後見人が本人の不動産を処分するとき
執筆者;髙澤
公開日;2016/7/14
更新日;2018/8/18
こんにちは。
LSO司法書士事務所の髙澤です。
今回は後見人が本人の不動産を処分するときに注意することを書きたいと思います。
本人の不動産の処分は、後見人の責任で行えます。ただし、本人の住んでいた家は家庭裁判所の許可が必要になります。この処分とは、売却や取り壊しだけでなく、人に貸すことや、借金の担保にすることも含まれます。
本人に損害を与えないように、処分の必要性や本人の財産額などを十分に検討することが大切な考え方になります。
居宅用でない不動産の処分
後見人には本人の財産を正しく管理する義務がありますが、本人に代わって財産を処分する権限が与えられています。
※後見監督人が選任されているときは、監督人の許可が必要になります。
処分の必要性がある場合というのは、不動産の処分が本人にとって必要であることを言います。医療費や、福祉施設の利用費用、生活費などにあてる場合は必要性がありますが、親族を支援するため等は必要性がないと考えられます。
本人の不動産を処分する必要性が出た場合、後見人は自己責任で処分することになります。本人に損害を与えないように十分に注意して行う必要性がありますが、万一処分によって本人に損害が出た場合、後見人は賠償責任を負います。
そのため、重要な財産を処分するときに後見人だけで判断することが難しいのであれば、事前に専門家や家庭裁判所にご相談ください。
居住用不動産の処分
本人の生活を考えたとき、住まいは重要な問題です。そのため、本人の生活に支障がでないよう、居住用の不動産を処分するときは家庭裁判所の許可が必要になります。
ここでいう居住用の不動産とは、本人が住んでいる、また居住用にする予定のある不動産のことを言います。本人が入院していて現在住んでいなくても、退院後そこで生活する予定があれば居住用の不動産になります。
家庭裁判所で居住用不動産の処分が許可されるかどうかは、次の点が判断材料になります。
- 処分の必要性(使用目的や、本人の財産状況から必要かどうか)
- 本人の生活や看護の状況、本人の意向(入所や入居状況や帰宅の見込み)
- 売却後の代金の管理(売却後本人のために使われるかどうか)
- 親族の処分に対する意向など(推定相続人など、処分に反対している人がいるかどうか)
以上の点を考慮して、本人のためになると判断された場合、家庭裁判所で許可の裁判がされます。
本人が施設などに入っており自宅に戻る予定がない中、変わらず固定資産税を払い続けることは、本人の残りの財産が少なくなることにもつながります。このような場合も処分の必要性に該当します。
処分の必要性が生じたら「被後見人の居住用不動産の処分の許可」の申し立てを行い、家庭裁判所に判断してもらいます。
もし成年後見人が家庭裁判所の許可を得ないで、居住用不動産を売却したり貸したりすると、その契約は無効になります。
不動産処分の際判断が難しい場合など、当事務所にご相談ください。
成年後見制度については後記ページにも、詳しく記載しております。
よろしければご参照ください。
以上、宜しくお願いします。