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申立人、候補者の面接について
執筆者;﨑井
公開日;2018/6/15
更新日;2018/6/15
こんにちは
LSO総合司法書士事務所の﨑井です。
後見制度を開始するに当たっては開始の是非、
後見人候補者の適格性を判断するための面接が家庭裁判所で行われます。
※“申立人の体が不自由”などといった事情がある場合には、本人の入居施設等で
面接がされる場合もございます
当事務所では、お客様から「どのような内容の面接が行われるのか」
といった質問を頻繁にお受けします。
普通、裁判所に行くだけでも緊張しますが、面接となると更に緊張しますよね。
私たちは、これまで家庭裁判所の後見人候補者に対する面接に、何度も同席してきました。
その経験から“面接がどのような内容か”ということを説明させて頂きます。
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面接の当事者について
面接をしてくれる人
面接は“参与員”という非常勤の裁判所職員の方がおこなってくれます。
※参与員は、司法書士などの法律専門職、上場会社のOB社員などの
社会経験豊富で後見制度の知識の明るい方が選ばれています
なお、込み入った内容の申立においては、裁判所職員の“調査官”が同席する場合もあります。
当事務所での面談記録では、参与員のみの面接の方が多いです。
調査官には、補佐開始申立や補助開始申立などにおいて、詳しく意思確認を行うケース等に
これまで同席頂いたことがございました。
面接に同席できる人
申立人、本人、後見人候補者は同席することができます。
また、本人のケアマネさんやヘルパーさん、申立書類の作成に協力した
司法書士や弁護士も同席が可能です。
大阪家裁では、面接の予約時に同席する方の確認がなされます。
この際に、きちんと当日出席予定の方を伝えておけば混乱も少ないでしょう。
なお、実際の面談の際には、以下の書類等を持参して下さい。
- 申立書のコピーや関連資料(添付した領収書や通帳の原本等)
- 印鑑(申立書に押印したもの)
- 本人確認のできる身元証明書(運転免許証等)
面接の内容について
面接内容は大きく分けて、以下の2つです。
- 後見制度についての説明
- 申立人、候補者へのヒアリング
1.後見制度についての説明
大阪家庭裁判所では、“後見制度はどのようなものか”という20~30分程度の解説ビデオを視聴します。
また参与員より「後見制度についてどこまで理解しているのか」を確認されます。
成年後見制度は、本人の利益を保護するための制度です。
後見制度の理解についての“チェックリスト”があり、理解ができれば、それにチェックを入れ、申立人は署名します。
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2.申立人、候補者へのヒアリング
面接では主として申立書に書かれていることの確認を行います。
特に以下に挙げる3つの点は、注意して聞かれます。
①なぜ申立てをしたのか
申立動機についてはっきり説明することができなければ、面接官に不信感を与えてしまいます。
この点は、申立書にも記載がある筈ですが、質問されればきちんと答えれるようにしておきましょう。
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②本人(被後見人)の生活状況・経済状況について
本人の生活状態の詳細について聞かれます。
誰と住んでいるのか、また施設へ移る計画はあるか?等といったことを聞かれます。
また面接の中で詳しく聞かれる点が、本人の経済状況についてです。
参与員からは通帳や収支予定表を確認しながら、特に大きな支出があった場合には、その原因について詳細を求められます。
“申立人や候補者が自分のために本人の財産を利用していないか”という確認のためです。
「財産目録」そして「収支予定表」と添付資料の金額に、ズレがないか?
ということを事前に、よく確認しておきましょう。
なお「財産目録」、「収支予定表」の説明は以下の通りです
・「財産目録」とは、本人の財産の内容を記載した一覧表
・「収支予定表」とは、本人の定期的な収支を記載した一覧表
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③候補者自身の経歴や現在の生活状況、経済状況等について
候補者が仮に成年後見人に選ばれた場合には
原則本人がお亡くなりになられるまでの長い期間、本人を援助者として
支えていかなければいけません。
- ご本人のことをどれだけ理解しているか
- 成年後見人としての適格性があるのか
ということを慎重に判断するため、候補者自身の家族構成や収入等についても
質問が及ぶ場合があります。
また、本人の今後の生活を、健康面・財産面からどのように考えているのか、ということも考えておくと良いでしょう。
まとめ
基本的には事前に提出する申立書類の内容に従って進められます。
しかし、原因のわからない大きな支出等があると、面接官に詳しく追及されます。
面接や本人の財産状況などを総合的に検討した結果、候補者ではなく弁護士、司法書士、社会福祉士等の第三者が選任されることもあります。
面接の前には本人の現在の生活状況や今後の計画について入念に考え、また、収支予定表や通帳を確認しながら、実際の収支と相違がないかをしっかり確認してから臨むようにしましょう。