとんどだと思います。

     

    この場合は、家庭裁判所に親権の辞任や変更の申し立てをすることができます。

    ただし、辞任や変更の許可を得るためには、裁判所の納得する理由が必要になります。

     

    つまり親の勝手な都合ではなく、やむを得ない事由等がある場合に限り親権者を辞めることができます。

  3. 03

    親権の辞任について

     

    やむを得ない事由って例えば?

    と思われた方がいらっしゃると思うのでいくつか例を挙げたいと思います。

     

    ・親権者が病気になり、療養が必要になった

    ・親権者が犯罪を犯して服役が必要になった

    ・親権者の長期の海外出張

    などなど…

     

    以上のように、親権があることで子供に深刻な害を与えていると家庭裁判所が判断した場合には、

    親権の辞任が許可され、未成年後見人が選出されることになります。

     

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    親権の変更手続き

     

    以下のような場合は、家庭裁判所が子どもの利益のために必要があると認めた場合に

    親権の変更をすることができる可能性があります。

     

    ・親権者が死亡、行方不明の場合

    ・子どもが虐待を受けている場合

    などなど…

     

    また、子どもが15歳以上の場合は、裁判所はその子の意思、意向も必ず聞きます。

    離婚時には話し合いで決めることができた親権者も、変更となると第三者である家庭裁判所が関与し、

    調停もしくは審判によってされることになります。

     

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    子に親権者がいなくなったら・・・

     

    子に親権者がいなくなれば、家庭裁判所は後見人を選任することになります。

     

    しかし実際は、後見人ではなく、親戚や祖父母が養育することが多いです。

    この場合は、夫婦のいずれかが親権者であるけれど、監護者は祖父母等の第三者ということになります。

     

    どうにも監護する人がいない場合は、先述したとおり、

    児童福祉施設(乳児院や児童養護施設等)に養育を委託するべきです。

     

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    まとめ

     

    夫婦が親権の取り合いをするのも大変な状況ですが、親権の押し付け合いをするのは子どもにとって、より過酷な状況です。

    子どもに対する愛情が薄く、責任感のない人が親になった場合にこのような悲しいケースを生じさせてしまいます。

     

    子どもに、食べ物を与えなかったり、虐待していたなどの悲しいニュースがよくテレビで流れていますが、

    嫌々子どもを引き取ってそのニュースの当事者になってしまったなどということは、絶対にないようにして下さい。

    愛情も責任感もないのであれば、施設に入れてあげるのが子どものためだったりもします。

    夫婦共々、子どもの未来をよく考えて行動するようにして下さい。

     

    子どものことは、親族ましてや他人には相談しにくいものです。

    今誰にも相談できずに悩んでいる場合は、まず当事務所にご相談下さい。

    どんな些細なことでも構いません。お待ちしております。

     

    最後までご精読ありがとうございました。