後見制度支援信託ってなに?

 

執筆者;髙澤
公開日;2016/10/3
更新日;2017/11/5


こんにちは。
LSO総合司法書士事務所の髙澤です。

以前後見監督人についてのコラムで、本人の財産が多い時に裁判所から後見制度支援信託を勧められるということを、ちょこっとふれました。

<以前のコラム>

後見監督人って何?②


後見制度支援信託についてちょうど先日、こんなご質問を頂きました。

「叔母の後見人として業務をしています。ある日家庭裁判所から通知が来て、後見制度支援信託の利用を勧められました。よくわからないのでそのままにしていましたが、再び勧められてしまいました。 後見制度支援信託って一体どのようなものなのですか?」

 突然裁判所から通知が来るとびっくりしますよね。
今回はこの後見制度支援信託について、説明していきます。

後見制度支援信託とは

後見制度支援信託は、本人の財産の中で、本人が日常的に使用するのに十分なお金を預貯金などとして後見人が管理し、残りの金額を信託銀行に信託する制度です。成年後見と未成年後見が対象で、保佐・補助、任意後見は対象ではありません。

<関連リンク>
成年後見「後見」「保佐」「補助」って?

この制度の利用後、信託財産の払い戻しや、信託契約の解約などをしたいと思った時は、家庭裁判所の指示書が必要になります。

★制度についてざっくりまとめると★

本人(被後見人)の財産がたくさんある場合、「生活費に使うお金以外は、銀行に預けておこうね」という制度です。

後見制度支援信託の利用を進められるのはどんな時?

本人(被後見人)の財産が多い場合に、家庭裁判所が後見制度支援信託を勧めています。

成年後見制度開始の申立の際に、本人の預貯金等のが大体2000万円以上の時には、家庭裁判所から後見制度支援信託を利用するようにと言われるようです(この金額は各地方の裁判所によって異なります)。

最初の質問のように、すでに後見人に就任していても、本人の預貯金が多い場合は家庭裁判所から通知が来て利用を勧められる場合があります。

★なぜこのような制度があるの?★

後見制度支援信託は、後見人が本人の財産を私的に使い込むのを防ぐためにできた制度です。
昨今、後見人の不正支出・横領が相次いでいることもあって、裁判所としては、財産の横領を防止するために利用を呼びかけています。

どのような財産が信託の対象?

後見制度支援信託で信託できる財産は、金銭に限られていて、不動産などの財産は信託することができません。多くの信託銀行は最低1000万円からの利用を前提としているため、金銭が少量の場合は利用されません。

後見制度支援信託を利用するときの流れ

1.家庭裁判所が後見支援信託の利用を検討するべきと判断した場合、弁護士や司法書士などの専門職を後見人に選任します。

親族が後見人となっている場合でも、後見制度支援信託を利用するときは、一度専門職後見人を立てます。一般の方が信託契約を結ぶのは難しいため、専門職後見人が信託銀行と契約を結ぶことになります。

2.専門職後見人は、本人の生活状況や財産状況を踏まえ、後見支援信託の利用に適しているか検討します。

3.専門職後見人が、信託の利用に適していると判断した場合は、「信託する財産の金額」「日常的な支出にあてる金額」を設定し、家庭裁判所に報告書を提出します。

4.家庭裁判所が、報告書の内容を確認し信託の利用に適していると判断した場合、専門職後見人に指示書を発行します。専門職後見人が信託銀行に指示書を提出し、信託契約を結びます

5.専門職後見人はその後関与の必要がなくなれば辞任します。辞任後、専門職後見人から親族後見人に対し、専門職後見人が管理していた財産の引継ぎが行われます。

信託契約の後に、本人の支出が重なって手元のお金では足りなくなったら

突然高額な医療費が必要になったり、施設入所にお金がかかることがあり、日常的に使う金額では足りなくなることがあると思います。

そのような時は、家庭裁判所に何の目的でいくら必要なのかを報告をすると、家庭裁判所で判断して問題がないようなら、指示書がもらえます。その指示書を信託銀行に提出すると、信託財産から払い戻しをしてもらえます。

後見制度支援信託を利用を拒絶できるか?

後見制度支援信託の利用については拒絶することが可能です。
後見制度支援信託の契約には専門職後見人(弁護士・司法書士等)が携わりますから、その分費用が発生します。利用に向けた財産調査の期間が3ヶ月程度、一月に5万円の報酬が発生するとすれば契約締結までに15万円程度の費用が発生するからです(具体的な報酬金額は本人の資産状況に応じて変わります)。この専門職後見人への報酬は本人の財産から支払われます。
これまで、適切に業務を遂行してきた親族の後見人からすれば、家庭裁判所からの後見制度支援信託の勧告は、気持ちの良いものではないでしょう。
ただ、後見制度支援信託の利用については拒絶した場合は、必要に応じて裁判官の判断により後見監督人が選任される場合があります。

<関連コラム>
後見監督人って何?①
後見監督人って何?②

後見監督人が就任した場合は、本人が亡くなるなど成年後見が終了するまで仕事は続きますので、継続的な費用の発生が予想されます。

<関連コラム>
成年後見人の報酬は月々幾ら?

長期的な視点で考えると、後見制度支援信託の利用のほうが、費用面では安く済むと理解して頂ければと思います。

後見制度支援信託で気をつけること

それは本人が判断能力が問題ないときに遺言書を書いていた場合は要注意です。
例えば、現在認知症の父親が、発症前に遺言書を書いていたとします。

<遺言書の内容>

①息子Aには「三井住友銀行梅南支店(普)1123456」の預貯金を相続させる
②息子Bには「三菱東京UFJ銀行渡邊橋支店(普)6654321」の預貯金を相続させる

この場合に、遺言書の存在に気づかずに後見制度支援信託として、対象の預貯金を解約してしまっていた場合、遺言書の内容どおりの相続が実現できなくなる可能性があります。
遺言書の存在が後見制度支援信託の検討段階で分かった場合は、制度に適さないとして、利用を控えるべきでしょう。

後見制度支援信託のまとめ

 

後見制度支援信託とは、不正な本人の財産の使い込みを防ぐための制度
・後見制度支援信託は専門職(弁護士・司法書士)が契約締結します
拒絶できるけど、後見監督人が選任される場合があります
・遺言書がある場合、金額が少量の場合は利用できません

繰り返しになりますが家庭裁判所は、後見制度支援信託を後見人が本人の財産を不正に使用するのを防ぐために勧めています。
また後見人は、本人の財産を維持・管理しなければならない義務があるのですが、信託財産は元本が保証され、預金保険制度の保護対象になります。
「信託」商品と聞くと不安になる方もいらっしゃるでしょうが、後見人の立場としても、安心できる制度です。
本コラムを読んで頂き、後見制度支援信託について、前向きに考えて頂けると嬉しいです。

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