※所有者⇒不動産の権利をもっている配偶者
※非所有者⇒不動産の権利をもっていない配偶者

離婚した場合での不動産手続きについて

離婚の際、住んでいた不動産をどうしたらいいのか?離婚を考えるときの悩みの一つだと思います。
例えば、夫が所有する不動産または夫婦共有で所有する不動産に住んでいた場合選択肢として、大きく以下の3つが考えられます。

  1. 1. 非所有者が住み続ける場合

    1. 元夫(所有者)から妻に対して自宅不動産を譲る場合(夫婦共有の名義も含む)
    2. 元夫(所有者)を賃貸人とし、賃貸借契約を締結する
  2. 2. 所有者がそのまま住み続ける場合

    1. ③離婚協議書を作成するのみ
  3. 3. どちらも居住しない場合

    1. ④不動産を売却する

非所有者が住み続ける場合

このケースは元夫が所有する自宅に、妻が離婚後も住み続ける場合に多いと思います。
よって今回は元夫が妻に対して自宅不動産を
  • ・財産分与として譲る場合
  • ・賃貸借契約を結んで貸す場合
を想定して説明させて頂きます。
さっそくパターンに分けて説明させて頂きます。

01元夫から妻に対して自宅不動産を譲る場合(夫婦共有の名義も含む)

自宅不動産を名義人でない当事者が受け取る場合、自宅の名義を変更しておく必要があります。
これは自宅を受け取った方の権利を守るためです。
所有者の名義変更をせず放置したままに、相手の元配偶者が税金を滞納した場合など、自宅を差押えられてしまうかもしれません。
さらに元配偶者が、勝手に、自宅不動産を誰かに売却したときに自分の権利(所有権)を対抗できなくなる可能性があるからです。
よって、自宅が住む方にとって相手方の所有であったり、夫婦共有であったりした場合には財産分与を原因として、自宅の名義を変更させる必要があります。

手続(名義変更)の流れ

  1. 01 .離婚協議書の作成

    当事務所にて、離婚協議書の作成をサポートさせて頂きます。
  2. 02 .離婚協議書の作成

    離婚協議書の提出前に、当事務所が間に入り、自宅の権利移転の必要書類の授受を行います。
  3. 03 .離婚協議書の作成

    司法書士が管轄の法務局に自宅名義変更の書類を申請します。専門家が代理しますので、手間はございません。

必要書類

自宅の名義変更に必要な書類は以下の通りです。なお、★印の書類は、当事務所で作成・代行取得させて頂きます。

〈自宅の権利を手放す側〉

  • ・不動産権利書
  • ・印鑑証明書(3ヶ月以内)1通
  • ★固定資産税評価証明書
  • ★登記原因証明情報

〈自宅の権利を受取る側〉

  • ★住民票 1通

費用

司法書士報酬:8万円~(税別)
その他実費:登録免許税、通信交通費等
※不動産の評価額により、金額は異なります。

〈例えば〉

不動産の評価額が仮定として1,000万円でしたら20万円が登録免許税となります。司法書士報酬が8万円、消費税や通信費等の諸費用が約1万円となりますので本ケースですと合計29万円程度の費用が発生することになります。

02元夫を賃貸人とし、賃貸借契約を締結する

このケースは元夫が所有する自宅に、妻が住み続ける場合に多いと思います。特に子どもがいて、妻側が親権を持つ場合などは、このケースが多くみられます。
自宅不動産が、元夫の所有の場合には、元夫(所有者)を賃貸人、住む側の妻を賃貸人として、賃貸借契約書を作成します。
きちんと自己の居住権を確保するために、以下のようなことも盛り込んだ契約書にすれば良いでしょう。

  • 子どもが大学を卒業するまでは第三者に不動産を譲渡しない
  • 賃貸借期間は子どもが成人する〇〇年まで
    (若しくは大学卒業まで等)

必要書類

賃貸借契約書に必要な書類は以下の通りです。

〈自宅を貸す側(所有者)〉
・不動産権利書←所有権を確認をさせて頂きます

費用

司法書士報酬:3万円(税別)
その他実費:印紙代金200円~400円程度

所有者がそのまま住み続ける場合

03離婚協議書を作成するのみ

居住していた不動産を所有者となっている配偶者側がそのまま持ち続ける場合です。この場合は、不動産の登記手続きなど、別途手続は特に必要ありません。
※但し夫婦共有名義の場合は、どちらか単独名義とすべきですので、①不動産を財産分与で名義を変更するの手続きで検討することになります

但し、妻が元夫の住宅ローンの保証人になっていた場合などには、金融機関に事情を説明し、保証人から外して貰えるよう交渉が必要です。
これは、代わりの保証人を用意するなどの交渉材料が必要です。離婚したとしても、金融機関からすれば、元配偶者の保証人であることには変わりありません。

保証人を外すことに、金融機関が応じるか否かの判断は、お約束できないことにご注意下さい。

どちらも居住しない場合

04不動産を売却する

自宅不動産を売却する場合です。この場合、離婚成立までに売却できない場合がほとんどかと想定されます。
急いで売却して安く売ってしまうのは大きな損害ですので離婚協議書には、不動産を売ることを前提に以下のような内容を盛り込んでおくと良いでしょう。

〈協議書に入れておくと良い内容〉

  • ・不動産を離婚成立後に速やかに売却すること
  • ・売れるまでの不動産の管理方法
  • ・売却後の利益の分配について
  • ・住宅ローンが残っている場合は、どのような負担割合で支払うのか
  • ・またローンが残っている場合に、不動産が売れても残債務が残った場合どうするか

