申立で親族の同意(同意書)がないとどうなるか?

 

執筆者;金光
公開日;2016/9/28
更新日;2018/8/18

こんにちは。
LSO司法書士事務所の金光康太です。

先日、ネットニュースで「嫌いな上司ランキング」というものが発表されていました。
以下、キャリコネニュース20160921日 配信より一部引用です。

1
位:「こちらの意見を聞いてくれない」(62.9%)
2位:「失敗は部下のせい、手柄は自分のおかげ」(55.8%)
3位:「相手によって態度を変えすぎる」(47.7%)

私も司法書士事務所の代表をしているので、部下(ここでは部下としますが、心ではスタッフ・仲間と呼んでいます)との関係も気に掛けるところです。

2位、3位は置いておきますが、1位の「こちらの意見を聞いてくれない」、は気を付けたいですね。仕事のことになると、つい気持ちが入りすぎて相手の意見を聞かず自分の意見を、先に述べがちになってしまいます。

「相手の気持ちをまず考える」これはコミュニケーションの基本ですが、難しいですね。日々精進です。

親族の同意書の必要性

さて今回はそんな、「親族が意見を聞いてくれない、同意書を提出してくれない」という依頼者からの相談を基に、「親族の同意書」の必要性について説明いたします。
※ここでいう「同意書」とは、成年後見の申立を家庭裁判所に提出する際の、添付書類の1つである「親族の同意書」をさします。

家庭裁判所は後見開始の申立において、申立ての内容や成年後見人として誰が適任かということについて、申立人以外の「親族」の意見も参考にしながら審理を進めていきます。そのために「親族の同意書」の提出が必要となるのです。
※ここでいう「親族」とは、本人の※推定相続人(本人の配偶者や子供等のこと)をいいます。

<※推定相続人の簡単な説明>

 配偶者・・・・・・法律上の婚姻をしている人は常に相続人

 第一順位・・・・・子またはその代襲者・再代襲者など

 第二順位・・・・・直系血族の最も血の繋がりが近い者のみ

 第三順位・・・・・兄弟姉妹又はその代襲者



本人の親族の方が成年後見の申立て(本人に後見等を開始すること。後見人等に申立書記載の候補者が選任されること。)に賛成している場合は、申立時にその方の同意書が添付されていると、審理期間が短縮されることがあります。

親族の同意書は必ず提出しなければいけないの?

以下のような場合については、親族の同意書の提出は原則必要ありません。

  • 高齢等のため同意書の作成が困難な場合
  • 親戚付き合いがないなどの理由で同意書作成の依頼が困難な場合
  • 未成年者


上記以外の場合にも、申立される方のなかには親族に「家庭内暴力を振るう人」がいる場合には、同意書の協力は難しいことでしょう。
また本人が認知症等で意思能力が弱いことにつけ込み「金銭的に本人にたかる人(せびる人)」からも協力が難しいこともあるでしょう。

そういった場合もあるので、この「親族の同意書」は申立にあたり必ず添付しなければいけないものではありません。

但し、「親族の同意書」の添付がない場合には、家庭裁判所での審理期間が長くなったり、その他にも親族である申立人本人が後見人候補者となっていた場合に、家庭裁判所に親族間のトラブルを予見され、申立人以外の専門職(弁護士・司法書士等)が選ばれる可能性があります。

専門職が後見人となった場合には、どの親族の肩を持つわけではなく、本人のために公正中立に後見人業務を遂行されるからです。

ただ、親族からすれば、専門職が後見人となると業務に対しての報酬が必ず発生するために、快く思わない方もいるかもしれませんので、そこが申立人からすればデメリットに感じる方もいるかもしれません。そういった場合でも幣事務所では「親族の同意書」取得について可能な限り協力させて頂きますので、まずはお気軽にご相談下さい。

<参考コラム>

専門職が就く場合の報酬について
成年後見申立ての必要書類のご説明(大阪家庭裁判所編)

要点のまとめ

以下に今回のコラムの要点を列挙します。

・成年後見申立において親族の同意書は原則必要です
「親族」とは、本人の推定相続人(本人の配偶者や子供等のこと)を指します
・同意書をつけずとも申立は可能
・但し、同意書がない場合には、審理に時間がかかったり、後見人に親族以外の候補者が選ばれる可能性がでてきますので、ご注意を

 

なお、 “家族信託契約”を結んでおくと委託者(本人)と受託者(信託する家族)との契約になりますので、他の親族の同意は不要になります。

家族信託とは、判断能力が低下する前に自分の信頼する家族に、財産の管理や処分を任せる制度のことです。詳しくは下記の家族信託のページをご覧下さい。

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以上、宜しくお願い致します。

 

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ペンチョウ先生
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