株式会社と合同会社、どっちがいい?迷ったときの選び方と3つの違い

監修:司法書士法人LSO 代表社員 金光康太
株式会社と合同会社のどちらが優れているかではなく、事業内容と将来計画で選びます。外部からの資金調達・上場・採用を重視するなら株式会社、設立費用と運営の簡素さを重視するなら合同会社が基本の選択肢です。
こんにちは。司法書士法人LSOの金光です。
会社を設立するとき、多くの方が最初に迷うのが、株式会社と合同会社のどちらを選ぶかという問題です。
合同会社も広く利用されるようになりましたが、設立費用だけで決めてしまうと、事業が成長した後に会社形態が合わなくなることがあります。
今回は、株式会社と合同会社の主な違いと、それぞれに向いている事業について分かりやすく解説します。
違い1 会社設立にかかる費用
株式会社と合同会社では、設立時に必要となる登録免許税や定款認証の費用が異なります。
株式会社の設立費用
株式会社の設立登記にかかる登録免許税は、資本金の額の0.7%で、最低額は15万円です。
また、株式会社の設立時定款は、公証人による認証を受けなければなりません。
定款認証の手数料は、資本金の額や発起人の人数、機関設計などの条件により、1万5,000円から5万円です。
合同会社の設立費用
合同会社の設立登記にかかる登録免許税は、資本金の額の0.7%で、最低額は6万円です。
合同会社の定款には公証人の認証が必要ないため、株式会社よりも設立時の実費を抑えられます。
なお、紙の定款を作成すると印紙税4万円がかかりますが、電子定款を利用すれば、株式会社・合同会社のいずれも印紙税はかかりません。
※上記のほか、印鑑の作成費用、証明書の取得費用、司法書士などへ依頼する場合の専門家報酬がかかります。
違い2 出資者と経営者の関係
株式会社は出資者と経営者を分けられる
株式会社では、会社に出資する人を「株主」、実際に会社を経営する人を「取締役」といいます。
株主と取締役は同じ人でも構いませんが、別の人にすることもできます。
そのため、創業者が経営を行いながら、外部の投資家に株式を発行して資金調達をすることが可能です。
将来的にベンチャーキャピタルなどから株式による出資を受けたい場合や、ストックオプションの発行、株式上場を検討している場合は、一般的に株式会社が適しています。
合同会社は出資者が経営に参加するのが原則
合同会社では、出資者を「社員」といいます。
ここでいう社員は従業員という意味ではなく、合同会社に出資している構成員のことです。
合同会社では、定款に別の定めを設けない限り、社員が会社の業務を執行します。社員が複数いる場合の意思決定は、原則として社員の過半数で行います。
定款によって業務を執行する社員を限定するなど、会社内部のルールを比較的柔軟に設計できる点が合同会社の特徴です。
違い3 会社運営の手続と対外的な印象
株式会社は知名度が高い
株式会社は広く知られている会社形態であるため、取引先や採用候補者に会社の仕組みを説明しやすい傾向があります。
企業間取引や採用活動を重視する場合は、株式会社という名称が対外的な分かりやすさにつながることがあります。
一方で、株式会社では取締役の任期に応じて役員変更登記を行う必要があり、毎事業年度の決算公告も原則として必要です。
合同会社は運営手続を簡素にしやすい
合同会社の社員には、株式会社の取締役のような法律上の任期がありません。また、株式会社に課されている決算公告の義務もありません。
そのため、少人数で長期間経営する会社では、会社運営に伴う手続や費用を抑えやすいというメリットがあります。
ただし、株式会社と比べると、取引先や採用候補者から会社形態について説明を求められることがあります。
会社の信用力は会社形態だけで決まるものではありませんが、取引先や採用活動への見え方も考慮して選ぶことが大切です。
株式会社がおすすめのケース
次のような場合は、株式会社が適していると考えられます。
- 将来、外部投資家から株式による出資を受けたい
- ストックオプションを活用したい
- 将来的に株式上場を目指している
- 企業間取引や採用活動で、会社形態の分かりやすさを重視したい
- 出資者と経営者を分けた会社運営を考えている
合同会社がおすすめのケース
次のような場合は、合同会社が適していると考えられます。
- 会社設立時の費用を抑えたい
- 自分一人で会社を経営する予定である
- 家族や信頼できる少人数のメンバーで経営したい
- 外部投資家から株式による資金調達を行う予定がない
- 会社内部のルールを柔軟に設計したい
- 会社運営に伴う手続をできるだけ簡素にしたい
複数人で合同会社を設立するときは注意が必要
合同会社は自由度の高い会社形態ですが、複数人で設立する場合は、定款の内容が特に重要です。
意思決定の方法、利益の分配、代表社員の権限、社員が退社する場合の取扱い、社員が亡くなった場合の持分の承継などを十分に定めていないと、後からトラブルになる可能性があります。
設立費用の安さだけで判断せず、共同経営者との関係や将来の事業計画も踏まえて設計することが大切です。
株式会社と合同会社はどちらがよい?
株式会社と合同会社のどちらが優れているというものではなく、事業の内容や将来の計画によって適した会社形態は異なります。
設立費用や運営の簡便さを重視する場合は合同会社、外部からの資金調達や採用、将来の上場を重視する場合は株式会社が基本的な選択肢となります。
合同会社を設立した後に株式会社へ組織変更することもできますが、変更には手続、時間、費用がかかります。
設立時点の状況だけでなく、数年後の事業計画も考えて会社形態を選ぶことが大切です。
司法書士法人LSOでは、株式会社・合同会社の設立手続に対応しています。
会社形態の選択、資本金、事業目的、役員構成、将来の資金調達などを確認したうえで、それぞれの事業に適した設立方法をご提案します。
株式会社と合同会社のどちらにするか迷われている方も、お気軽にご相談ください。
監修者
司法書士法人LSO 代表社員 司法書士 金光 康太
会社設立、資金調達、種類株式、新株予約権・ストックオプション、株主総会、M&A・組織再編等の商業登記・企業法務を取り扱っています。IPO・内部統制実務士、バトンズ認定M&Aアドバイザー、smartroundアドバイザー。
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※本コラムの内容は掲載時点の法令等に基づいています。法律や制度は改正されることがあり、個別の案件では事情により結論が異なる場合があります。


