成年被後見人は遺言書を作ることができるか

 

執筆者;﨑井
公開日;2018/7/9
更新日;2019/12/6

こんにちは
LSO総合司法書士事務所の﨑井です

先日、当事務所において“成年被後見人は遺言を作ることができるのか”というご質問を頂きました。


遺言を作成するためには遺言能力が必要になります。意思能力を欠く者の遺言は無効とされますが、成年被後見人はこれにあてはまるのでしょうか。

結論から申し上げると

成年被後見人が遺言を作成することは可能です。
しかし、作成のためには法律上いくつかの厳格な要件が必要とされています。

今回は成年被後見人の遺言作成の方法について詳しく説明させて頂きます。

法律上の要件

  1. 事理弁識能力を一時的に回復したときであること
  2. 医師2名以上の立会があること 
  3. 医師が立ち会い、遺言者が遺言作成時に事理を弁識する能力を有していた旨を遺言書に付記し、これに署名押印をすること

上記の要件(以下、「法律要件」という)を満たすことで成年被後見人は遺言を作ることができます。
遺言の方式としては、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言のいずれの形式でも行うことができます。

※遺言の形式

<自筆証書遺言>
全文を自分で書く遺言です。
パソコン等の機器を使用して書いたものは認められず、署名・押印、完成した日付が記入されているものになります。 

<公正証書遺言>
公証役場で公証人に作成してもらう遺言です。 

<秘密証書遺言>
内容を秘密にしたまま、公証人に「存在」のみを証明してもらう遺言です。

※被保佐人や被補助人の場合には、意思能力さえ有していれば、上記のような法律上の要件がなくとも、遺言を作ることが可能です。

成年後見人による遺言作成

成年後見人は身分行為を代理して行うことができないため、遺言を作成することはできません。
被後見人から口頭で伝えられたものを書き記したものなども無効の遺言になります。
被後見人の遺言作成は必ず上記の法律要件を満たしたものでなければなりません。

まとめ

ここまで、成年被後見人になった方の遺言作成方法について説明させて頂きましたが、実際のところ成年被後見人の方が遺言を作成することは、極めて厳しいと言えます。

当事務所でも相談は頂いても実際に成年被後見人の方の遺言書の作成事務を受任したことはございません。

第一に、成年被後見人の事理弁識能力が回復したとしても、立ち会いの医師を2人用意することが困難であるからです。
医師の方には精神科の先生でも、この成年被後見人による遺言作成について知らない方が少なくないこと、また、事理弁識能力があるかどうかを判断することが医師でも難しく、遺言作成の立ち会いという業務が敬遠されがちであるためです。

第二に、公証役場において、少しでも会話にズレが生じた場合、事理弁識能力がないと判断され遺言の作成が認められない場合が多いことが挙げられます。

さらに、公証人の方も成年被後見人の遺言作成に携わったことがある方は極めて少ないようです。

※自筆証書遺言も可能ですが、後々のトラブルを防ぐ意味でも、公正証書遺言で作成すべきかと思います

成年被後見人の方が、成年後見人の方の事理弁識能力が回復したと感じ、本人に遺言作成の強い意思がある場合は、後見解除の申立を家庭裁判所に行う方が可能性が高いと思われます。

判断能力が低下する前に事前の準備を

このように判断力が低下すると財産を処分することができなくなってしまいます。

しかし成年後見人になる前に家族信託を行っておくと、自分の意思で財産をどのように残すかを決めることができます。

当事務所では、成年後見業務以外にも、この家族信託の業務もおこなっております。

家族信託についての詳しいことはコチラをご覧くださいませ。

家族信託とは

ご精読ありがとうございました。

 

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ペンチョウ先生
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