再婚したら養育費に変更は生じるのか?

公開日: 2019.04.22

最終更新日: 2019.05.07

こんにちは。

総合司法書士事務所の沖中です。

 

今回は、再婚後の養育費についてお話しします。

 

離婚後、どちらか一方が再婚する可能性というのは至極当然にありますよね。
そんな時に、養育費を支払っている側(義務者)も受け取っている側(権利者)も、
養育費の今後の支払いが今まで通りなのか、気になるところだと思います。

 

「再婚したなら再婚相手に養育してもらえばいいじゃないか」と思われる義務者の方いらっしゃるかもしれませんが、
再婚相手には養育義務が生じませんので、養育費の支払義務はいくら相手が再婚したからといて消滅しません。

 

特に、養育費を支払っている側(義務者)が再婚した場合、
支払い額がこれまで通りだとキツイと思うのが正直なところだと思います。

そんな時、どうするべきなのかを今回お話しします。

  1. 01

    養育費を支払っている側(義務者)が再婚した場合

     

    義務者が再婚すれば結婚相手との間で生活保持義務が発生するので、

    義務者自身の生活負担が増えることは当然ですよね。

    この場合、養育費を減額したいと思う方もいらっしゃると思います。

     

    基本的に義務者の再婚による養育費の減額は認められませんが、減額が認められる場合もあり、
    これは再婚相手の収入によって変わってきます。

     

    再婚相手に全く収入がない場合

    義務者は今までと同じ収入なのに、扶養義務の対象が増えるので減額請求をすることが出来ます。

    具体的にどれくらい減額できるの?と疑問に思う方たくさんいると思うので、説明します。

     

    統計によると、義務者と同居する妻の生活費指数(成人の必要とする生活費を100とした場合の生活費の割合)は

    55であるとされます。これは、0~14歳の子供を1人扶養するのと同様に扱うことになります。

    つまり、義務者は0~14歳の子どもを2人養うという前提で養育費を計算します。

     

    では、具体的な数字を入れてみます。

     

    前提条件;義務者の年収(給与)900万円、権利者の年収(給与)300万円、10歳の子どもが1人いるとします。

     

    養育費算定表に基づき、毎月7万円の養育費を支払っていた場合において、義務者が再婚した場合、

    2人分の金額を定めた養育費算定表に基づくと、10~12万円の範囲になります。

    そして、例えば11万円と決まった場合は、その半額5万5000円が子どもの養育費となるので、

    差額の1万5000円分を減額請求することができます。

     

    ここの計算方法は事例によって様々ですが、今はイメージしやすいように、簡単な条件のもと、計算方法を紹介しました。

    養育費の算定表は、家庭裁判所のホームページで公開されていますので、気になる方はご覧下さい。

     

    再婚相手に僅かな収入がある場合

    再婚相手に僅かでも収入がある場合、義務者と再婚相手の収入を合算し、合計額をもとにその額を計算します。

    先ほどの前提条件を引き続き用いて説明します。

     

    再婚相手の年収を50万円である場合、義務者の年収と合算した950万円をベースにし、

    養育費算定表(0~14歳の子2人)に当てはめると、10万~12万円になります。

    例えば11万円と決まった場合は、その半額5万5000円が子どもの養育費となり、

    差額分だけ減額請求をすることができます。

     

    再婚相手に相当の収入がある場合

    再婚相手に相当の収入がある場合は、再婚相手自身の生活費は自分でまかなえますよね。

    したがって、この場合、相手の存在は考慮しません。

    つまり、義務者はこれまで通りの金額を支払うべきですので養育費の減額請求は認められないということになります。

     

    再婚相手との間に子どもが生まれた場合

    再婚相手との間に子どもが生まれた場合でも、今まで話してきたように、

    再婚相手の収入次第で減額請求可能かどうかを考えます。

    つまり、新たに子どもが生まれたことを理由に、前妻との間の子どもの養育費は当然には減額できないということです。

    それが親の扶養義務というものです。

     

  2. 02

    養育費を受けとっている側(権利者)が再婚したとき

     

    権利者が再婚することで、世帯としての収入は増えますよね。

    そんな場合、義務者は養育費の減額請求をすることができるのでしょうか。

    これは、子どもが再婚相手と養子縁組をするかしないかで変わってきます。

     

    養子縁組をしない場合

    養子縁組をしない場合は、単に親が再婚しただけと考え、養育費に影響は出ません。

    つまり減額請求はできません。今まで通りの額を支払って下さい。

     

    養子縁組をする場合

    養子縁組をする場合は、子どもと養親との間でも親子関係が生じることになります。

    そして、実親と養親では、養親の扶養義務が優先するとされています。

    つまり、再婚相手の養親が高収入である場合、実親の養育費支払義務はなくなる可能性もあるということです。

     

    養親の収入では不十分なときは、当然実親も負担することになります。

    その場合、実親の養育費の負担金額はどう計算されるのか、先ほどの前提条件を引き続き用いて、具体的に説明します。

     

    養育費算定表に基づき毎月7万円の養育費を支払っていた場合において、権利者が再婚したとします。

    再婚相手の年収が600万円だとして、養育費算定表(0~14歳子1人)の縦軸に

    実父と母の年収の合計(1200万円)を、横軸に再婚相手の年収(600万円)をあてはめると、

    8~10万円が養育費の金額となります。

     

    そして、例えば8万円と決めた場合、その8万円を、

    実父と母の年収の金額に応じて按分する(父:母=900:300=3:1)と実父の養育費の金額は6万円になります。

    つまり差額の1万円分を減額請求することができるということです。

     

    実の父母間で扶養義務の順位が同順位となりますので、

    それぞれの収入に応じた額を計算し、出た額まで減額請求することが可能になるということです。

  3. 03

    減額請求の方法

     

    別の記事でもお話しましたが、減額請求は基本的にお互いの話し合いでその額を決めます。

     

    まとまらない、もしくは話し合いが出来ない状態のときは家庭裁判所に対して減額調停を申し立て、

    それでもまとまらなければ審判で決めてもらうことになります。

    減額請求できるか否かはケースバイケースですので、この記事はあくまでも参考程度にして下さい。

  4. 04

    まとめ

     

    夫婦が別れた後、片方、もしくは両方共が再婚する可能性は十分にあります。

     

    今回はどちらかだけが再婚した場合の養育費について言及しましたが、

    父母の両方が再婚した場合は、「一方の再婚時に減額等の変更が行われ、その後の他方の再婚時に再調整する」

    という形になります。

    再婚後の養育費は、お互いの再婚相手、連れ子の有無や養子縁組をするのかしないのか、

    様々なことを考慮して決定されます。

    再婚を機に心機一転、相手との関係を断ち切るという形もありますが、

    親が子を扶養する義務というものは、決してなくなりませんのでお気をつけ下さい。

     

    最後までご精読ありがとうございました。