後見監督人って何?①

 

執筆者;髙澤
公開日;2016/9/9
更新日;2018/6/13

こんにちは。
LSO総合司法書士事務所の髙澤です。

季節の変わり目ですが、みなさん体調等崩されていないでしょうか。

先日「知らないうちに父親に後見人がついていたのですが、あり得る話なのでしょうか」という相談を受けました。
お話を伺いますと、「家族は誰も知らないけれど知らない人が後見人についていた」ということでした。

たまに、自分が知らないうちに、他の親族が申し立てをしているという場合があります。

成年後見を申し立てきる人は、本人や本人の家族(配偶者や親、子ども、兄弟姉妹など4親等内の親族) なので、思いもつかなかった人が申立しているということもあり得ます。

4親等って結構広いですよね。

本人(被後見人)が後見人をつけることを知らないということはないと思いますが、ご家族としては後見人が何か悪用しているのでは…と心配だと思います。
もし心配なようでしたら後見監督人の選任の申し立てをするのも1つではないかと思います。

成年後見監督人ってなんだろう

成年後見の際に、成年後見監督人がつく場合があります。
成年後見監督人とはその名の通り、成年後見人の監督をする人のことをいいます。

この監督人は、親族などの申し立てで選ばれたり、親族の申し立てがなくても家庭裁判所が必要だと判断した際に選ばれたりします。

後見監督人の必要性

成年後見人には本人を支援するための代理と財産管理に関する様々な権限が認められています。
けれど与えられている権限が大きいため、もしその権限を乱用されたりすると本人にとって不利益が生じてしまいます。

そこで第三者が公正な立場で後見人を監督する必要があります。
基本的に後見人を監督するのは家庭裁判所ですが、家庭裁判所の判断で後見監督人が選任されることがあります。

成年後見監督人の主な仕事

後見事務の監督

成年後見監督人は、成年後見人の後見事務の監督を行い、成年後見人が任務を怠ったり、不正行為を行ったりしないように監督します。

1.財産調査、財産目録の作成時の立会い

後見人は選任されるとすぐに、本人の財産を調査して財産目録をつくるという業務があります。この時に後見監督人がいる場合、財産目録の作成に後見監督人が立会わなければならないとされています。もし立会いがなければその財産目録は無効となってしまいます。

この「立会い」は後見人が銀行に行く時や、財産目録を作る時に一緒にいなければいけないということではなく、後見人が作成した財産目録のもととなった資料を確認・点検することで足りると考えられています。

2.後見人のもつ債権、債務の後見監督人への申出義務

後見人が本人に対して債権や債務をもっているとき、財産調査を始める前に後見監督人に申出をしなければなりません。後見人が本人に対して債権や債務をもっていることは、利害対立が生じているため、監督の任にあたる成年後見監督人にそれを確認させます。

3.後見業務の調査、後見事務の報告請求

成年後見監督人は、後見人の事務や本人の財産の状況に関する調査を行ったり、後見人に事務報告や財産目録の提出を求めたりすることができます。

4.後見人の解任の申立て

後見監督人は、後見人を監督する中で、不正な行為がされていること、されたことを知れば、後見人の解任を申し立てることができます。

5.定期報告

後見監督人は、1年に1回の所定の時期までに、後見事務や監督事務の状況をまとめた報告書を、家庭裁判所へ提出します(監督事務報告書の提出)。
定期報告の時期には、下記のような書類を後見人から提出してもらい、書類を審査します。

  • 後見事務報告書syorui_yomu_man
  • 財産目録
  • 過去1年分の預貯金通帳の写し(通帳の表紙と、表紙の裏部分を含みます)
  • 一番新しい有価証券取引残高報告書の写し(持っている場合のみです)
  • 本人の住所が変更した場合、移った後の住民票や施設入所契約書の写しなど
  • 過去1年以内に定期収入の状況が大きく変わっている場合は、収支予定表や大きな変動が確認できる資料
  • 過去1年以内に本人以外の者に、本人の財産を支出した場合、その必要性を示す資料
  • 過去1年以内に不動産関係の財産に変動があった場合は、保有する不動産の最新の固定資産評価証明書や納税通知書などの写し
  • 過去1年以内に保険関係の財産に変動があった場合は、保有する保険に関係する最新の保険証券の写し
  • 過去1年以内に債権や負債に変動があった場合は、最新の債権や負債に関する明細書の写し

監督人が上記の審査して、後見人の事務処理状況に問題があれば、後見人に追加資料を提出させたり、後見事務の問題点を監督事務報告書に記入し、家庭裁判所へ提出します。

その他の事務

後見人の監督以外でも、後見監督人はいくつかの事務をすることになっています。

1)後見人がいなくなったときの申立て

後見人が死亡するなどしていなくなった場合は、後見監督人はすぐに新しい後見人の選任を家庭裁判所に申し立てなければなりません。
これによりスムーズに新しい後見人が選任され、本人の保護が全うされます

2)急な事情で後見人が事務をできないときの代理

後見人が一時的に病気などになった場合など緊急の場合には、成年後見監督人が本人のために必要な行為をすることができます。

3)利益相反行為についての本人の代理

成年後見人と成年被後見人の利益が対立した時は、後見人が本人を代理することはできません。
成年被後見人の利益を守るために成年後見監督人が成年後見人を代理することになります。

例えば、不当に低い金額で成年被後見人の所有する不動産を売却するといった場合などです。

最後に 

なんとなく後見監督人ってこんな感じなんだな~と伝わればうれしいです。
次回、後見監督人について、もう少し詳しく書いていきたいと思います。

宜しくお願い致します。

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ペンチョウ先生
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