LGBTのカップルと後見制度
執筆者;﨑井
公開日;2018/12/28
更新日;2018/12/28
こんにちは
LSO総合司法書士事務所の崎井です。
先日、当事務所にて、LGBTの方は、パートナーの方の後見人になることができるのかというご質問を受けました。
今回は、LGBTのカップルの方たちが、後見制度を利用できるのかということを説明していきます。
現行法におけるLGBTのカップルについて
はじめに、日本においてLGBTの人たちは法律上どのような立場になるのかを、簡単に説明させて頂きます。
最も重要であることとして、LGBTのカップルは結婚することができません。これが法律上どのような意味を持つかというと、例えば、パートナーが亡くなった際に、一切の財産を相続することができません。
また、重大な事故にあったときや病気にかかったときに、診断結果や診療方針を聞くことができず、手術を行う同意権も与えられていません。
LGBTの方は「パートナーシップ契約書」を作成することにより、婚姻と同じような契約状態にすることも可能ですが、あくまでも私人間の契約に過ぎないため、婚姻と同じような法律効果を持つことはできません。
法定後見制度については、後見申立人になることができるのは、配偶者、四親等以内の親族のみのためパートナーの方は申立人及び後見人になることはできません。
※パートナーシップ契約書
パートナーシップ契約書とは、LGBTのカップルが婚姻関係と同じような関係性をつくるための契約書のことです。個人間で自由に決めた内容を私的な契約として成立させるものとなります。原則、公正証書で作成されます。
財産管理を行うためには
では、LGBTのカップルはパートナーの財産管理を行うためには
どのようなことをすればよいのでしょうか。
結論を先に申し上げますと、任意後見契約を結べばパートナーの財産管理等が可能になります。
また、死後事務委任契約を任意後見契約と別に結ぶことで、
死後の財産管理を委任することもできます。
任意後見契約について
任意後見制度とは、簡単に説明すると、判断能力のあるうちに
自身の後見人を決めておく制度のことです。
任意後見契約についての詳細はこちらをご参照ください
https://office-lso.com/kouken/ninnikouken/
任意後見制度では、誰を後見人にするかを本人の意思よって決めることができるため、法定後見制度と違いLGBTの方でも利用することができます。
任意後見契約を結ぶことで、パートナーの財産の管理、医療契約の締結、要介護認定の申請、入院費の支払い等が可能になります。
まとめ
ここまでをまとめると、LGBTのカップルが申立人として、法定後見制度を利用することはできませんが、任意後見契約を結ぶことは可能です。任意後見契約を結び、将来自己の財産管理や医療契約の締結をパートナーに委ねることができるようにしておくことが重要であると考えます。
当事務所では、任意後見契約書作成代行も行っておりますので、ご相談等ございましたらお気軽にご連絡ください。