離婚合意を公正証書にするメリット

公開日: 2019.04.16

最終更新日: 2019.04.24

こんにちは

LSO総合司法書士事務所の金光です。

 

今回は離婚合意を公正証書にするメリットを説明します。

  1. 01

    そもそも公正証書は

     

    公正証書とは、公証人法に基づき、法務大臣に任命された公証人が作成する書類のことをいいます。

    ※ちなみに公証人は、各地方の公証役場に所属しており、元裁判官、元検察官、元法務局長など、法律実務を長く経験した人がその職についています

     

    離婚公正証書とは、夫婦の離婚時の約束を記した合意書に、

    “しっかりした手続で作成された証明力の高い文書です、と国がお墨付きを与えた文書”

    とイメージして頂ければと思います。

     

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    公正証書で契約書を作成するメリット

     

    離婚合意書を公正証書で作成するメリットは大きく2つあります。

     

    ①お金の支払いに不履行があったとき、強制執行できる

     

    離婚の際、財産分与や慰謝料として高額な金銭を受け取る場合、分割で支払いが約束される場合があります。

    同様に養育費の支払いは一括支払いではなく、子どもの成長とともに分割して支払われることがほとんどです。

     

    この合意内容を離婚公正証書として残しておくと、その合意が守られなかったときに、

    裁判をしなくても、支払い義務者の財産を差し押さえる手続をとることができます。これを強制執行と言います。

     

    特に子どもがいる場合、養育費の支払を公正証書として残しておくことは、とても有効です。

     

    これは、養育費を支払う合意を公正証書にしておけば、相手が支払いを守らなかったとき、

    先の支払期限の養育費まで、財産差し押さえの対象にできることになるためです。

     

    強制執行を行えるのは、原則として、支払期限が到来しているのに未だ支払がされていない場合に限られています。

     

    しかし養育費の支払いの場合、通常、相手方から定期的に金銭を受け取る内容ですので,

    支払期限が経過して未払いが生じる度に強制執行するのは、養育費を回収する側からすれば大きな負担です。

     

    そこで,養育費の請求については、これまで支払われていない金銭だけでなく、

    支払期限が未だ到来していない将来の養育費についても継続的に差し押さえることが認められています。

    つまり支払う相手が勤務先を変えない限りは、継続してお金を回収することが可能になるわけです。

     

    ②信頼性に優れ契約成立を保証する安全性が高いこと

     

    公正証書は、法律のプロである公証人が、事前に契約書の法令違反がないかどうかを確認します。

    また作成当事者の身元については印鑑証明書、パスポートや運転免許証等などで確認します。

     

    従って公正証書の内容が裁判で否認されたり、無効とされる可能性はほとんどありません。

     

    また作成された公正証書の原本は、公証役場で厳重に20年間保管されますから、改竄や変造の心配もありません。

    また万が一、交付された正本や謄本が紛失や盗難、破損などしても、再交付を受けることが可能であり、とても安心です。

     

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    まとめ

     

    離婚について話し合いがなされた場合でも口約束だけだと、お互いにとって良いことはありません。

     

    養育費や慰謝料を受け取る側からすれば、きちんと公正証書に合意内容を記載しておけば、

    支払いの約束を守ってもらいやすくなります。

     

    また養育費や慰謝料を支払う側にとっても、きちんと自分が支払う金額が明記されている公正証書を作成することは、

    後から身に覚えのない請求を受けるリスクを減らせることは、新生活を送るにあたって安心のはずです。

     

    当事務所では離婚時の約束を確かなものにするためにも、

    きちんとお互いの合意内容を公正証書にして残しておくことをお勧め致します。

     

    最後までご精読ありがとうございました。