手続(自宅不動産の売却)の流れ

  1. 01 .不動産の査定や住宅ローンの債務残高の調査

    現在の自宅の価値を計算します。どちらか一方に有利な査定とならないように、要望がございましたら当事務所提携の信頼できる業者を紹介することも可能です。
    また住宅ローンが残っている場合には、金融機関に対して残債務が幾ら残っているかの証明書を請求して頂きます。
  2. 02 . 離婚協議書の作成

    当事務所にて離婚協議書の作成をサポートさせて頂きます。この離婚協議書には、不動産売却に関しての内容も盛り込みます。
  3. 03 .離婚協議書の提出

    離婚協議書を提出頂きます。
  4. 04 .不動産売却(登記手続き)

    不動産の売却(仲介)を不動産屋さんに依頼します。買取希望の方への現地確認なども、協力しなければいけません。
    買主が決まれば、売買契約を締結します。通常、売買契約と同時にお金を全て支払うことは多くなく、買主の資金計画のために1ヶ月程度は期間を置いた後に、最終的な売買代金の授受(決済)を行います。
    売却手続では、不動産の登記手続きも必要ですが、当事務所は登記の専門家である司法書士が運営しておりますので、この登記手続きまで一貫して、対応させて頂きます。
  5. 05 . 確定申告

    不動産の売却価格が購入時より高く売れた場合や、不動産の取得当時の売買価格が不明な場合には、不動産売却の翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告を行います。※提出期限が土日祝日の場合はその翌日が期限です
    この確定申告はご自身でも対応が可能ですが、ご要望がございましたら、当事務所提携の税理士をご紹介させて頂きます。

必要書類

必要な書類は以下の通りです。なお、★印の書類は、当事務所で作成・代行取得させて頂きます。

〈自宅を所有する方〉

  • ・不動産権利書
  • ・印鑑証明書(3ヶ月以内)1通
  • ★固定資産税評価証明書
  • ★登記原因証明情報

費用

ここでは不動産決済(売却時の名義変更手数料)の費用をご案内致します。報酬実費については、不動産の個数などにより異なりますので、お気軽にお問合せ下さい。
司法書士報酬:2
5,000円~(税別)
その他実費:数千円~

その他、離婚不動産についてのよくある質問Q&A

  • Q賃貸物件だった場合は何もしなくていいのですか?

    A契約者である配偶者が家を出て行く場合、引き続き居住する家族(妻や子ども)へ契約者の名義を変更する必要があります。
    不動産管理会社若しくは大家さんに事情を説明し、賃借人の名義変更を行いましょう。
    なお賃貸契約の際に、保証人や保証会社をつけていた場合には、離婚による名義変更の説明を行う必要があるので、ご注意下さい。
  • Q自宅を売却する場合に、権利書を無くしてしまった場合は?

    Aこの場合でも自宅の売却(名義変更)は可能です。但し、司法書士によって権利書の代わりとなる書類(本人確認情報)を作成し代替することになるのですが、4~6万円程度の手数料が追加で発生しますので、ご理解下さいませ。
  • Q夫婦共有名義の場合の注意点は?

    A離婚後はどちらかが家を出ていくことになるかと思いますが、この場合は離婚に併せて不動産の名義を単独名義にしておくべきだと思います。
    これは、離婚後の不動産の名義を夫婦共有のままにしておくと例えば、元配偶者が税金を滞納していたり、借金の返済が滞った場合、配偶者が所有する不動産の持分を差し押さえられる可能性があるからです。
  • Q自宅売却の際に、元配偶者と顔を合わせたくない場合

    A当事務所が間に入り、夫婦が顔を合わせずに不動産を売却できるように協力させて頂きます。
    なお、別れた二人が協力して不動産を売却するのは精神的に難しい場合、ご夫婦ともお忙しい場合には、売却手続を全面的に支援するサービスも実施しております。詳しくは以下のリンクからご参照下さい。

    離婚不動産の売却手続支援

  • Q妻が財産分与として自宅を受け取るに当たり、夫名義の住宅ローンが残っていたら?

    Aこの場合は、妻が新たに住宅ローンの申込みを行い、既存の夫名義の住宅ローンを消して貰います。
    これをしておかなければ、元夫が住宅ローンを滞納した場合、自宅を差し押さえられ住み続けられなく可能性があるからです。
  • Q不動産の名義を変更したときの税金は?

    Aケースにより以下のような税金が発生する可能性があります。具体的な説明は、相談時にご説明させて頂きます。

    〈不動産を渡す側〉

    譲渡取得税
    買ったときより、高く売れて利益がでた場合に発生する税金です。
    自宅購入時の売買契約書等の資料は大切に保管をお願いします。

    〈不動産を受け取る側〉

    登録免許税
    法務局に不動産の名義変更を申請する場合に、発生します。不動産評価額(固定資産税評価額)をもとに計算するので、見積りが知りたい場合には、ご相談下さい。

    贈与税
    夫婦間の財産の清算としての財産分与ではなく、実際は贈与だと判断できる場合に発生します。例えば財産分与として譲る不動産の価格が、夫婦の協力によって得た財産の額の割合より大きいと判断される場合は、その超えた価格部分について、贈与税が課税される可能性があります。

    不動産取得税
    上記の説明と重なりますが、夫婦間の財産の清算としての財産分与ではなく、実際は贈与だと判断できる場合に発生します。