破産して免責を受けた人は後見人になれますか?

 

執筆者;金光
公開日;2016/10/30
更新日;2019/12/13

 

はじめに

こんにちは
LSO総合司法書士事務所の金光康太です。

「破産をして免責を受けた人は後見人になれますか?」

実際に当センターで、お受けした質問です。

今回は、ここでいきなり結論を申し上げるのですが
破産して免責を受けた人は後見人になれます!

では、以下に詳しく解説をしてまいります。

[前提]破産者は後見人になれることはできません

まず前提として、破産者は後見人になることはできません。

以前に公開した、以下のコラムにも記載していますが、成年後見人に就任できない人は民法で決まっています。
破産者は後見人に就任することはできません。


<関連リンク>
成年後見人は誰が就任するの?(1)~就任できない人々


<関連条文>

民法第847条(後見人の欠格事由)

次に掲げる者は、後見人となることができない。
一  未成年者
二  家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
三    破産者👈ここに書いています!
四  被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血
   族
五  行方の知れない者

破産者とは経済的に破綻して、債権者に対してお金を返せなくなってしまった方のことをいいます。
破産に至るまでには色々な事情はあるでしょうが、金銭的に困っている人に、後見人として本人の財産管理を行わせることを、法は禁止しています。

しかし、今回の質問にあったような「免責」を受けた人はどうでしょうか。
解説を続けます。

[結論] 破産をしても免責を受けた人は後見人に就任できます

破産をしても免責を受けた人は後見人に就任することができます。

そもそも破産とは、「自分は経済的に破綻してしまい、借金の支払いが不能になりました」と裁判所に宣言をすることだと思って下さい。
ただ宣言をしただけで、実際に借金が帳消しに、つまり払わなくてよくなったわけではありません。

実際に借金を帳消しにするには、「免責」の許可を受ける必要があります。

「免責」の許可は
・破産の原因がギャンブルで作った借金
・破産申立中に新たに借金を申し込む

などといった事由がない限りは認められるケースが多いです。

後見人に就任できない「破産者」とは、破産宣告を受けてから、免責決定を受けるまでの間の人のことなので
破産をしても免責を受けた人は後見人になれます!

 

また、“家族信託契約”でも同様に受託者は破産するとその資格を失いますが、免責を受けると信託財産は受託者の責任財産に戻ります。

なお、信託財産は破産手続きに組み込まれることはありません。

家族信託についての詳しいことは下記当事務所の家族信託のページをご覧ください。

家族信託とは

最後に注意点

「破産をして免責を受けた人」は後見人になれますが、注意して頂きたいことをお伝えします。
法律上、「破産をして免責を受けた人」は後見人に就任することはできますが、必ず後見人に就任できるわけでは無いということです。

そもそも申立書に記載をした後見人候補者が、必ず後見人として選ばれるわけではありません。
後見人に誰が選ばれるかは、以下のような様々な事情を、裁判所が考慮した上で決定するからです。

・本人の財産状況
・申立にあたっての親族の同意
・候補者の適格性


ちなみに家庭裁判所に、成年後見の申立を行う場合には、候補者が後見人欠格事由でないことを宣言する陳述書を提出します。

しかし申立時に、候補者が免責を受け破産者でなかったとしても、裁判所での調査官との面接時に過去に破産者ではなかったか?等の質問を受ける可能性はあります。

嘘は言わず正直に面接には応じて頂きたいのですが、その結果、裁判所が候補者を後見人に相応しくないと判断する可能性も否定できませんので、ご注意下さい。

<関連コラム>
成年後見人は誰が就任するの?(2)~専門職が就任する場合
成年後見申立ての必要書類のご説明(大阪家庭裁判所編)

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本コラムをお読み頂き、少しでも皆さんの成年後見制度の理解・利用に貢献できれば嬉しいです。

最後までご精読ありがとうございました。

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