養育費の支払いが遅れたとき

公開日: 2019.01.25

最終更新日: 2019.12.03

こんにちは。

LSO総合司法書士事務所の沖中です。

 

今回は、「養育費の支払いが遅れている」など

離婚時にせっかく決めた養育費が支払われていないという場合

 

・支払いを受ける側はどう行動すべきなのか?

・なぜ支払いが遅れているのか?

・そもそも支払う余裕がなくなってしまったのか?

 

など検討事項は様々だと思いますが、その対応策をお話していきたいと思います。

 

  1. 01

    養育費の支払いが遅れたとき(支払いを受ける側の行動)

     

    まずは直接相手に催促してみましょう。

    電話でもメールでも郵便でも何でも大丈夫です。

     

    とにかく、早めに行動することがポイントです。

    連絡がついたら、感情的にはならないよう落ち着いて

     

    ・遅れた理由

    ・いつなら振り込んでもらえるか

     

    を聞き、養育費を支払ってもらう必要性を話しましょう。

    そして支払期限も決めて下さい。

     

    このように連絡を取り合うことで、すぐに解決できるかもしれません。

    ですので、たった1回振込がなかったからといって、すぐに法的手段をとるのは避けた方が良いです。

     

  2. 02

    それでも振込がされないとき

     

    「連絡はついたし、振り込む約束もしてもらえた。でも期限になっても振り込まれない。」

    こんなときは、法的手段に訴えましょう。

     

    1.養育費を、夫婦で話し合って公正証書に残した場合

    →公正証書に強制執行を認める文言が記載されていれば、それに基づき強制執行が可能になります。

     

    2.養育費を、裁判所が絡む形(調停・審判等)で決定した場合

    →家庭裁判所に電話を1本入れるだけで、履行勧告、履行命令を出してもらえます。

     

    このあたりは、裁判所のアフターサービスですので、上手に利用して下さい。

    もちろん、強制執行の道を選んでもらっても構いません。

     

    履行勧告、履行命令、強制執行って具体的にどうすること?と疑問に思う方が多いと思いますので、次でお話します。

     

  3. 03

    履行勧告、履行命令、強制執行

     

    ・履行勧告

    これは家庭裁判所が、相手の支払状況など調べて、支払うように説得してくれる制度です。

    法的強制力はありませんが、裁判所から電話や郵便が来ますので、心理的プレッシャーを与えるものになります。

     

    ・履行命令

    これは家庭裁判所が、一定の期間を定めて支払いを命じてくれる制度です。

    正当な理由なく命令に従わなければ10万円以下の過料を科されます。

    しかしこれも履行勧告と同様、支払い自体に法的強制力はありません。

     

    ・強制執行

    これは、相手の給料や預貯金、動産や不動産を差し押さえて、その中から強制的に取り立てる制度です。

    申し立てには、調停証書や審判書、強制執行認諾文言付きの公正証書が必要になります。

    未払いの養育費を回収するのには、一番効果的だと言えますが、時間・手間・費用がかかります。

    そして、履行勧告、履行命令と異なり、相手の住所地を管轄する地方裁判所に申し立てるものになります。

     

  4. 04

    養育費の支払いが遅れたとき(支払う側の行動)

     

    まずは、減額してもらえるか示談交渉をしましょう。

    勝手に減額することはもちろんNGです!

    そして、減額請求には、正当な理由が必要になります。

     

    例えば、

    ・仕事を解雇されて収入がなくなった

    ・離婚後再婚して扶養家族が増えたため養育費を支払う余裕がなくなった

     

    などです。

     

    そして、示談でまとまりそうなのであれば、

    示談書の条件には支払い能力が戻った場合には増額する約束を必ず入れましょう。

    示談ではおさまらなかった場合は、減額調停を試みることになります。

     

    また、養育費を払うことは親としても責務でもありますのでわが子のことを思うのであれば、

    わずかでも収入を増やす努力、少しでも支出を減らす努力をしてください。

     

    例えば、

    ・余裕ができた時間で副業をする

    ・親から養育費を借りる

    ・実家で暮らすことで出費を減らす

     

    などです。

     

  5. 05

    まとめ

     

    今回は、養育費の支払いが遅れている場合、

    まず直接相手に催促することをおすすめしましたが、全員がそうした方がいいとは限りません。

    例えば、DVなどを元夫から受けていた場合や、

    養育費の支払いが拒否されることが明らかな場合は、最初から法的手段に頼る方が賢明です。

     

    また、最初の取り決めの際に、経済力に変動があったときのこともしっかり話しておいたほうが

    このような後々のトラブル回避に繋がると思います。

     

    とにかく、養育費が支払われなくなったとしても冷静に対応することを心がけるようにして下さい。

    支払う側も、払うのが苦しくなってきたのであれば、

    滞納する前から相手に相談すること、これが大事になってくると思います。

     

    養育費の取り決めなど、重要なことは離婚協議書としてきちんと残しておくことが大切になります。

    当事務所では、そのサポートもさせて頂いております。

    ぜひ、お気軽にお問い合わせ下さい。

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